ウルシステムズを中核事業会社とするULSグループは、顧客企業のビジネスとITの両方を深く理解した人材育成を通じて、本年度(2023年3月期)連結売上高は過去最高の80億円超、経常利益は11期連続の増収を見込む。ウルシステムズの横山芳成社長は、「効率よく顧客のビジネスを理解するための体系だったスキル習得に力を入れる」とし、今年、顧客の業界や業務を学ぶ13のワーキンググループを立ち上げた。
横山芳成 社長
近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れのなかで、顧客のビジネスモデルそのものを変革すべく、顧客とITベンダーが二人三脚となり、アジャイル方式で臨機応変にシステムを構築する需要が高まっている。ワーキンググループの活動によって顧客のDX需要に応えていく。
ITの研修に関しては、日頃から勉強会を開くなどしてスキルを高めてきたが、顧客のビジネスについてはプロジェクトの現場での実践を通じて身につける「OJT」が主流だった。DXの追い風による業容拡大に伴い新規に採用した若手技術者の数が増えていることも踏まえ、「OJTに加えてワーキンググループでも学べる機会を増やす」(横山社長)と、ITと顧客ビジネスの両方を深く理解した“二刀流”技術者の育成に力を入れる。
漆原 茂 会長
同社は、かねて「決められた定型作業だけに従事するIT技術者をなくす」(漆原茂会長)の方針のもと、顧客ビジネスとITに精通し、顧客とともにDXを推進する技術者の育成に力を入れてきた。今年5月25日付でウルシステムズの取締役テクノロジーサービス本部長から代表取締役社長に昇格した横山社長は「“二刀流”技術者の戦略を一段と充実させる」ことで、本年度のULSグループ経常利益率は21.2%を見込むなど収益率のよいビジネスを展開していく方針だ。
(安藤章司)