――2024年を表すキーワードに「グローバルでの価値創造を進める」を挙げるが、どのような狙いがあるのか。
ユーザー企業のビジネスがグローバル化するなか、国内外の市場で十分な価値を創造していくには、当社自身のビジネスもグローバル化しなければならない。コロナ禍が収束して人の往来が再び活発になり、グローバルでの商談機会が増えているのを好機と捉え、ASEAN市場を中心に進出を加速させていく。
代表取締役社長 岡本安史
ASEANは成長市場であり、ITの新しい活用方法や需要が次から次へと生まれている。当社は決済基盤に強みを持っており、海外の成長市場のトレンドをつかんだ上で、さまざまな応用ビジネスを決済基盤上に構築し、そこで生み出した価値を国内外のユーザー企業に提供していきたい。
――どのようにして実現するのか。
ASEANの地場有力SIerやITベンダーに、TISインテックグループへ加わってもらうよう働きかけるM&Aを軸に据える。いきなりM&Aを仕掛けるのではなく、まずは資本業務提携を行い、実際に互いの強みを生かしたビジネスを伸ばせるのかを検証し、うまくいくようなら出資比率を高めてグループに入ってもらう。
典型例がタイの有力SIerのMFEC(エムフェック)で、同社とは6年ほどの時間をかけて互いの強みを補完し合える関係構築や、それを実現するためのグローバル人材を育成し、20年に連結子会社になってもらった。今後も新規の資本業務提携や持ち分法適用会社の連結子会社化などを進めていく。
13期連続で増収増益の見通し
――海外の事業規模はどの程度か。
資本業務提携によって一部出資し、持ち分法適用会社になっている会社の売上高も足し合わせれば1000億円規模ではあるが、純粋な連結子会社の規模でいえばまだ数百億円規模にとどまっている。これを27年3月期には連結売上高ベースで1000億円へ拡大する目標を掲げている。
――グループ全体のビジネスはどうか。
グループ全体の24年3月期の連結業績は13期連続で増収増益の見通しだ。待遇改善で人件費を増やし、円安で海外IT商材の仕入れ値が上昇し、国内の電気代などコスト上昇要因を含めてもなお増益の見通しを立てられているのは、国内外のIT投資の需要を的確に捉えられたことが大きい。24年3月期までの3カ年中期経営計画の売上高、営業利益ともに1年前倒しで達成できている。
――24年4月から次期中計が始まる。
詳細は後日発表するが、顧客や株主、社員、ビジネスパートナーなどの接点に当たるフロントライン強化を引き続き強化していく方針だ。