来年のインボイス制度の開始に向け、応研が需要の取り込みを進めている。企業の間では「2025年の崖」問題を見据え、インボイス制度の開始に合わせてスクラッチシステムなどの「手組系システム」からの脱却を目指す動きがあり、これに関する相談が増えているという。藤井隆文・執行役員統括マネージャーは、企業からの引き合いは継続するとみており「大きく成長できるチャンスがきている」と話す。
藤井隆文 執行役員
インボイス制度は来年10月の開始を控えており、各企業が対応を進めている。藤井執行役員は「多くの企業や販売店が、インボイス制度にフォーカスを当てている印象があり、当社への相談は非常に増えている」と語る。
背景には、企業が抱えるシステムの課題がある。藤井執行役員は、顧客の状況を分析した結果から「十把一絡げに言うと、各企業の中にはExcelやAccess、オフコン、スクラッチシステムといった手組系システムが大なり小なりあり、インボイス制度に対応する上で苦労する原因になっている」と説明する。
同社にとっては、手組系システムの改修は、既に販売管理システムのビジネスにつながっている。首都圏や関東地方を中心に、今年2月までの販売管理の案件約100件を整理したところ、手組系システム絡みは全体の約半数を占めていたという。
同社の製品が選ばれる理由について、藤井執行役員は「手組系システムを使っているお客様は、独自にシステムを運用しているため、パッケージソフトが当てはまらないことが多くあるが、われわれの製品は、システムの改修に幅広く対応できる」と自信を示す。具体的には、入力画面や帳票を自由にカスタマイズできる機能を標準で搭載しており、これが市場で受け入れられる要因になっていると紹介する。
同社は現在、年商300億円前後までの規模の企業をターゲットに販売管理のビジネスを展開している。規模の大きな企業は、以前から手組系システムの改修を進めており、同社には問い合わせが寄せられていた。ここ最近は、これまでに課題感を持っていた企業の動きが加速しており、今後、製品の導入がさらに広がる可能性がある。
ビジネスの拡大に向けて期待は高まっているが、不安要素もある。例えば、人材不足の影響だ。年商10~50億円の顧客からは、インボイス制度関係の対応を全て任せられることがある。同社のリソースだけでは対応が難しい場合もあり、その際はシステム開発会社と連携して導入を進めているという。
藤井執行役員は「販売管理は、当社にとっては大きな案件になる。インボイス制度の開始に向けて案件は増えていくとみているので、チャンスを逃さないようにしっかりと対応していく」と気を引き締める。
(齋藤秀平)