外資勢、国内ベンダーにない強みを発揮
時流に乗ったソリューションを用意 SAPとオラクルは、豊富なパートナー網を駆使してグローバルで事業を展開し、多数のユーザー企業を抱えている。SAPは、ERPの関連ビジネスを巻き込んだ戦略を披露。オラクルは、中堅企業におけるグローバルERPの展開を語る。
リアル・リアルタイムへ SAPジャパンは、リアル・リアルタイムを旗印に、「インメモリコンピュータティング」「オンデマンド」「モビリティ」で新たな成長機会をうかがっている。
今後、クラウド環境で、インメモリデータベース「SAP HANA」上での稼働に最適化したインメモリアプリケーションを拡充していく計画だ。
パブリッククラウドは、全社業務向け、部門内向け、個人用でそれぞれ展開していく可能性を示している。パートナーは、「SAP Business ByDesign」をPaaSとして、この上で拡張機能を開発することができるようになる。
現場の営業担当者は、モバイルデバイスに最適化されたアプリケーションを場所や時間を選ばずに活用することで、意思決定をスピードアップしたり業務生産性を向上したりできるようになる。
日本オラクルは、中堅企業向けERP「Oracle JD Edwards EnterpriseOne(JDE)」の製品・販売戦略で、グローバルERPのニーズに応えていくことを主眼に置いている。
JDEのクラウドサービスは、国内の中堅企業のグローバル進出をさらに支援する狙いがある。野田由佳・アプリケーション事業統括本部ビジネス推進本部ビジネス開発部担当ディレクターは、「企業を取り巻く環境が変化するにつれて、提供するサービスの形態が変わってくる。企業から求められているのはスピード感であり、クラウドサービスの提供はそうした要望に応えるものだ」と話す。
epilogue
5年後に伸びるベンダー ERP業界を取り巻く状況は、速いスピードで変わりつつある。パートナービジネスはこれまで以上に重要性を増しており、ベンダーはエコシステムを念頭に置いた事業モデルの構築が求められる。
国内では、SMB市場で多くのベンダーがシェアを分け合う展開となっている。しかし、再編は十分に進んでこなかった。今後、業界勢力図を変える可能性を秘めているのがエコシステム・モデルだ。
エコシステムは、付加価値再販業者(VAR)や付加価値ディストリビュータ(VAD)、SIerなど、企画、導入、サポートを行うパートナーに加え、ISVパートナーとビジネス・パートナーを含む、非常に幅広いもの。ガートナー ジャパンは、業務アプリケーションを調達するための手段として、エコシステムが将来優勢になるとみている。SAPやオラクルは、さまざまな領域(地域、業種、テクノロジー、機能)に特化したISVやSIerである「革新ベンダー」のパートナービジネスをサポートしつつあるという。オラクルが展開する「Oracle Accelerate」は、エコシステムの一例といえる。
今後、ベストセラー商材をもつ国内の有力ISVが、大手ベンダーのエコシステムに組み込まれる事例が出てきてもおかしくない。