――2023年の状況は。
23年は、インボイス制度や改正電子帳簿保存法絡みの旺盛な需要があり、全体としてはいい年だった。製品の販売に関しては、特に第1四半期(1~3月)は絶好調だった。5月くらいからブレーキがかかったが、それまでの貯金があったため事なきを得た。下期については、製品の販売はピーク時ほど回復しなったが、受託開発や保守が業績を支える状況になった。
代表取締役社長 橋倉 浩
――多くのニーズがある中、開発はどのように推移したか。
開発については、全てがスムーズだったとは言えないが、遅延なく、しっかりと既存ユーザーへの対応などができた。開発への投資が増えたので、基幹業務システム「SMILE Vシリーズ」と情報系ソリューション「eValue Vシリーズ」の次期製品の開発を進めることもできた。急速に発展しているAIについては、われわれの製品にも取り込まないといけないため、研究開発を推進するための新たな課を4月に設けた。これまでは製品をつくるメンバーが研究開発を兼務していたが、現在は専念できるようになっている。
24年は過去最大の投資を計画
――24年の戦略は。
24年は過去最大の開発投資計画を立てている。具体的には、大塚商会の基幹業務システム「DX統合パッケージ」の機能強化に加え、クラウドネイティブ対応を含めた次期製品の開発の本格化に特に注力し、AI分野の研究開発や応用も引き続き進める。システムはかなりのスピードで進化しているイメージがある。そういう意味では、われわれもスピード感を持って製品を提供し、かつ進化させ続けないといけない。
――事業環境の見通しは。
法改正対応の特需はないので、製品の販売については正直、厳しいとみている。受託開発も減るだろう。ただ、「Windows 10」のサポート終了に伴うソフトの入れ替えや、旧バージョンのソフトのバージョンアップはチャンスとして期待できる。また、クラウド版は順調に伸びており、24年も成長していけると思っている。さらに、大塚商会以外の協力会社との外販ビジネスは計画通りに推移しているので、この部分はしっかりと前進させる。そうすれば大塚商会グループ内での当社の存在価値をより高められるはずだ。
――24年の意気込みを。
「スピード感ある価値の創出で変革し続ける」を24年のスローガンとして設定した。価値は提供して終わりではなく、変革し続けて時代に合ったかたちに変えていかなければならないとの思いを込めている。しっかりと開発をやり切り、24年もいい年にできるようにしたい。