──2024年を振り返るとどうか。
24年1月1日から改正電子帳簿保存法に対応したものの「生産性が上がっていない」「余計な仕事が増えた」と感じているユーザー企業が意外に多く、業務の見直しを含めたシステムの手直し案件が目立った。
旗生泰一
取締役社長
規制対応は「働き方改革」や「生産性向上」につなげてこそ真価を発揮する。見方を変えれば、ユーザー企業の業務の中身に深く入り込んだ提案を行わなければ、本当の意味でのユーザー企業の需要をつかんだり、課題を解決したりはできない。24年度上期(24年4~9月)の当社ITソリューション事業の売上高は前年同期比で2桁成長できた。当社営業やSEがユーザー企業の課題を解決する提案力が強まってきた表れだと手応えを感じている。
──ITソリューションの主力商材は何か。
当社独自のITソリューション体系「Bridge DX Library」や、クラウド上のワークスペース環境を提供する「FUJIFILM IWpro」などがよく売れている。Bridge DX Libraryの収録数は175種類に増え、ユーザー企業の要望に合わせてメニューの入れ替えを行っている。売れ筋商材をみると、根底にあるのは慢性的な人手不足の社会的課題であり、とりわけ物流や建設、介護などの業種で深刻化している。業務の自動化、効率化によって少しでも人手不足を軽減する取り組みに需要がある。
Dynamics 365が本格稼働へ
──業務の自動化、効率化はどういったものか。
例えば、複合機で読み取った見積書や請求書を、文字認識のAI-OCRでテキスト化し、業務システムに入力するまでを自動化するといった案件が増えている。業務を自動化するための端末として複合機を位置付け、各種の業務システムと連携、構築するところまでしっかりサポートすることで、複合機とITソリューションの両方を伸ばすことが可能になる。
──25年をキーワードで表すとすれば何か。
「ITソリューション元年」をキーワードに挙げる。親会社の富士フイルムビジネスイノベーションが展開する国内外の販売会社の中で、国内販売を担う当社がITソリューション事業で世界をリードしている自負がある。ただ、それでもまだ十分でない。
25年度の早いタイミングで富士フイルムビジネスイノベーションの新しい基幹業務が本格稼働する予定だ。マイクロソフトのERP「Dynamics 365」をベースに構築してきたもので、自社での本稼働のタイミングに合わせてDynamics 365の国内販売事業を立ち上げる準備を進めている。情報系のBridge DX LibraryやFUJIFILM IWproに加えて、基幹系のDynamics 365がそろうことで解決できる課題の幅が大きく広がる。ITソリューション事業の拡大のスピードを一段と加速させる年にしたい。