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普及進むかローカル5G 導入しやすさで市場拡大へ
2025/05/01 09:00
週刊BCN 2025年04月28日vol.2057掲載
(取材・文/堀 茜、大向琴音)

NTTコミュニケーションズ
ドコモの設備活用でコスト低減 製造工場や駅などに提案
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は3月25日、NTTドコモの設備を共用することで、冗長性と保守性の高いローカル5G網を低コストで確保できる「ローカル5Gサービス TypeD」の申し込み受付を開始した。ドコモの5G通信設備の一部を使用しながら、ユーザーの拠点には無線装置(RU)とアンテナのみ新規に設置する形態とし、従来のローカル5Gサービスよりも導入しやすくした。提供開始から約1カ月で、製造・物流・交通分野を中心に30件超の問い合わせが寄せられているという。
同社は、法人向けネットワークコンサルティングサービス「docomo business プライベート5G」において、企業にローカル5Gの構築を提案してきた。機器から運用までがパッケージ化された「サービスタイプ」から、柔軟にカスタマイズ可能な「オーダーメイドタイプ」まで要件に応じた複数の形態を用意しているが、実績の大多数はPoCにとどまり、商用導入に至ったのはプロジェクト全体の22%となっている。
ローカル5G市場の現状について、プラットフォームサービス本部5G&IoTサービス部5Gサービス部門の岩本健嗣・部門長は「ローカル5Gの市場全体が、当初の見立てより3、4年遅れている」と解説する。広がりに欠ける理由は「コストの面でROIが成立しにくい」(岩本部門長)点だという。同社では、機器の購入や工事費などの導入コストに加えて、保守などの運用コストがかさむ点がハードルになっていると分析。加えて、商用導入に耐えうる設備の冗長化と保守体制が求められているとした。

岩本健嗣 部門長
こういった課題を解決するサービスとして、NTTコムのネットワークへの接続に特化したローカル5G通信を提供する、ローカル5Gサービス TypeDを開始した。通信キャリアであるドコモのキャリアネットワークに用いられる設備を共用し、NTTコムのゲートウェイを経由して顧客のデータセンターやクラウドと接続する。これにより、コストを抑えながら設備はキャリアレベルの冗長性を担保。また、全国各地のドコモの保守要員が、TypeD向けにも24時間365日体制で保守サービスを標準提供する。
顧客の施設内に交換機やデータ/無線信号の処理装置などを設置する必要がなくなり、従来の構成と比べ設置スペースを9割程度削減できるのも特長。また、ローカル5Gの構築・運用にあたっては利用事業者が免許を取得する必要があり、この点が普及の足かせになっていたが、このサービスではNTTコムが免許人となるため、ユーザーによる各種申請手続きが不要なのもメリットだ。
RUの利用代金なども含んだサブスクリプションサービスとして展開し、料金は最小構成で月額50万円から。想定する利用シーンとして、製造業の工場、大規模なターミナル駅、スポーツイベントなどを開催するスタジアムを挙げた。岩本部門長は「導入のハードルを下げることでローカル5Gの市場を広げていきたい」と展望。ローカル5G市場におけるネットワークインフラサービスのシェア30~40%にあたる、数十億円規模の売り上げを目標とするとした。
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