【富士通エフサス】
技術者連携で高品質サービスを提供
適したシステムにコーディネート

今井幸隆社長 富士通エフサス(今井幸隆社長)は、主力事業の保守サービスが縮小しており、そのマイナスを運用サービス事業で補おうと、数年前に体制を整えた。専門のスキルを身につけた技術者が連携して運用保守サービスを提供する「サービスアカウントエンジニア」の体制を確立。オンプレミスとクラウドサービスを組み合わせたシステムなどユーザー企業にとって適したシステムにコーディネートし、運用サービスを提供につなげている。
「サービスアカウントエンジニア」は、サービス営業を担当する「サービスアカウントマネージャー」をはじめ、インフラ設計・構築を手がける「サービスシステムエンジニア」、運用コンサル・設計を行う「サービスマネジメントエンジニア」、システムサポートに携わる「サービステクニカルエンジニア」、サービス導入・メンテナンスの「サービスカスタマエンジニア」の5種類に技術者を分類し、それぞれの役割を担う技術者が連携しながらユーザー企業が求めるシステム・サービスを提供する仕組みだ。企画・設計段階から構築、運用保守までを統合的に網羅しており、「技術者のフォーメーションを組むことで、さまざまなニーズに応えることができるようになった」と、今井社長は自信をみせる。
このような技術者集団の運用体制を敷くことで、ハードウェアやソフトウェアの運用保守の枠だけでなく、プラットフォームやネットワークの設計・構築までを手がけることができるようになった。インテグレーション、運用、保守の3事業をベースにLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを提供できるようになったほか、「システム監視など運用サービスに関しては前年比115%の成長を果たしている。今後も2ケタ成長を維持する」(今井社長)としている。
新規事業の創造も実現しつつある。アフターサービス業務を代行するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスのほか、スマートデバイスの導入を促す製品・サービスを提供。今井社長は、「ユーザー企業の業務効率化や成長の観点からシステムの企画から保守までを一貫して手がけることに力を注ぐ」としている。
【東芝ITサービス】
仮想化環境を統合的にサポート
リモートと現場の連動を追求

清野和司社長は仮想化ビジネスの拡大に強い意欲を示す 東芝ITサービス(清野和司社長)は、仮想化関連ビジネスに力を入れており、「2015年度(16年3月期)をめどに160億円の売上規模を目指す」(清野社長)と、全社売上の半分程度を占めるビジネスにまで成長させることを目標に掲げている。その要となるのが、09年10月に提供を開始した仮想化システム環境の総合運用サービス「V's-care」だ。
「V's-care」は、同社の運用センターからリモートでユーザー企業の仮想サーバーを24時間365日体制で管理・監視するもの。障害が発生した場合には、仮想環境を別のマシンに移行させるなど、運用センターで復旧支援を行いながら、全国サービス網のカスタマエンジニアが現場に駆けつけて問題を解決する。企画部新規事業企画担当の井手弘グループ長は、「センターと技術者を生かしたサービスに仕上げた。運用と保守は別々に手がけるのが普通だったが、『V's-care』によってリモートと現場をつないで運用と保守の連動を実現した」という。

井手弘グループ長 運用保守サービスからスタートし、今では仮想化環境の構築導入サービスも提供している。そのため、構築から運用保守までを同社に任せるユーザー企業が出てきている。井手グループ長は、「案件によっては、アプリケーションの開発が得意なSIerなどとアライアンスを組むこともある」と、さまざまな角度から案件を獲得する状況になっていると説明する。
今後は、サーバーを中心とした仮想化環境に加えて、「VDI(仮想デスクトップインフラ)など、クライアントの運用保守サービスとしても進化させる」(井手グループ長)という考えを示す。オンプレミスとクラウドの両方を運用保守するサービスの追加を検討しており、クラウドサービス事業者などを経由してサービスを提供することも模索している。
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