世界初
(1) のノートPCである「dynabook」は誕生から36年を数え、日本を代表するPCブランドとして広く浸透している。2024年度にはノートPCのブランド別で国内シェア1位
(2) を獲得し、市場からの高い評価を裏付けた。そのブランド力の根源には、製品開発を支える技術力はもちろん、全国約50カ所の拠点で構成される営業・サポート網、さらには各拠点と深くつながるパートナーの存在がある。各拠点の実態を通じて、コンピューティングとサービスで地域の顧客を支え続けるDynabookの本質に迫る。
第8回は西日本支社が管轄する関西エリアを取り上げる。植林冬樹・支社長は「ノートPCで36年間培ってきた強みを生かし、これまで開拓できていなかった市場に攻勢をかける」と語る。2025年8月に新たに開設した西日本LCMセンターでより高い価値を提供できる体制を整え、パートナーとの関係をさらに深めてシェア拡大を推し進める構えだ。
(1):1989年、世界初のノートPC「DynaBook J-3100 SS001」を発売
(2):「IDC Quarterly Personal Computing Model Analysis」(※)は、IDC独自の調査手法に基づき、各情報ソースのガイダンスを用いて、PC製品市場規模、ベンダーシェアの実績や市場予測を定期的に提供するデータベース製品です
※Source:IDC Quarterly Personal Computing Model Analysis 2025Q3 Share by Brand ※2024年(1月~12月) ALLSegment合計。Dynabook社のシェアは14.7%
住所:〒661-0981 兵庫県尼崎市猪名寺3-2-10
電話番号:06-6426-6700(西日本支社代表)
地域密着で魅力を伝える
西日本支社は関西、中国、四国、九州・沖縄までを担当する。植林支社長は「コロナ禍でリモート社会に突入し、PCのモバイル化が一気に進んだ。36年間ノートPCをつくり続けてきた私たちにとって大きなチャンスだ」と市場環境を捉える。
西日本支社
植林冬樹 支社長
関西圏は製造業や医療・医薬、インバウンド需要に支えられた観光関連など多様な業種が集積しており、「競合メーカーが強かった領域において、新たなパートナー様とのコンタクトを通じ、モバイルやタブレットの強みを生かしてアプローチできる状況が生まれている」と手応えを示す。
近年はモバイルPC市場で存在感を示しているとはいえ「お客様に直接dynabookを指名していただけることは少ない」。だからこそ「地域に密着した人員配置を生かして、お客様にいかに魅力をPRして、提案できるかが肝だ」と強調する。
「Windows 10」のサポート終了に伴う需要が一巡し、今後は市場の踊り場が見込まれる。加えて、部材の高騰や円安の傾向によって、ユーザーは投資にシビアになることも懸念される。植林支社長は「業界は厳しい局面に来ていると受け止めている。需要が落ちる局面でやるべきは、市場での存在感を高めていくこと。新規ホワイトスペースの開拓と新しいパートナー様との関係構築を進め、数年後のリプレース時にリピーターとして戻ってきていただける基盤をつくる。ここ1、2年が勝負だ」と見据える。PC以外のソリューションや西日本LCMセンターを活用した提案も進め、ハードウェアだけに依存しない事業体質の構築も目指す構えだ。
関西第一営業部 未開拓市場をパートナーと掘り起こす
関西第一営業部は近畿2府4県のディストリビューターやエリアパートナーを中心にビジネスを展開している。競合との違いはパートナーへの手厚い営業サポートだ。「私たちは現地に営業人員を配置し、パートナー様とともにお客様へ同行訪問できる」と、地場に根差した営業スタイルを強みに挙げる。
関西第一営業部
松岡賢司 部長
近年は、これまで関係の薄かった販売パートナーからも「組めませんか」という相談が増えているという。認知度の向上に加え、モバイルPCの製品力が評価されているかたちだ。「『モバイルPCはやっぱりdynabookだね』と言っていただくことが非常に多くなった」と語る。
支社の方針として新規パートナーの獲得と並行し、金融や医療など未開拓のマーケットの攻略にも取り組んでいる。金融系の顧客を多く持つ新規パートナーとの協業では、エンドユーザーへの同行訪問を通じて、仕様だけでなく納期やコスト面の課題を直接把握。問題点を解決したことで採用が決まり、その後の複数の受注につながった。「パートナー様との協働がマーケットの広がりに結びついた」と振り返る。
今後も「dynabookが進出できていない市場に向けて、新たなパートナー様とともに活動領域を広げたい」。AI活用に向けたPCについては、3、4年先を見据えた先行導入の動きも出始めており、お客様のニーズに合わせた提案を進めていく考えだ。
関西第二営業部 情報提供を通じて、接点を保ち続ける
関西第二営業部はエンタープライズ企業を主に担当し、製造業の顧客が多くを占める。「1対1のプレゼンテーションで価値を伝えている」と語り、一方向で製品をアピールするだけではなく、顧客から寄せられる課題や改善要望もダイレクトに受け止め、困りごとがあれば、サポート部門や技術部門と連携して解決にあたる。製造部門にもユーザーの意見をフィードバックし、開発に反映させている。
関西第二営業部
椿 裕平 部長
一方で、次の商談が4年、5年先になる顧客の場合、その間も接点を絶やさず、製品情報の提供や新サービスの紹介を続けることが不可欠だ。
「採用実績のあるお客様に対しては営業やサポートなどで接点を保つことが重要であり、まだ採用いただいていないお客様でも、いろいろな方法で情報提供を続け、とにかく途切れさせないことが大事だ」と強調する。
AI関連のニーズも高まりを見せている。「先行しているお客様はAI対応PCを数年かけてどう使うかをイメージしている。まずは使ってみようという段階のお客様には、幅広いユーザー様の事例の共有も含め、われわれが有している知識や情報の提供に取り組んでいる」と語る。
エンタープライズではPCのライフサイクルマネジメントが大きな課題となっているだけに、西日本LCMセンターを通じたサービス提案でDynabookならではの価値を提供していく。
関西フィールドサポート部 一気通貫の安心感で信頼を得る
関西フィールドサポート部は2府4県に加え福井県の一部もカバーし、PCの修理・障害対応を中心とした保守サポートを手掛ける。松原部長は「一番の役割は、現在のユーザー様をしっかり守り、次のリプレースでもdynabookを選んでいただくこと」と位置付ける。故障時には翌日対応を基本とし、部品確保からサービス人員のスケジューリングまで迅速に動く体制を敷いている。
関西フィールドサポート部
松原英世 部長
メーカーならではの保守サービスの強みがある。品質部門や工場と直接つながっているため、問い合わせに対して迅速に回答できる。「代理店が対応するのではなく、メーカーとしてのレスポンスの良さは優位性になっている」。
ある事例では、顧客が一度は他社にリプレースしたものの、導入後の対応などを踏まえて「やはりDynabookのほうがいい」として、PCの導入サポートを含めて受注を再度得ることができた。丁寧な対応が認められた証だ。
修理以外の領域にも活動を広げている。定期的に訪問している顧客からは監視カメラの導入やネットワーク関連の相談もあり、設定作業は自社で対応しているという。
一方で、他の拠点よりも若手メンバーが多いため「技術面や商品知識の底上げが課題」とし「日頃の業務の中で、お客様との対話からさまざま情報を受け取り、Dynabookの認知をさらに広げられるようにしたい」と今後を見据える。
西日本ソリューション技術部 新しいLCMセンターで対応力を強化
西日本ソリューション技術部は、営業部門と連携しながら導入前のマスター作成やキッティング、サーバー・ネットワークの設計・構築、導入後の運用サポートまでを一手に担う。近年はクラウド関連のソリューションも手掛け、対応領域は広がっている。
西日本ソリューション技術部
渡部 巌 部長
顧客の情報システム部門が端末管理に追われ、本来注力すべき業務に手が回らない状況もあり、西日本LCMセンターの活用を積極的に提案している。
西日本LCMセンターは2025年に新たに設立された。大阪国際空港(伊丹空港)に近い立地を生かし、西日本の顧客には出荷翌日の着荷が可能で、輸送コストも抑えられる。
加えて、パートナー向けにもパッケージメニューを設け、幅広い顧客に対応できる体制を整えている。さらに「単なる作業場ではなく、Dynabookの製品やソリューションを紹介・体験いただけるショーケースとしても活用したい」と構想を語る。
また、印象深い事例として、ある顧客のサーバー更新案件を挙げる。サーバーの集約を伴う複雑な構築で社内からも不安視する声があり、協業パートナーとも費用面で折り合わなかった。正直に状況を伝えたところ、顧客から「一緒にやろう。今までの対応通りにやってくれれば、しっかり協力する」との言葉をもらい、プロジェクトを組んで構築を完遂できた。
「一つ一つの対応をお客様が認めてくださり、次につながっている。信頼してもらえる関係を積み重ねていくことが大切だ」と力を込める。