ソフトバンクが2001年、ADSL事業「Yahoo!BB」を立ち上げた際の中核メンバー。同事業の開始を、社長以外に事前に社内で知っていた2人のうちの1人。当時、「社長室長」という肩書きで孫正義社長の“懐刀”として数々の重要プロジェクトを仕切っていた。
そんな“孫イズム”を継承し、「日本に革新をもたらすビジネスの旗艦になる」と、ファンドから資金を募り、革新的なIT技術を世に出すための手助け事業を展開するホールディング会社(JFP)を昨年5月に設立した。自称「ミニ・ソフトバンク」が触れ込みである。
すでに、ネットカフェ向け総合学習コンテンツ「脳内カレッジ」などをeラーニングで提供するトライオンなど、グループ会社として3社を設立。「日本発の世界に通じるいままでにないビジネスを展開する」と、夢は壮大である。
国内には、「埋もれた優れたアイデアや研究成果がたくさんある」と、それを利用してビジネスに乗せ、デファクト(業界標準)を生み出すインキュベーターとしての役割を買ってでたという。
出身は福岡県。久留米大学附設高校を卒業し、東京大学に進学したと聞けば、孫正義社長やライブドアの元社長などと同じ系列。孫社長の実弟、孫泰蔵氏は同期生で旧知の仲だ。IT業界の実力者との人脈はかなり広い。
「一緒に事業をしてくれる人を探し、チャネルを開拓して世に広める」と、これまでの経験を糧にしたそのコンサルティング的な手腕は、すでに知られるところで、革新的なITビジネスの出現に期待がもてそうである。
プロフィール
三木 雄信
(みき たけのぶ)1972年11月、福岡県田川市生まれ、34歳。95年3月、東京大学経済学部経営学科卒業。同年4月、三菱地所に入社し、社長室に所属。「丸の内活性化プロジェクト」を企画し、指揮を執った。98年4月、ソフトバンクに入社。社長室に配属され、ナスダック・ジャパン・プロジェクトや日本債権信用銀行(現あおぞら銀行)の買収案件にマネジャーとして関わる。05年10月、ソフトバンクグループのコンテンツ関連の投資ファンド会社、モビーダ・インベストメントの社長に就任。06年9月から現職。