Special Issue

<グリーンIT特集>CO2排出量を削減し、地球温暖化対策を強化するという動き

2008/06/16 19:56

週刊BCN 2008年06月16日vol.1239掲載

クオリティ
グリーンITに注力し「Green of IT」を実践

官民問わず取り組みは必須

 2008年から2012年までの5年間、日本は、温室効果ガスの排出量を基準年(1990年)から6%削減しなければならない。この5年間は1997年に決まった京都議定書の第1約束期間であるからだ。

 環境省の「2006年度(平成18年度)の温室効果ガス排出量速報値<概要>」によると、06年度の温室効果ガスの排出量は13億4100万トンとなっており、基準年比で6.4%増加している。工場などが含まれる「産業部門」は基準年比で5.6%削減を実現しているが、商業・サービス・事業所などの「業務その他部門」が41.7%の増加、「家庭部門」が30.4%の増加となっており、結果として総排出量が増加してしまっている。

 そのため、これらの部門での抜本的な削減が求められ、国家レベルで取り組むべき課題として認識され、官民問わず取り組みが行われている。省エネ型製品が普及し始めていることに加え、財団法人省エネルギーセンターが「省エネルギー型製品販売事業者評価制度」に基づき、省エネに関する適切な情報提供を行っている家電専門店を「省エネ型製品普及推進優良店」と決定するという取り組みも始まっている。

 もちろん、国だけではなく、東京などの都市においても、事業所における温室効果ガスの排出規制が現実の話となりつつあるようだ。東京では「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を策定しており、2020年までに温室効果ガスを2000年比で25%削減する目標を掲げている。

 一方ドイツでは、温室効果ガスの排出量を削減するため「自然エネルギー発電の買い取り義務」や「炭素税」が導入されており、効果をあげている。日本においても、法制度の改革などを含めた取り組みが行われることだろう。

消費電力の削減と可視化

 クオリティでは、ソフトウェアベンダーの立場から、グリーンITを実現するための取り組みを行っている。同社では、クライアントPCやサーバ、ネットワーク機器、プリンタなど、IT機器のハードウェアそのものの消費電力量を削減することで、環境負荷を低減させる「Green of IT」を基軸にソリューションを展開している。

 実は、オフィスや家庭から排出される温室効果ガスが増加している要因のひとつに、急速に浸透したクライアントPCやディスプレイの消費電力がある。1990年当時は、オフィスには数台のPCしか設置されておらず、ネットワークなどにも接続されていなかった。現在、生産性の向上を実現するため、情報化が進み、1人1台以上のクライアントPCを割り当てる企業も増えている。IT機器は増加の一途をたどっており、それに比例する形で温室効果ガスが増加しているのである。またPC台数の増大に加え、個々のPCの電源管理が利用者任せや、ユーザ権限での利用により未設定になっていることによる、無駄な待機電力消費などの課題も出てきている。

 クオリティでは「QAW/QND Plus」と「eX Report」を使うことで、クライアントPCのきめ細かい電源ポリシの一括配布や設定、消費電力量の可視化を実現するソリューションを提案している。ユーザの権限にかかわらず、電源管理を実現するほか、利用用途や部門ごとで個別のポリシを設定し配布することもできるため、より効果的だ。

 クオリティの試算によると「QAW/QND Plus」の導入企業すべてが同ソリューションを活用した場合、東京ドーム1000個分の面積の森林に匹敵するCO2排出量を削減することが可能となるという。その効果は非常に高い。

IT機器の消費電力抑制がテーマ

 情報システム管理者の「情報収集・意見交換」の集いの場として知られる「PCネットワークの管理活用を考える会」が主催する「PCネットワークの管理・活用を考える会2008」(7月4日:東京大会、7月11日:大阪大会)では、IT機器の消費電力抑制が主要なテーマとなる。東京大会では「東京都における事業所に対する排出規制の取り組み」、大阪大会では「大阪府が推進する環境対策」と題した基調講演が行われる。今後の方向性を感じ取ることができ、非常に有益な情報を得ることができるだろう。なお、講演会などの詳細については、ウェブサイト(http://www.quality.co.jp/pcnw/)などをみてほしい。


クオリティ=http://www.quality.co.jp/

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