前職でERPパッケージソフトの立ち上げに関わったことをきっかけとして、秋田健太郎は情報ポータル関連の製品・サービスを提供するサイバーソリューションズを設立した。「もともと独立しようという意識があったわけではなく、その時は“流れ”で会社を立ち上げたようなもの」と振り返る。自らが携わったソフト開発のプロジェクトを、「途中で投げ出さず、最後までとことんやり遂げたい」と考えたからだそうだ。
学生時代は、トラック運送などのアルバイトに明け暮れていた。仕事とは、「生きていくためのもの」と理解している。就職活動の時、「友人が『オービックに入社したい』と話していたから自分も入ってみようと安易に考えた」。IT業界についてまったく理解していなかったものの、「仕事には絶対の自信があった」。IT業界に関わってみて「これから先、コンピュータのない世界は成り立たないだろう」とも確信した。この考えのもとに会社を設立し、「業界に関する多くのノウハウを身につければ、違う何かが生まれる。だからこそ、今の自分がいる」と実感している。
今、同社が力を入れているのは「サービス事業の展開」だ。現段階では、自社ソフトをSaaS化し、「PaaSベンダーとのアライアンスを進めているところ」という。パッケージとSaaSの両輪で需要を増やしていく方針だ。また、海外への進出を見据えており「近い将来、アジア市場に参入する」ことを計画している。
「サービス志向」をモットーにしており、同社自身もユーザーのニーズに柔軟に対応できる体制を敷いている。「一応、組織らしいものを設けているが、基本的には全員で営業、全員で開発することを掲げている」。すべての社員が現場で情報をキャッチし、さまざまな情報をもとに全社一丸となって成長につなげる。「組織の垣根をつくらないことが重要」としている。この不況のなかで、同社は前年を上回る業績で推移している。(文中敬称略)
プロフィール
秋田 健太郎
(あきた けんたろう)1967年、愛知県生まれ。オービックを経て、D&Bテクノロジーアジア(現エス・エス・ジェイ)に入社し、ERPパッケージの「Super Stream」の立ち上げに関わる。98年からナレッジマネジメントに関するビジネスをスタートさせる準備を行い、00年1月にサイバーソリューションズを設立。「サイバーポータルシリーズ」「サイバーセキュアシリーズ」「サイバーサース」の三つの製品カテゴリーを事業の柱とし、ビジネスでのIT活用を加速させるサービスを提供する。