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<コンシューマ冬商戦戦略特集> ユニークな製品が次々登場 エンドユーザーと販売店を意識した製品でシェア獲得を目指す 前編

2007/09/28 19:56

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

新ブランド「PRODIA」を立ち上げ、AV家電市場に参入するピクセラ

同社の新しい事業の柱として

 ピクセラは1982年に「堺システム開発」として、パソコン周辺機器にかかわるハードウェア・ソフトウェアのOEM提供を核とし展開してきた。このたび、新ブランド「PRODIA」を立ち上げ、新規市場の開拓を目指す。同社の戦略について、営業本部 リテール営業グループの鈴木義則グループリーダーに話を聞いた。

■高い技術力は多くのメーカーから支持

 「当社は設立から25年です。当社が、大きく伸長したのはアナログのテレビ・ビデオキャプチャボードでしょう。2001年ピクセラとして初めてアナログキャプチャボートを開発し、05年には業界で初めてパソコン用の地上デジタル対応ハイビジョンボードを開発、OEM提供を始めました。それ以前にもMac用のプリンタドライバ開発などで一定以上のご評価をいただいていたこともあります。それらが礎となり、現在の当社があります」と、営業本部 リテール営業グループの鈴木義則グループリーダーは語る。

 同社の高い技術力は多くのメーカーから認められ、大手メーカー製PCに同社の製品が相手先ブランドによる生産(OEM)供給されてきた。また、地上デジタル放送についてのノウハウも蓄積しており「ワンセグをOEM供給したのは国内では当社が初めて」(鈴木グループリーダー、以下鈴木GL)とのことだ。

■ピクセラが目指すのは「ファンダメンタルクオリティ」

 そのピクセラが満を持して新ブランド「PRODIA(プロディア)」を立ち上げる。「“PRODIA”は、当社の新しい柱として育てていこうと考えているブランドです。新しい柱で売り上げを確保していこうという狙いもあります」(鈴木GL)。「PRODIA」は、ピクセラが主戦場としているPC周辺機器市場だけではなく、デジタル家電市場もターゲットとしたブランドで、コンシューマ市場で展開することになる。「“PRODIA”とはラテン語の“PRODO”(英訳:transmit、伝える・伝達するの意)と地名によく使われる接尾辞“IA”を組み合わせた造語です。新しいフィールドを作っていきたいという想いが、このブランド名に込められています」(鈴木GL)。「PRODIA」ブランドの製品が目指すところは、「品質を保ちながら、快適で心地よい製品」(鈴木GL)ということだ。とかく、価格競争に陥りやすい市場において、コストメリットを出しながらも、品質・性能・機能・スタイルなどに一切の妥協がないピクセラらしい製品を提供していくということだ。基本的な性能・品質を重視する「ファンダメンタルクオリティ」というコンセプトがピクセラには息づいているのである。

 ピクセラでは「PRODIA」ブランド第一弾として「地上デジタルハイビジョンチューナー」と「20V型地上デジタルハイビジョン液晶テレビ」を投入する。「ご存じの通り、2011年7月24日に現在のアナログ放送から地上デジタル放送に完全移行します。それまでに地上デジタル放送対応テレビに買い換えられるユーザー様も多いとは思いますが、既存のテレビに地上デジタル放送対応のチューナーをつけて利用するというお客様もいらっしゃいます。この市場は一般に5000万台あるといわれています。市場としては非常に大きなものです」(鈴木GL)。

 その市場に対して、同社の「地上デジタルハイビジョンチューナー」が投入される。同社の製品投入は後発となるが、その分製品開発に力を入れ、作り込みもしっかりと行われている。

 同社の製品は、非常に高画質でノイズレスのクリアな映像が楽しめる。さらに、EPG(電子番組表)で番組放送予定がチェックできるなど、地上デジタル放送対応テレビと変わらない利便性を訴求している。「スペックにはあらわれにくいのですが、チャンネル切り替えの速度や利便性の部分で、使いやすい製品に仕上がっています。また、待機時の消費電力が1.5W以下で非常に省電力設計となっておりますし、コンパクト設計なので設置場所を選ばないというのも特長です」(鈴木GL)。

 また、コンシューマのみならず病院、マンスリーマンション、ビジネスホテルといった法人市場でのニーズも顕在する。市場としては、これまでにない幅広い市場がターゲットとなる。

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