「豊かな世界の創造に貢献したい」という理念のもと、クオリティは2010年、経営の舵を大きく切った。クオリティが断行したのは、「販売」と「開発・品質保証」を明確に区分することだ。品質の高いソフトウェアをワンストップで提供できる体制を構築。また「豊かな社会の創造」を幅広く捉え、教育問題など、世の中が直面しているさまざまな課題に対して挑戦していくための新規事業を行うため、二つの新会社を設立した。先日行われたプライベートイベント「VisionQ2010 ビジネスパートナーミーティング」の講演内容をもとに、クオリティの現状と今後の展開について、同社の浦聖治CEOに伺った。

中国の日系企業から高い評価
通信コストを2分の1にした例も

浦 聖治社長
 クオリティの製品・サービスにおいては、引き続き「クラウド」などをキーワードに力を注いでいる。専任のIT管理者を設置できない企業を中心に展開する、クラウド型セキュリティ維持管理サービス「ISM」は、2009年12月末時点で導入数が3400社を超えるなど、順調にユーザを拡大している。大手企業の情報システム子会社からも引き合いがあることから、「ISM」のプライベートクラウドでの展開も視野に入れる。

 また、新製品として、PDFの生成から簡易的な編集までを行なえる「Gaaiho PDF Suite」を4月に販売開始予定だ。浦CEOは「クライアント管理ツールを提供するクオリティとして、オフィスアプリケーション多様化時代における、PDFによるファイル閲覧環境の統一をサポートします」と意気込む。

 ビジネス面では、マーケット視野を広げ、世界で製品を販売するため、中国(上海)、韓国(ソウル)、米国(シアトル)に3拠点を設立し、事業を展開している。とくに好調なのが、経済成長著しい中国市場だ。クオリティでは、中国に進出している日系企業向けに製品の提供・サポートを行っている。「中国市場は非常に盛況です。日本からの進出企業が増え、中国の内需を狙って製造販売体制をどんどん拡充しています」(浦CEO)と、その好調ぶりに目を瞠っている。

 同社の製品導入が進んでいる要因の一つとして、現地の従業員によるインターネットのずさんな私的利用が背景にあるようだ。中国の現地法人オフィスでは、会社のパソコンを使った違法コンテンツのダウンロードや株式の違法取引などが当たり前のように行われ、私的なチャットはほぼ全社員が利用しているという。

 クオリティの製品は、中国に進出した日系企業に高い評価を受けている。そしてまた、その日系企業の現地拠点への導入をきっかけに日本の本社にも導入されるという効果を生んでいるという。「中国のネットワークコストは日本に比べて高額。ただし、そのコストの半分以上が私的利用であるため、某企業では、当社の製品をもって私的利用を減らすことにより、ネットワークコストを2分の1までに抑制することができました」(浦CEO)と、抜群の導入効果を披露する。

新会社設立で新たな一歩
パートナー制度も強化へ

 クオリティでは2月1日付で「クオリティソフト」「クオリティライフ」の2社を設立した。「クオリティライフ」では、『豊かな世界の創造に貢献したい』という企業理念のもとに、ソフトウェアの開発・販売というIT関連ビジネスだけでなく、社会全体に貢献する事業を模索する。浦CEOは「世界では、飢餓や貧困、教育問題など、さまざまな課題を抱えている。食料自給率の問題など、われわれ企業セクターからも何とかしないといけません。当社の資源はITを使いこなせるところにありますから、ネットワークを活かし、一次産業の分野で活躍できる会社になりたいですね」と語る。

 もう一つの会社、「クオリティソフト」は品質の高いさまざまなソフトウェアを組み合わせて、ソリューションを提供することにより、顧客の課題を解決していく体制を強化する。「海外拠点では『QualitySoft』で製品を展開してきました。日本においても『クオリティソフト』をブランド化していきたいと考えています」(浦CEO)と構想を語る。販売に特化した会社として、品質の高いインフラソフトウェア群をワンストップで提供できる体制を目指している。クオリティの傘下には、2001年に和歌山県西牟婁郡白浜町に設立した「エスアールアイ」という製品の開発・品質検証などを行うグループ会社がある。クオリティソフトの設立を機に、エスアールアイでは自社製品の企画開発と他社の製品・サービスを含め、クオリティソフトの厳密なソフトウェアの品質基準に基づいた品質保証サービスを展開する。

 販売面については、これまでソリューションパートナーに認定された会社が中心となり、クオリティ製品を取り扱ってきた。今回、レジスタードパートナープログラムを新設することにより、かんたんな登録だけでパートナーが製品を取り扱うことができる仕組みを整備した。これまでは、クオリティが拠点を展開する東名阪が売り上げの中心となっていて、その他の地区は一部のパートナーにより時々売り上げが立つ程度だった。パートナーがより売りやすい体制を提供することで、「今後は地方展開がマストになってきますから、1次、2次以降の地域の販売パートナー様や、SIer様を含めてどんどん売れる人たちを増やしていくことが可能になりました」(浦CEO)と、戦略のメリットを説明する。

 また、ワンストップでソリューションを提供していく体制を構築するに当たり、パートナーが、「売れるしくみの工夫」を行なうことを奨励し、インセンティブプログラムも提供する。「パートナーの手がける製品とわれわれの製品をあわせて新しいソリューションを開発することでも、提案活動をどんどん増やしたいと考えています」(浦CEO)。クオリティソフトからワンストップでソリューションを提供するだけでなく、パートナーも自社ブランドで同じソリューションを販売するような「相互乗り入れ」の実現も視野に入れている。