いわゆる「情報爆発」が、現実のものとなり始めている。企業が扱うデジタル情報は日々増加し続けており、これらの情報を適切に保存し、必要に応じてすぐに取り出し、活用できる体制作りが求められている。そこで注目されているのがストレージだ。ただし、既存のストレージは管理・運用工数がかかり、リアルタイムで容量を増減することができない。こういったことから、機器を止めることなくアップグレードしたいというニーズは高まり、そのニーズに応える次世代ストレージが登場している。今、新たな局面を迎えているストレージ市場の現状を追った。

次世代ストレージなどが登場し、活性化する市場

情報爆発に備え
ストレージへの要望が高まる


 経済産業省の「グリーンITイニシアティブ」によると、企業や家庭の本格的なIT化に伴い、動画像の送配信や各種ITサービスなどが普及し、社会全体で扱う情報量が爆発的に増加することが予想されている。同資料によると、2006年のインターネット内の情報流通量の推計が637Gbps(ギガビット/秒)から、25年には121Tbps(テラビット/秒)となり、およそ190倍になると見込んでいる。デジタル情報は日々、急ピッチで生成され、数年間で現在の数倍から数十倍になると試算する調査会社も多い。まさに「情報爆発」である。

 実際、ユーザーはこれまでとは比較にならないほど、大容量のデータを扱うケースが増えている。テキストによる文字情報のみならず、画像や映像などのデジタル情報も増えているが、これらのデータは技術の進化とともに日々高解像度化し、詳細な情報を取得することが可能になった。つまり、データの肥大化は加速する一方なのだ。

 一方、事業継続や災害対策ということに留意し、レプリケーションを作成し、メインサイトの情報を適切に保護したいというニーズも高い。これらのデジタル情報は加速度的に増えていくため、このデータを保存するストレージのコストは、膨大な金額になり、大きな課題となっている。増え続けるストレージの管理・運用コストを低減させたいという要望が高まるなか、そのニーズに応えるため、無停止・シームレスなアップグレードが可能な次世代ストレージが開発されている。これらの次世代ストレージは、同じデータセットの書き込みを行わないため、通常の10から50倍というバックアップデータの保存が可能だ。WAN帯域幅を効率的に利用することもできるので、既存回線でも災害対策のリモート・レプリケーションを活用できる。

 これまでも、ディザスタリカバリのリモート・レプリケーションを実現するソリューションはいくつかあったが、いずれもシステムの導入・運用コストが高く、大規模企業など一部の企業のみが利用するまでにとどまっていた。中堅・中小規模企業では、ディザスタリカバリを使いたくても使えないという状況に革新をもたらすソリューションが、注目を集めている。

ユーザーやパートナーが
扱いやすい製品が出そろう


 基幹系や医療系、シミュレーションなどの科学技術計算といったミッションクリティカルな業務やシステムでもITを活用するケースが増えており、信頼性はもちろん、パフォーマンスを求めるユーザーが増えてきている。今や企業システムをつなぐネットワークが高速になり、大容量のデジタル情報を容易に扱うことができるようになった。しかし、これらの情報を蓄積するストレージの安定性・信頼性・パフォーマンスが低ければ、その部分が企業のリスクになってしまう。

 エンドユーザーのみならず、パートナーにとっても、このような課題に応えるソリューションは必須だ。また、パートナーにとっては扱いやすいソリューションであることが重要視されている。 そこで注目されているのが、RAIDコントローラーである。

 RAIDコントローラーは、顧客の要求に応じてさまざまな活用がされてきた。業務を止めることなく、デジタルデータの保護を実現することが求められるのは当然だが、さらにパフォーマンスも重要視されている。そのため、高速なCPUを採用したRAIDコントローラーも登場している。

 RAIDコントローラーのなかには、デグレード時のリスク回避や故障したアレイのデータを、可能な限り救済する機能を内包した製品もある。さらに、システムインテグレーターの要望に応え、LinuxやWindowsなど多くのOSに対応し、別途ドライバをインストールすることなく稼働する製品も登場している。このような対応は、多くのシステムを構築するシステムインテグレーターにとって朗報といえるだろう。

 ユーザーの声に応えた製品も多く、Windows Storage Serverを採用したモデルも投入され始めた。エントリーモデルのNASの多くはOSにLinuxを採用しているが、これらのNASはWindowsとの相性がよく、Active Directoryで管理するネットワークに追加できるなど運用性も高い。

 ストレージは、企業システムを支える重要なソリューションである。そのため、信頼性が高く、運用・管理コストを低減できるソリューションが求められている。次世代ストレージが新たなビジネスチャンスとなるのは、間違いない。

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