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<オービックビジネスコンサルタント特集>今後10年の主力製品“原版”次世代通信環境で利用拡大へ

2008/05/05 19:56

週刊BCN 2008年05月05日vol.1234掲載

内部統制対応が万全の「奉行V ERP」
「締め処理」などのIT統制も可能

 経済産業省が公表した内部統制の整備運用に求められる「システム管理基準 追補版」を受け、オービックビジネスコンサルタント(OBC)は2008年2月、本格的なERP(統合基幹業務システム)「奉行V ERPシリーズ」の内部統制機能を大幅に強化した。グループ企業複数社が導入するモデルを考慮したリニューアルであり、「特に日本の商習慣である『締め処理』などに関するIT統制を考慮した」(日野和麻呂・開発本部OTECグループ・グループリーダー)ことを含め、内部統制の構築・運用に必要な統合的な管理機能を備えた。このリニューアルを機に、上場企業のグループや関連企業を中心に市場開拓を加速させる。

リニューアルを機に市場開拓を加速

 今回の「追補版」はIT統制の具体策に踏み込み、内部統制に対応するユーザー企業やシステム構築を担当するITベンダーにとっても方法論が明確になった。当然、金融商品取引法が「財務報告の信頼性」を目的としていることから、「基幹システム、特に財務会計システムへの注文は日に日に要求度が高まっている」と日野グループリーダーは、内部統制に対応した高レベルのシステムを提供し、丁寧に提案することの重要性を認識している。

 「奉行V ERPシリーズ」の内部統制向けリニューアル版は、利用者のアカウントを集中管理することで、権限設定・ログ管理など、内部統制の構築に必要なセキュア機能を搭載し、かつ運用性を両立できる。特徴の1つは、セキュリティポリシーを徹底管理し、利用者の不正処理や改ざんを防止する機能があることだ。利用者のパスワードを厳密に管理する機能や有効期限設定、過去の利用不可範囲を設定できる。

 日野グループリーダーは、ユーザー企業が起こしがちな不正処理を防ぐ例を挙げる。「日本の商習慣として、1か月前の取引を集計して買掛金の支払いを確定する『締め処理』がある。ユーザー企業では、この処理の伝票入力が確定したあとに普通に修正してしまうことがままある」。

photo そこで、処理が確定したら、管理者であれ、誰も修正を加えられないようにアカウントを完全にロックする「アクセス制御」機能を加えた。「監査法人には、『とてもすばらしい仕組み』と高い評価を得た」(日野グループリーダー)という。さらに、「追補版」のチェック一覧に沿って伝票入力時に日付や科目などデータ入力項目を制限する「入力ミス抑止支援」機能なども追加し、「財務報告の信頼性」を担保する独自機能でユーザー企業の利便性を高めている。

IT統制に効果を発揮する利用者登録・権限管理機能

 「奉行V ERP」はこのほかにも、利用者登録・権限管理やログ管理の面で大幅な機能アップを図った。同システムでは利用者を「承認者権限を持つ利用者」と「担当者権限を持つ利用者」に分けて運用でき、利用者アカウントごとに「参照許可」「削除拒否」などの権限を細かく付与できる。また、ログ管理としては、ログイン・アウト時とメニュー起動・操作時のログを「奉行V ERPシリーズ」のビューアーで確認できることも利便性と信頼性を高める機能としてIT統制に効果を発揮する。

 日野グループリーダーは「『締め処理』などの帳票類の印刷データに対する管理やユーザー企業内で行う内部監査人が監査する時のストレスを大幅に軽減できる」と、一連の内部統制対応機能についての意義を説明する。

 OBCは06年11月、ユーザー企業の内部統制構築プロセスで大きな比重を占める「文書化」対策を支援する「奉行DOCUMENT Pack」を発売。内部統制に関連する文書作成ツールとサンプル文書をパックにした。さらに07年5月には「プロジェクト運用」や「文書化」、「評価・改善」に至るプロセスごとに必要なITツールを「奉行内部統制ソリューションフレームワーク」として提供。07年6月にもユーザー企業内の業務プロセスを可視化し、リスクを洗い出して「業務フロー図」「リスクコントロールマトリックス(RCM)」「業務記述書」の“3点セット”を自動作成する「奉行DOCUMENT Pack iGrafx Edition」の提供を、カナダCorel社の機能を採用して販売開始した。

 同Packは、すでに約800ライセンスを販売した。このユーザー企業はすべて「奉行V ERPシリーズ」の「見込み客」になり得ると期待が高まっている。

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