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<ネットギア特集> 日本市場での事業拡大がカギに 売上成長率が年平均28%増と好調

2007/12/19 19:56

週刊BCN 2007年12月17日vol.1216掲載

 無線LANルータなどネットワーク関連機器メーカーの米ネットギアの売上成長率が年平均で28%増と好調だ。コンシューマやSOHOなどを対象に革新的な製品を投入。マーケットで高いポジションを獲得している。今後は、日本を最も成長が期待できる市場と捉えて体制を強化する。今、ネットギアが国内事業の拡大に向けて動き出した。

■新技術を駆使し、コストを抑えた製品を投入

 コンシューマ/SOHOを対象としたワールドワイドのネットワーク関連機器市場でシェアを伸ばしているネットギア。ある調査会社によれば、同社は無線LANで15.5%で2位、イーサネットスイッチで21.3%とトップを獲得している。なぜ、高いポジションに君臨しているのか。この理由についてパトリック・ロー会長兼CEOは、「他社には真似のできない革新的な製品やサポートを提供しているからです」と強調している。

 同社の製品は、最新技術を積極的に採用していることに加え、「使いやすさ」「品質」「信頼性」「パフォーマンス」「価格」を追求している。さまざまなニーズやネットワークの規模に対応していくため、豊富な製品群も特徴的だ。なかでも、価格については「新技術を駆使しながら、他社は当社と同等の価格に設定できないでしょう」とロー会長兼CEOは自信をみせる。つまり、他社製品と変わらない機能を持ちながら低価格で提供しているというわけだ。例を挙げれば、日本市場で今年夏に発売したポケットサイズのUSB無線LANアダプタ「WG111」は2280円と、かなりの破格値だ。小型化を実現していることから、気軽にノートパソコンやデスクトップパソコンを無線LANに対応できるようにした。

■独自技術「X-RAID」を搭載した「ReadyNAS」を投入へ

 最近では、ネットワーク周辺機器にも力を入れている。このほど日本市場に投入した最新ネットワーク対応のストレージ「ReadyNAS(レディナス)」は、ハイエンド・サーバーに搭載されていた技術を小規模オフィスや家庭で手軽に利用できるようにコンパクトな筐体に仕上げた。最適なRAID構成を自動選択する同社の独自技術「X-RAID」で、合計4台までハードディスクが追加可能という環境も実現している。ほかにも、障害が発生したディスクを交換する際でも電源を落とさない状態で取り外せるホットスワップ機能を搭載している。

 サポート面では、ハードウェアに対する長期保証をグレードアップし、ユーザーが対象製品を所有している間は期間を定めずに保証を継続する「ライフタイム保証」を開始。「ProSafe」と表記された製品については、追加料金なしで保証が受けられる。ハードウェア交換に関しては回数に上限がないため、ユーザーが安心して同社製品を利用できるというわけだ。

 最新技術への対応という点では、ワールドワイドで注目を集めている次世代無線規格の「WiMAX」にも着目している。ロー会長兼CEOは、「あるブロードバンドが敷設されていない地域では、当社の製品を使ってトライアルを実施しています」という。ほかにも、エネルギー対策の観点から、「ネットワークを介して自宅の内外から家電製品や防犯機器を操作できる『ホームコントロール』の分野に着手することを計画しています」としている。

 ワールドワイドでの昨年度(06年12月期)売上高は、5億7300万ドル(日本円で約630億円)という実績。97年の設立から平均で年25%増の成長率を誇る。今年度は、前年度比30%程度の増加を見込んでいる。ロー会長兼CEOは、「今後もますます飛躍していきます」と意気揚々だ。

 着実に成長する同社にも、課題がある。ロー会長兼CEOは、「実は日本市場でのビジネスを拡大することなんです」と打ち明ける。

 というのも、欧米ではシェアが高いにもかかわらず、日本ではシェアが1ケタ台前半と極端に低いためだ。北アジア地域を担当するサイモン・チャング マネージングディレクターも、「中国や韓国はシェアが20%はあります。当社の製品が新技術を搭載し、しかも価格が安いと認められているからです。日本も、ほかのアジア地域と同様、成長できる路線を描き、さらにビジネスを拡大していかなければなりません」と訴える。

 ロー会長兼CEOは、「日本が第2の市場であることに変わりはありません。しかも、日本で通用すれば世界で通用する。成長が最も期待できる市場でもありますので、強化する重要性を認識しています」という。米国本社の日本支社に対する具体的な強化策として、“サテライトオフィス”的なポジションに格上げし、来年早々に法人化を計画している。

 「日本への投資は惜しみません。成長すればするほど積極的に行います」とロー会長兼CEOは力を込める。体制を強化することで、どのような変革を果たすのか。日本のコンシューマ向けネットワーク関連機器市場は、国産メーカーが強い分野だ。海外メーカーの同社が、いかに入り込んでいけるかに注目が集まりそうだ。

 
 

営業推進部でマーケティング強化
まずはコンシューマ市場で5位に


 コンシューマやSOHOを対象としたネットワーク機器の販売について「日本に限らず、どの地域でも、その国に本社を置くメーカーが強いといえます」とロー会長兼CEOは考える。現段階で日本でのシェアが低いのは、「欧米と比べて力を入れていなかったため仕方ありません」と認める。そこで、日本ビジネスの強化に踏み切ったわけだ。
 ネットギア日本支社では、既存の営業部に加えて営業推進部を設置することでマーケティング力を強化した。営業推進部では、市場に適した製品投入や販売方法などを模索している。デイビッド・デン日本支社長は、「国内ネットワーク関連機器市場は競争が激化しています。きちんと市場を把握することがシェアを伸ばすカギ」と判断したという。今回の体制強化で、「まずは、08年度にコンシューマ市場でシェア5%、5位を確保します。売上成長率については35%増を目指します」とデン支社長は断言している。
 強みは、「各国でトップ獲得のメーカーは、1つの国でのみ高いシェアという一方、当社は欧州とアジアの複数地域でトップシェアを維持している。トップを獲得した地域のノウハウ、日本のマーケティング強化で確実にシェアを伸ばします」とロー会長兼CEO。「将来的には20-25%のシェアを獲得します」と言い切る。
 


(週刊BCN 2007年12月17・24日号掲載)
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