NTT東日本グループのテルウェル東日本は、スマート店舗システムの領域に参入した。新しいソリューション「SMARTORE(スマートア)」の販売を7月に開始し、大型小売店舗や大手チェーン店に比べてスマート化が遅れている小規模店舗を対象に営業活動を展開している。山本和也・常務取締役は「SMARTOREの活用で販売機会を増やしたり、人件費を削減したりして利益を増やせる」と話す。
テルウェル東日本の山本和也・常務取締役
SMARTOREは、小売店舗のスマートフォン決済や販売予測、電子値札などのシステムをひとまとめにしているのが特徴。同社は店舗の省人・無人化とデータドリブン経営を支援し、店舗開設時のプロデュースから構築、運営支援も担う。同社が開発を担ったのは、東日本を中心に多数の拠点を展開していることや、オフィス設計やビル清掃などの設備管理に長けていることが背景にある。
スマホ決済の専用アプリ操作画面
コロナ禍のリモートワーク励行で赤字に転落していたNTT東日本本社ビルと横須賀事業所の社員向けコンビニで実証したところ、店員を3人から1人に削減でき、両店舗とも黒字に転換できた。販売予測システムの実証では、売り切れによる販売機会の損失を減らすことで「本社ビル内コンビニの売り上げが最大1.5倍に増え、商品によっては3倍近く増えた」(眞木宣文・スマートストア事業推進室室長)。逆に在庫過多による商品ロスも10%から2%程度に抑制できたという。
社内店舗や道の駅、観光施設、サービスエリアなどを主な販売ターゲットとし、本年度中に50店舗の受注、向こう3年で200店舗への納入を目指す。既に山形県長井市役所内にある店舗に先行導入している。NTT西日本グループと連携して西日本地域での拡販にも努め、5年後には年間30億円規模の事業に育てる考え。(安藤章司)