中国の出身で、2003年に来日した楊佳は、システム構築やネットワーク機器の販売を手がけるティ・アイ・ディ(TID)で、日本と台湾・中国の間の橋渡し役を務めている。彼女は、台湾から来日する取引先を接待する際に、沖縄や九州の料理を得意とするレストランに案内することが多い。「台湾人には、日本料理が大人気だから」と、接待される側の好みをよく知っている。
「今勤めている会社は、自分にしかできない仕事に携わる環境をつくってくれた」。楊は、09年、数多くの台湾メーカーと取引をしているTIDに入社。子どもの頃から憧れを抱いていた営業職に就いた。入社してすぐに、先輩社員のサポートを受けながらパートナー向けのセールスを担当。中国語が話せるというスキルを生かして、中国の情報を収集したり、台湾メーカーと交渉したりしている。「私にぴったりのポジションを与えてもらったおかげで、すぐに仕事に慣れることができた」と、笑顔を見せる。
「IT×営業」は、楊にとっての理想的な職務だ。「営業職の母親の姿をみてきて、自分も同じようにいろいろな人とコミュニケーションをとることができる仕事をしたいと思った」。中学生の頃に、パソコンやインターネットが中国で普及し始め、「インターネットは情報収集には、とても有効なツールだ」と、ITの利便性を実感している。TIDに入社してからのおよそ3年間、社内教育を受けたり、メーカーのセールス資格を取得したりするなど、ITの知識を磨いてきた。
楊の原動力は、「苦労を乗り越えて、達成感を味わいたい」という意欲にある。入社4年目を迎える彼女は、「一日も早く独り立ちしなければ」と、向上心をもち続けている。(文中敬称略)
プロフィール
(JIA YANG)1983年、中国浙江省・湖州市生まれ。2001年に上海の同済大学に入学。大学を中退して来日。03年9月、関西語言学院に入学。05年4月に愛知大学経済学部経済学科に入学、アジア経済を中心に学ぶ。09年4月、ティ・アイ・ディに入社。