──2024年のビジネスはどうだったか。10月には新サービスの「楽楽請求」の販売も始まった。
23年がインボイス制度や改正電子帳簿保存法の宥恕期間という法要件対応の追い風があり、24年は反動もある中で、さらに経費精算や請求書周りの電子化を推し進めていく1年だった。電子化、クラウド化は浸透したという感触もあり、25年はさらに追い風がないところを進めていかなければならない。業務の電子化は息の長いテーマではあるが、そこをいかに早く進められるかが重要だと感じている。
中村崇則
代表取締役
楽楽請求は問い合わせや、既存のお客様からの引き合いも多く、そこにしっかりと応えたい。テレビCMなどを通じて認知度を高める計画で、今期から来期にかけ拡販に取り組む。請求書周りは紙でのやり取りをいかに電子化するかが重要な課題であり、市場は広がっている。市場が広がれば参入も増え、参入が増えることで市場はさらに広がる。ここから拡大の段階に入るだろう。
──今後の楽楽シリーズの開発、機能拡張の方向性は。
生成AI、大規模言語モデル(LLM)に関しては、複雑な内容をアウトプットしたり、まとめたりといった作業には向いているが、レスポンスの速度が少し遅い面があり、単純なことをチェックするなど、即座の反応が求められる分野では使いにくさもある。そういったところには、機械学習、ディープラーニングで対応しつつ、LLMの使いどころを考えていかなければならない。
今後はクロスセル強化に注力
──27年3月期から始まる、次の中期経営計画でクロスセルを強化する姿勢を示している。その狙いや具体的な方策は。
SaaS事業者として、ある程度大きな規模となり、多くのお客様と取引している中で、ここから新規のお客様をどんどん増やしていくことには限界がある。加えて、より多くのお客様に当社のサービスを使っていただけるようになればとの思いもある。
取り組みとしては、現状のカスタマーサクセスの中で、お客様に案内できるようにしたり、お客様の状況を聞いて、ニーズがあるようなら紹介したりといったところを推進したい。
販売の40%はパートナー経由であり、私たちだけではお客様に届けられない、説得ができない部分では、パートナーの力をお借りしたい。楽楽シリーズ間では、インターフェースや使い勝手の統一化、機能連携などを進める。
──25年の意気込みを聞く。
現行の中計の最終年度として、お約束している目標数値を達成しなければならない年であり、それに向けて全社一丸で取り組む。また、請求書の発行・受領作業は、まだまだ電子化が進んでいない領域であることから、次の中計に向けてという意味でも、一番リソースを投入し、強力に推進することになるだろう。