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<オービックビジネスコンサルタント特集>今後10年の主力製品“原版”次世代通信環境で利用拡大へ

2008/05/05 19:56

週刊BCN 2008年05月05日vol.1234掲載

業務オプション製品を順次拡充へ
手組みを極限まで減らせる環境提供

 通信環境などの新しい波の訪れを想定し、満を持して開発/販売したオービックビジネスコンサルタント(OBC)のERP(統合基幹業務システム)「奉行V ERPシリーズ」は、マイクロソフトの次世代開発環境を活用した.NETネイティブコードによって構成された製品だ。他社製品との接続性や拡張性に優れ、「カスタマイズを極限まで減少できる」(唐鎌勝彦・アプリケーション開発部部長)ほか、インターネット経由で最新システムにもアップデートできる。販売パートナーやユーザー企業の要望に応えた製品に仕上がっている。カスタマイズを減らすオプションの拡充は、この先も継続的に行い、より低コストで短納期可能なシステムを追求する。

.NETネイティブ製品で接続性や拡張性に優れる

 「奉行V ERPシリーズ」は、メインプロダクトである会計システム「勘定奉行V ERP」が、2008年4月16日発売のマイクロソフトの新サーバーOSに対応した条件と指定機関の検証をクリアし、「Certified for Windows Server 2008ロゴ」を国内初取得した。すでに07年6月には「Certified for Windows Vista ロゴ」を取得済みで、国内初ダブルロゴ取得製品となる。

 製品群は人事管理・給与計算システム「人事奉行V ERP」「給与奉行V ERP」、法定調書作成システム「法定調書奉行V ERP」、販売・仕入・在庫管理システム「商奉行V ERP」「蔵奉行V ERP」のほか、統合運用管理ツール「OBC Management Studio」を揃えている。

パートナーとの市場拡大を狙い、システム構築の生産性を向上

 中堅や成長企業の細かな要求に応えるため、他社製品との接続性やツールの拡充性を高める仕組みにしたほか、開発環境では、「部品を共通化した弊社Frameworkの活用により、これまで各プロダクトで異なっていた仕様の違いをなくし、システム構築の生産性を3倍に上げた」(唐鎌部長)と、全く新しい言語と環境で再構築したことを強調する。photoまたデータベース構造やAPI、開発技術環境、開発ツール(SDK)などを公開。業種・業務向けシステムを提供するSIerやISV(独立系ソフトウェアベンダー)などが提供する製品との接続性は高まり、旧環境(32ビット)から新環境へアップデートする作業も簡素化できる。「パートナーとシステム提供で役割分担し、システム構築の生産効率を上げることに注力する」(唐鎌部長)と、OBC1社の「垂直型」ではなく、パートナーと市場拡大するモデルを築いた。

 パートナーやユーザー企業の営業生産性や利便性を高めるために、税制改正や辞書改訂などの対応についてもインターネット経由で最新システムにアップデートできるコア技術を採用している。このほか、XML/XBRLやNGN(次世代ネットワーク網)への対応やインポート/エクスポートAPIを公開するなど、来るべきNGNやSaaSなどの新時代を見据えて最新技術を盛り込んだことで、「新しい通信環境などに、いち早く対応できるベースを持つ」(唐鎌部長)と、自信を見せる。「奉行V ERPシリーズ」の開発コンセプトは「導入提案・カスタマイズ開発などのなかで、より要求レベルの高い複雑化した案件をパッケージ化する」ことだ。カスタマイズを極限まで減らすことを目標としている。このため、基幹業務に関わる部分の「奉行オプション」を多数揃えた。例えば、回収作業が煩雑な債権管理や日本の商習慣にある手形管理などがすでにラインアップされており、今後もオプションを増やす計画だ。

 OBCの計画では、今夏にプロジェクト単位の管理会計を実現する「勘定奉行V ERP [個別原価管理編]」や就業管理システム「就業奉行V ERP」などを発売し、さらに今秋には固定資産管理システム「固定資産奉行V ERP」を発売する予定だ。これらの業務パッケージシステムと新たに開発された統合運用管理ツール「OBC Management Studio」を利用することで、業務と運用の両面を統合することができる。また、機能要件のみならず、オペレーションの標準化や操作ガイドのデジタル化など、ユーザービリティ面でも強化している。従来の規模を上回る市場での普及にも拍車がかかりそうだ。

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