エフセキュア
パーツとして組み込む戦略
APIの提供で独自管理ポータルを構築
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| 桜田仁隆代表 |
AndroidはモバイルOSながら、産業用デバイスや家電など、開発汎用性の高いOSだ。「将来は、こうした幅広いデバイスのサポートもビジネス拡大の糸口として見出せるのではないかと考えている」とエフセキュアの桜田仁隆代表は話す。
エフセキュアは、2000年にグローバルでモバイルセキュリティソリューションを展開しており、モバイル分野は得意な領域の一つだ。同社は今年5月から「エフセキュアモバイルセキュリティ for Android」を個人向けに売り出し、法人向けには「エフセキュア モバイル セキュリティ ビジネス」、サービスプロバイダ向けには「エフセキュア プロテクション サービス モバイル」の提供を順次開始する。2012年中に、Android向けセキュリティソリューションのシェアのトップ3を目指すと意気込む。Android 2.2からOSで遠隔消去をサポートするなど、セキュリティ機能が拡張されたことをきっかけに、国内投入に踏み切った。
これらの製品は、アンチウイルス、スパイウェア、ブラウザ保護といった機能に加えて、遠隔ロック、遠隔消去を含む盗難・紛失対策、プログラム自動更新の機能を備えており、個人向けではペアレンタルコントロール(URLフィルタリング)の機能を提供する。個人向けはエフセキュア直営のオンラインストアからダウンロードできる。盗難・紛失対策は永久に無償で提供するが、他の機能を使いたい場合には購入ボタンをクリックして購入することになる。
法人向けアプリケーションには、ペアレンタルコントロールと購入ボタンは付いておらず、製品はSIerなどを介して販売するかたちをとる。SIerの独自サービスと組み合わせたソリューション販売や、オンラインサイト販売、大手携帯電話販社と提携して販売するほか、ハードウェアメーカー、キャリアからオプションもしくは出荷時に組み込む売り方を販路として想定している。
キャリアを含むサービスプロバイダ向けの「エフセキュア プロテクション サービス モバイル」では、端末を一元的に管理するウェブベースの管理ポータルを用意した。エフセキュアがバックエンドサービスを利用して、サービスプロバイダはユーザー数に合わせてすぐに管理ポータルからライセンスを発行・変更することができる。ライセンスの発行・変更管理の機能は、サブスクライブマネジメントインターフェース(SMI)として公開している。SIerはSMIを活用したエフセキュアのライセンス管理機能と自社のソリューションやユーザー企業のシステムとインテグレーションすれば、ユーザーに独自の管理ポータルを提供することができる。桜田代表は「製品単体を前面に出すのではなく、ソリューションに組み込んでもらうパーツとして、シェア拡大を目指したい」と話している。
AXSEED
管理サービスが急成長
大手キャリアの法人部隊などが拡販
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新明善彦 代表取締役表 |
スマートフォン関連のシステムを手がけるAXSEEDは、Android向けセキュリティ管理サービス「SPPM for Android」のクラウド版の提供を、昨年10月から開始している。
1か月無償トライアルで60社、正規版ではすでに20社がサービスを利用している。同社は2007年からWindows mobile向けのセキュリティ対策を提供、30社ほどの利用実績をもっている。スマートデバイスを利用すれば、ボタン一つで欲しい情報にアクセスでき、タブレットを活用して、動画でプレゼンを行うことができるなど、利便性が高い。一方で、「個人情報を多く保有しているので、企業にとってスマートフォンは利便性が高いが、紛失や盗難など、PC以上にリスクが高い」(新明善彦代表取締役)のもスマートデバイスだ。セキュリティに対するニーズを汲み取って開発したのが「SPPM for Android」である。
端末メーカーからすると、ハードが決まっているiPhoneではビジネスチャンスを見出すことができないが、Androidならビジネスの可能性を広げることができる。「よくWindowsとAppleの歴史にたとえられるが、最後はパフォーマンスが高いほうに置き換えられていく。当社のSPPMのWindows Mobile版が3年で30社なのに対し、Android版は半年で20社近い。使い勝手がすぐれていて、業務利用での可能性が高いとユーザー企業でも認識していることの現れだ」(新明代表取締役)と話す。
市場に管理製品がどんどん出ていることから、企業内でAndroidは使えるという見方が高まっている。AXSEEDでは、自社導入向けのシステムの提供を今年4月から開始、クラウドサービスは上場間近のようなある程度規模の大きい企業でも利用することができる。
AXSEEDは、大手携帯電話代理店と組んで販売するとともに、イーモバイルなど、大手キャリアの法人営業部隊から販売を進めている。
EXPOでも注目集める
モバイルセキュリティブースに人集まる 5月11~13日、東京・ビッグサイトで開かれた「情報セキュリティEXPO 2011 春」。今年は11のイベントが同時開催された。情報セキュリティEXPOのスペースでは、アンチウイルスメーカーが三つ巴で大規模ブースを出展しているのが印象深い。
マカフィーは、モバイルセキュリティソリューション、仮想化、SaaSなどを中心に紹介した。モバイルコーナーでは、3月に提供開始したばかりの、「McAfee Enterprise Mobility Management」を展示。
一方、トレンドマイクロではクラウドサービス、DLPやエンドポイントセキュリティ、サーバー仮想化、デスクトップ仮想化などをテーマに展示。なかでも強くアピールしているのが仮想化、物理、クラウドのハイブリッド環境を一つで保護することができる「TrendMicro Deep Security」と、多様化するエンドポイントへの保護として、スマートデバイスのセキュリティソリューション「Trend Micro Mobile Security」だ。この製品はウイルスバスター コーポレートエディション」のコンソールにプラグインで組み込むことが可能。マーケティング本部エンタープライズマーケティング部サービスマーケティング課の転法輪浩昭プロダクトマーケティングマネージャーは「PC、スマートフォン管理を統合できることが一番の売り」と話す。
記者がEXPOの会場を取材したのは開催初日。来場者はスマートフォンセキュリティへの関心度が高いようで、トレンドマイクロのブースに立ち止まって話を聞く人が多かった。
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| マカフィーのモバイル製品紹介ブース | 「Trend Micro Mobile Security」のメニュー画面 |