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<プリンティングソリューション特集> 第二部 プリンティングソリューション 後編

2008/03/17 19:56

週刊BCN 2008年03月17日vol.1227掲載

OKIデータ プリンタ市場をリードするパイオニア
LED技術開発を核に、LEDプリンタ市場の創出を狙う

■注目され始めたLEDプリンタのメリット

 OKIグループは技術志向のベンダーとして知られており、日本最初の通信機器メーカーである。前身となる明工舎が1881年に創業して以来、最先端の技術・製品・サービスを市場に投入し続けている。現在では、情報通信システムだけではなく、半導体、プリンタという業務分野を柱としている。そのプリンタ事業を受け持つOKIデータは、ワールドワイドで展開し、世界120か国と地域で製品を提供。現在でも、海外拠点やパートナーの数を増やしており、各国で高い評価を獲得している。

 同社のプリンタは感光体への書き込み光源として「LED」を使っている。OKIデータは、世界初のプリンタ用LEDヘッドを開発しており、LED技術開発のトップベンダーでもある。レーザープリンタと比べ、光源と感光体の距離が近く、より小さな点を描くことと、エンジン自体の小型化が可能だ。また、ひとつのベースエンジンから多くの機種を開発することができるメリットがある。つまり、小型化・高画質化・低コスト化が期待できユーザーメリットも大きいため、大手プリンタベンダーも参入し始めているのである。特にカラーページプリンタにおいては、CMYKという4つの印字ヘッドが必要なため、そのメリットはさらに大きくなる。まだカラー機の主流が4サイクルだった時代にも、いち早くタンデム方式を採用したOKI MICROLINE 5100が世界的なヒット商品となり、長くカラーページプリンタ市場をリードしてきた。

 しかし、技術的なハードルが高く、OKIデータ以外の製品ラインアップはまだまだ少ない。

 OKIデータは、LED技術開発に長けており、ドットの階調表現に対応したり、マイクロファイントナーを採用するなど、繊細な表現を可能としている。

 また、印字ヘッドの開発技術にも注力している。分子間力を使って半導体の異種材料間接合を行う「エピフィルムボンディング」技術を実用化し、業界の注目を集めている。従来、印字ヘッド内のLEDはドライバICと金ワイヤーで接続されていた。「エピフィルムボンディング」は金ワイヤーを大幅に削減し、印字ヘッドの小型化も実現した。生産工数や生産材料の削減により、コスト効率までも高める。グリーンITという観点からも注目を集め、2007年12月には第5回新機械振興賞の「経済産業大臣賞」も受賞している。「エピフィルムボンディング」は、印字ヘッドだけではなく、ディスプレイなど、さまざまな分野に応用可能な技術として大きな期待を寄せられている。

■ビジネスニーズに応え、右肩上がりの成長を遂げる

 国内のプリンタ市場を俯瞰すると、あまり大きく伸びてはいない。しかし、LEDプリンタを持つOKIデータは台数・金額ともに右肩上がりの成長を遂げている。OKIデータは、数年前からチャネルを整備し、市場を広げる展開を行ってきた。もちろん、市場ニーズに応えた製品の提供なども適切に行い、パートナー企業からの支持も獲得している。内部統制やセキュリティなどを求めるユーザーに対しても適切なソリューションを提案できるのがOKIデータの強みだ。

 OKIデータによると、オフィス市場をターゲットとしたCシリーズが顕著に伸び、特にC8000シリーズなどは、多くの企業へ導入が進んでいるという。これは、同社が注力してきたLEDプリンタの認知が進んでおり、LEDプリンタの良さが浸透してきた結果ではないか、と分析している。

 同社のLEDプリンタは小型で設置場所を選ばない。また、シングルパスを採用しており、紙に負担をかけない用紙搬送路を確保している。そのため、POPやポスター作成が可能な長尺用紙をはじめ、さまざまな紙や媒体に対応するほか、ジャムが起こりにくいという特徴がある。

 LEDというコアテクノロジーを活用し、業務分野を広げているOKIデータ。現在、市場で盛り上がりつつあるLEDプリンタについても、数歩先を歩んでおり、同社の大きな差別化ポイントともなっている。プリンタ市場を進化させる技術革新を続ける同社の展開から目が離せない。

OKIデータ=http://www.okidata.co.jp/

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