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<セキュリティソリューション特集>管理・運用工数の削減が大きなテーマに(下)

2008/06/09 19:56

週刊BCN 2008年06月09日vol.1238掲載

 2007年は、食品偽装が話題となった。ミートホープや船場吉兆などの食品偽装が次々と明らかになり、多くのメディアが取り上げた。報道を通じて企業の信頼は地に落ち、結果的には営業を続行することが困難な状況に陥った。なかには、廃業を余儀なくされている企業も出始めている。こういった事件から、たとえ老舗企業であっても、信頼を失った後の展開は非常に難しいということがわかる。信頼の失墜は、ビジネスそのものを停止する大きなリスクになる。企業の信頼を守るためにも、セキュリティには十分に配慮したい。

NEC
日本特有のニーズに応えるID管理を実現
ID管理とアクセス管理を統合すると共にコスト削減も実現

 企業は、業務の効率化や情報の活用を目的として、さまざまな業務の情報システム化を進めてきた。その中で、それぞれのシステムは個別に構築・最適化され、システムごとに利用者情報の管理機能が実装されてきた。その結果、管理者はシステムごとに利用者情報をメンテナンスし続けなければならず、そこで膨大かつ煩雑な作業が発生している。その一方で、日本版SOX法の適用により、企業システムの基盤としてID管理の重要性も認知され始めている。注目されているID管理市場の現状について、NEC・第一システムソフトウェア事業部の桑田雅彦エンジニアリングマネージャーと吉田茂男主任に話を聞いた。

内部統制が追い風に
企業規模を問わずID管理に注目


 NECでは、統合運用管理ソフトウェア『WebSAM』を提供している。その中でID管理・アクセス管理を実現するのが『WebSAM SECUREMASTER』だ。

 「ID管理については、ここ数年多くの引き合いをいただいています。最近の傾向では、連携対象のシステム・運用面・導入スケジュールなど、より具体的に検討を進められているお客様が以前より多く見受けられるようになってきています」と、第一システムソフトウェア事業部(マーケティング・販促グループ)の吉田茂男主任は語る。これらの企業の多くは、内部統制への対応を視野に入れ、ID管理を検討・導入したケースが多いようだ。しかし、内部統制を契機として「自社システムのセキュリティ基盤を強化したい」「利用者情報を統合管理したい」といった企業も増えているという。上場している大企業だけではなく、中堅・中小規模の企業も同様の課題に悩まされており、実際の導入まで至ったケースも多くある。

日本特有の環境を考慮
ID連携を容易にカスタマイズ


 実は、NECのID管理製品の歴史は古く、1999年にファーストバージョンをリリースし、2001年には、NECグループ従業員15万人を対象に統合ID管理システムの導入・強化を行っている。10年近い年月をかけて蓄積されてきたノウハウは、製品にフィードバックされている。

 「例えば、深い組織階層や、人事異動に伴う大量データの一斉更新、異動直後の権限削除の猶予指定や兼務など、日本固有の組織運営に対応したIDや権限の管理が可能です。海外ベンダー製品では、高度なSI開発が必要な機能だと思います」と、第一システムソフトウェア事業部(セキュリティグループ)の桑田雅彦エンジニアリングマネージャー。

 確かに、日本固有の組織運営を考慮した海外ベンダー製の製品はほとんどない。また、日本固有のパッケージ製品や自社開発のシステムなどに接続するためのコネクタなども用意されておらず、費用がかさむという課題がある。さらに、障害対応や製品改造などが難しく、タイムリーなサポートも期待するのは難しい。

販売店にとっても
大きなビジネスチャンスに


 『WebSAM SECUREMASTER』では、既存の人事データベースからCSVファイル形式でデータを抽出することで、基本データの一括登録が可能だ。パートや派遣社員などの人事データに反映されないデータについては、申請・承認のフローに従い利用者データを追加登録することもできる。これらのデータは一元管理できるため、システム利用者と権限付与の定期的な棚卸し・監査が容易だ。また、企業内の各システムに必要なユーザー情報を配布することで、統合ID管理を実現する。このとき、各システムと連携させるための専用コネクタを都度開発する必要はなく、GUIなどで連携ルールを記述するだけで、ID連携をカスタマイズできる。

 「StarOffice21」や「サイボウズ ガルーン2」「desknet's」など、日本特有のアプリケーションのコネクタも品揃えしており、日本でのニーズを最優先した対応を行う。つまり、SIコストや管理・運用コストを抑えながらも統合ID管理が実現できるのだ。

 また『WebSAM SECUREMASTER』は、シングルサインオンを実現しているため、ユーザーは、一度認証するだけで各種システムが利用でき、各システムへのアクセスを統合管理することが可能だ。まさに、非常に広範なニーズに応えられるソリューションとなっている。「これまでID管理は、多くのSI工数を要する敷居の高いソリューションでした。しかし『WebSAM SECUREMASTER』では、必要最小限のSI工数で導入可能な製品となっておりますので、お客様だけでなく、販売店様にとっても扱いやすいソリューションとして、高い評価をいただいております」(吉田主任)とのことだ。

 『WebSAM SECUREMASTER』は、これまでID管理を扱っていない販売店にとっても、新しいビジネスチャンスを生む商材として注目されている。

 『WebSAM SECUREMASTER』は段階的な導入も可能だ。まず、ID情報マスタを一元化するなどインフラ周りの整備を行い、重要なものから順次、各種システムへの展開を行っていけばいい。最終的にアクセス管理やシングルサインオンまで実現でき、段階的に認証強化を図ることができる。販売店にとって大きなビジネスチャンスになることだろう。

 現在、内部統制という追い風を受けID管理が注目されているが、「日本」に特有な組織運営に適したソリューションは多くない。その中で、自社運用のノウハウを投入し、販売店にとっても扱いやすい『WebSAM SECUREMASTER』は優位性が高い。注目の市場をさらに活性化させる起爆剤となるか。今後の展開に期待がかかる。



NEC=http://www.nec.co.jp/seciremaster/

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