弥生は6月10日、東京・秋葉原で会計事務所向けイベント「弥生 PAP カンファレンス 2022 春」を開催した。岡本浩一郎社長は、改正電子帳簿保存法とインボイス制度に向けて、「証憑(しょうひょう)管理サービス」を「デジタル化促進の中核」に位置付ける方針を示し、開発に力を入れると説明した。
岡本浩一郎 社長
岡本社長は、改正電帳法とインボイス制度の関連性について「証憑を扱うという意味で共通点は多い」と説明。紙の証憑などをデジタルデータとして送付・受領・保存し、後の業務を自動化できる証憑管理サービスの機能を段階的に拡張して電子インボイスへの対応を進めるとした。
証憑管理サービスは、改正電帳法に対応するベータ版が5月にリリース済み。機能拡張では、弥生販売と請求書作成ソフト「Misoca(ミソカ)」で発行・送信する請求書の自動保存機能のほか、AI-OCRによる文字情報の読み取り機能、弥生の会計製品への仕訳連携機能、会計事務所と顧問先でのデータ共有機能などの提供を計画している。
岡本社長は、来年10月のインボイス制度開始後、業務を安定的に運用するためには「対応は計画的に、着実に進める必要がある」とし、期間を定めながら、取引関係の考え方や顧問料の見直しを含めた対応方針の策定、システムと業務の両面の検討などに取り組むよう求めた。
席上では、弥生シリーズの登録ユーザー数の状況も紹介。4月末時点で275万6000ユーザーとなり、21年度末(昨年9月末)に比べて22万1000ユーザーが増えたとし、「デスクトップアプリとクラウドアプリの両輪で着実に拡大した」と語った。
会計事務所の業務効率化を目的に、20年9月に開始した「記帳代行支援サービス」については、今年4月末時点で760の会計事務所が導入し、1万7020の顧問先で利用しているとした。
(齋藤秀平)