次世代商材は「PBXプラスα」
スマートフォンやクラウドと連動 2012年の商機──その1
「新型商材で新しい時代に備える」
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OKI 西田慎一郎 ビジネスユニット長 |
「今後、PBX事業を伸ばす要素として、スマートフォンが大きなカギを握ることは間違いない」──。
沖電気工業(OKI)で通信システム事業本部 企業ネットワークシステム事業部 PBXビジネスユニットのトップを務める西田慎一郎ビジネスユニット長は、PBXと、スマートフォン向けの周辺サービスとの連携を実現することによって、PBX事業の拡大に挑んでいる。「例えば、スマートフォン用のソフトフォン(インターネットで電話ができるソフトウェア)を使って、スマートフォンを内線電話化する商材を強化している」として、製品のポートフォリオでユーザー企業の新しいニーズに対応していく方針を語る。
同社では、スマートフォン関連の案件が、現在、PBX事業の約10%を占めている。今年は、スマートフォンの法人利用の急速な拡大を受け、「スマートフォン関連案件がかなりの数で出てきて、PBX事業が活発になる」(西田ビジネスユニット長)と見込んでいる。
PBXのメーカーであるOKIは、直接販売と間接販売がおよそ半々となっている。同社の有力な販社としては、OKIグループの沖ウィンテックなどがある。OKIは、スマートフォン関連の新型商材に加え、2011年11月に、IP-PBXシステムをクラウド型で提供する「EXaaS(エクサース)音声クラウドサービス」を投入。このサービスは、中堅規模以上の企業を主要ターゲットとしているもので、OKIが直販で展開している。西田ビジネスユニット長は、「母数はまだ小さいが、このところ多くの引き合いをいただいている」と、早くも手応えを感じている。
OKIは、クラウド型PBXの提供によって、サービス事業の強化を図るだけではない。西田ビジネスユニット長は、「クラウドサービスを通じて新規顧客を開拓し、次のステップとして、お客様にマイグレーションを提案し、最終的にクラウド型PBXを機器に入れ替えることを狙う」という戦略で臨む。PBX事業の売り上げに関しては、「クラウドサービスで売り上げを大きく伸ばすというよりも、しばらくは機器販売がメインになる」としている。
2012年の商機──その2
「オープン化戦略で仲間を増やす」
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NEC 嶋田健久マネージャー |
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NECインフロンティア 阿部一之シニアエキスパート |
PBXの販売では、PBX製品をUCソリューションの一部として提案する案件が増えつつある。UCの需要が高まるなかで、メーカーにとっては、いかにUCのシステム構築に強い販売パートナーを獲得し、そのパートナーの構築スキルを向上させるかが、喫緊の課題になっている。変わる市場ニーズに対応するために、UCを強みとする販売の“仲間”を増やすことが不可欠だ。
「UNIVERGE(ユニバージュ)」ブランドでPBX製品を提供するNECは、「UNIVERGE CERTIFIED」というコンセプトの下で、PBXの販社向けパートナープログラムを展開している。このプログラムでは、API(プログラミングインターフェース)を開示し、それによって、パートナーがより幅広い提案ができるように支援する。販社は、NECが無償・有償の2パターンで開示しているAPIを利用することで、例えば、PBXの電話機能をアプリケーションから制御し、コールセンター用ミドルウェアのような電話機能制御を行うことができる。
パートナープログラムを担当するUNIVERGEサポートセンターの嶋田健久マネージャーは、「オープン化戦略でパートナープログラムを立ち上げ、技術力の高い仲間を増やすことによって、PBX市場の新しい分野を積極的に開拓したい」と意気込む。
NECは、PBX事業の売り上げの約20%を直販で稼いでおり、主にエンタープライズ(大企業)向けの販売活動を行っている。一方、SMB向け販売は、2006年に子会社化したNECインフロンティア(旧日通工)などが手がける、というように、企業の規模に合わせて役割を分担している。NECは、NECインフロンティアと連動して、2011年、「UNIVERGE CERTIFIED」の対象をSMBを得意とする中小規模の販社に広げ、APIを開示するほか、共同プロモーションの展開など、販売パートナー向けサポートの充実を図っているところだ。
とくにPBXのSMB市場では、UC連携をはじめとする新しいトレンドに対応するために、販売会社の技術支援がポイントとなる。NECインフロンティア 国内営業事業本部 ネットワーク営業推進部の阿部一之シニアエキスパートは、「SMB向けPBXの販社は、これまで電話機と従来型PBXを売ってきた中小規模のところが多い。販社は、いち早くIPやUCを中心とする新しいニーズに応えられるよう、技術の知識を取得する必要がある」としている。そのためにパートナー支援に注力する方針だ。
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