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<ストレージ特集> ストレージ選びのポイントは、管理・運用性

2007/09/03 19:56

週刊BCN 2007年09月03日vol.1201掲載

新たな市場を開拓する『データ・デデュープ』 購入しやすい価格帯でディザスタリカバリを
 日本クアンタム ストレージ

■実際のビジネスに活用され始めた『データ・デデュープ』

 多くの企業活動の結果は、「データ」という形で蓄積されている。内部統制や事業継続という観点から、これまで以上にバックアップの重要性が高まっているが、その中でも特にディザスタリカバリ(災害対策)が注目されている。

 「バックアップ業界は、テープが中心の業界と言われています。DLTやLTOと、個別の進化は遂げていますが、テープがバックアップ業界の主流であることは確かでしょう。その一方で、『データ・デデュープ』というテクノロジーが新しいトレンドになりつつあり、業界からもホットなトピックとして注目されています」と、雪竹潤セールスマネージャーは語る。

 日本クアンタム ストレージが『データ・デデュープ』を活用したディスク・バックアップソリューション『DXi』シリーズを提供してから、半年が経過しているが、すでに市場への認知は進んでいる。

 『DXi』シリーズは、同じデータセットの書き込みを行わないため、通常の10倍から50倍というバックアップデータを保存できるという特長がある。さらに、ブロック単位で『デデュープ』することで、WAN帯域幅を効率的に利用でき、既存の回線でもディザスタリカバリのリモート・レプリケーションを活用できる。

 これまでも、ディザスタリカバリのリモート・レプリケーションを実現するソリューションはいくつか提供されてきたが、システムの導入・運用コストが高く、一部の企業のみが利用するまでにとどまっていた。中小企業や大企業の部門では、ディザスタリカバリを使いたくても使えないというのが実状だ。『DXi』シリーズは、このハードルを一気に下げた。これまでニーズはあっても導入に至らなかった企業から、熱い注目を集めている。

■市場を開拓し、導入を促す販促策

 『DXi』シリーズは、1.2TBモデルから10.8TBモデルまでラインアップしており、幅広い企業がターゲットとなっている。

 さらに『DXi』シリーズは、既存の環境に簡単にインストールでき、すぐに運用できるため、導入が容易だ。『DXi』シリーズをパートナー企業のソリューションに組み込めば、提案力・訴求力が増すことも可能になることから、システムインテグレーターなどパートナー企業の期待も大きい。


 「これまで、当社とお付き合いのなかったパートナー様からもお声をかけていただきました。それだけ『データ・デデュープ』が注目されているのだと思います。パートナー様にとっても、エンドユーザー様と同様に待ち望んでいたソリューションだったのでしょう」(雪竹セールスマネージャー)。

 さらに、同社では『DXi』シリーズの認知をさらに進めるキャンペーンとして、07年9月末までの期間限定で『DXi-Series新規導入キャンペーン』を行っている。この期間中であれば、『DXi3500 1.2TB』を特別価格で購入可能だ。『データ・デデュープ』の導入を検討している中小企業や大企業の部門にとっては、いい機会だろう。

 同社では『データ・デデュープ』の認知を進め、さらに市場を拡大すべく、エンドユーザー向けのセミナーなどを開催していく予定だ。

 「エンドユーザー様に対して『データ・デデュープ』で何ができるのかを伝えることで、さらに市場は広がっていくと考えています。ターゲットなどは特に決めず、広くセミナーの参加者を募集していく予定です」(雪竹セールスマネージャー)とのことだ。

 同社の展開は、今後のバックアップ業界の概念を塗り替える第一歩となりそうだ。バックアップ市場の一翼を担う日本クアンタム ストレージに注目が集まっている。



バックアップキーワード解説
バックアップの基本として、根強い人気を誇る「テープ」

 総論でも触れたとおり、企業において「事業継続」という観点から、重要なデータをバックアップし、必要に応じてリストアしたいというニーズが高い。本社のデータやシステムを拠点にレプリケーションを作成し、本社システムに障害が起きても企業の機能を止めず、事業を継続できる「ディザスタリカバリ」が注目されているのも同様の理由からだ。『データ・デデュープ』といった新しいテクノロジーにより、ディザスタリカバリの導入の障壁は低減され始めているが、普及するのはこれから先の話となる。

 現在、バックアップ業界で根強い人気があるのは「テープ」である。リストアに時間がかかるという面も無視できないが、可搬性の高いメディアであるため本社と別の場所に保存でき、万が一の障害時でもシステムを確実に復旧することができる。また、長期保存性や管理・運用面での実績も多く、ユーザーが安心して使えるという部分もあるのだろう。「LTO Ultrium 4」や「DTA 160」も投入され、市場自体も活性化している。

 また、企業システム全体をバックアップするのではなく、サーバー自体のバックアップにも「テープ」は使われている。最近ではサーバーに対する「テープ」の装着率も下がっているようだが、バックアップの基本は「テープ」であることは間違いない。

 「テープ」と一言でくくっても、実にさまざまな規格があり、企業のシステム環境にマッチした製品が選択できる。また、数世代先までのロードマップも明示されていることも多く、長期間使用することを視野に入れたソリューションとなっている。ここでは「テープ」の規格について主な用語を解説しておこう。

DDS(Digital Data Storage)

 DDSは、音楽用テープDAT(Digital Audio Tape)のデータ記録用として開発され、ローエンドサーバーで利用されることが多い。DDSの第5世代からは、DATという名称に変わった。DAT160では、カートリッジ1巻あたりの記憶容量は160GB(データ圧縮時。非圧縮時80GB)。

AIT(Advanced Intelligent Tape)

 AITは、ソニーが開発/規格化している8mmサイズのテープ規格。コンパクトなカセットだが、AIT-5では1040GB(圧縮時。非圧縮時400GB)となり、中小規模ネットワークから大規模ネットワークまで幅広くサポートする。大容量・コンパクトを求めるユーザーにとって、適したストレージソリューションと言えよう。

DLT(Digital Linear Tape)

 事実上のデファクトスタンダード(業界標準)の規格。もともとDigital Equipment Corporation(DEC。1998年にCompaq Computerに吸収)が開発したもの。既にDLTが導入されている市場にアップグレードが進む。DLT-S4では、カートリッジ1巻あたりの記憶容量は1.6TB(圧縮時。非圧縮時800GB)。

LTO(Liner Tape-Open)

 HP、IBM、Certanceの3社により共同開発された規格で、ミッドレンジを中心に拡販されている。市場でも多くのシェアを獲得しており、注目されている規格と言える。現在市場を牽引しているのはLTO Ultrium3だが、カートリッジ1巻あたりの記憶容量が1.6TB(圧縮時。非圧縮時800GB)というLTO Ultrium4も提供され、今後の伸長が期待されている。

日本クアンタム ストレージ=http://www.quantum.co.jp/

(週刊BCN 2007年9月3日号掲載)