障害者が全社員の約6割を占める富士ソフト企画は、2005年度(06年3月期)までに売上高に占める外販比率を2ケタに増やす。00年度は、全体の99%が親会社の富士ソフトABCからの受託業務に頼っていた。だが、ウェブ制作などを足がかりに、グループ外からの仕事が今年度は約3%、来年度は約7%に増える見込み。その原動力の1人が高倉俊英さんだ。
専門学校卒業後、独学でウェブ制作を学び、02年にはアビリンピックで銀賞を獲得した。
「00年、ぼくが入社した当時は、親会社からの名刺作成やデータ入力作業が多く、ウェブの仕事はほとんどなかった」持ち前の技術力と同僚の協力を得て、ウェブ制作の仕事を獲ることを決めた。03年のアビリンピック神奈川県大会では、同僚3人が金、銀、銅の上位3位を独占。技術の向上にともない、ウェブ制作から運用アウトソーシングまでトータルでの受注も着実に増えた。
「営業が苦労して獲ってきた注文を、技術不足で受けられないということがあってはならない。ウェブに関するあらゆる仕事をこなせるよう努める」「アビリンピックで上位入賞を果たしても、ビジネス最前線で勝ち残るには、それに甘んじていてはだめ。一流の技術を身につけ、より付加価値の高い仕事をする。障害があっても、技術を磨き、自信をもって仕事をすることが大切」と、力強く話す。
プロフィール
高倉 俊英
(たかくら としひで)1976年、富山県生まれ。3歳のときに聴覚障害をわずらう。96年、富山大原簿記法律専門学校・情報技術科卒業。00年、富士ソフト企画に入社。02年、第26回アビリンピック(全国障害者技能競技大会)ホームページ部門の銀賞を獲得。同年、富士ソフト企画ウェブ制作部門のリーダーに昇格。