クライアント・サーバー(C/S)システムの操作性とウェブアプリケーションの配信性を兼ね備えた次世代ウェブアプリケーション「RIA(Rich Internet Application)」が注目の度を増している。インターネット環境でシステムを利用する「クラウドコンピューティング」の本格普及期を迎え、システム再構築を計画する企業が増加。既存システムを生かした新システムを構築する際に、RIAプラットフォームで企業情報の価値を最大化したいとする取り組みが進んでいる状況が追い風となっている。

SIerにとっての“必須アイテム”に

 RIAの普及と発展を目的にITベンダーで組織されたRIAコンソーシアムが、今年5月、一般企業の情報システム担当者を対象に行った調査(回答500人)によると、RIAの認知度は8割を超えた。この結果をみる限り、アプリケーションの再構築に向け、多くの企業がRIAに注目していることが分かる。

 また、同調査によれば、RIAが導入・検討されている業務では、「情報共有(企業内ポータル・Enterprise Contents Management=ECM)」が突出して6割を占め、「顧客管理」や「経営分析(BIなど)」「財務会計」「人事・給与」などが15~20%の比率となっている。RIAに対する注目度が高いだけでなく、すでにRIA開発が動きはじめているのだ。

 RIAは、ユーザーインタフェース(UI)にFlashやJava、Ajaxなどを使って単純にHTMLで記述したページよりも操作性や表現力にすぐれたウェブアプリケーションだ。また、ユーザビリティが向上するだけでなく、管理者側がサーバーの負担や運用費用を軽減できるメリットがあり、不景気の時代にあって将来に備えた戦略的なアプリケーション開発をするうえで、“必須アイテム”となりつつあるのだ。

 従来、サーバーサイドで実行していたビジネスロジックがクライアントサイドでも実行可能なため、処理が分散されてクライアント側のレスポンスが速くなり、サーバー負荷が軽減される。

 ネットワークインフラが整備された昨今、ウェブ利用が一般的になり、マイクロソフトの「Silverlight」やアドビシステムズの「Adobe AIR」など、クロスブラウザ/クロスプラットフォームに対応したRIA開発実行環境の提供が進み、今後の浸透度も早まっているといわれている。

 企業の情報システム担当者に限らず、システム構築を担うSIerや自社ソフトウェア開発にソフトベンダーがRIAを使うケースが増えた。リーマン・ショック以降に景気が緩やかに回復していることを受け、SIerでは、情報系・基幹系システムの再構築案件が徐々に増えてきているといわれている。ユーザー側にRIAの認知度が高まっている以上、SIer側も顧客に付加価値を提供するうえでRIAが不可欠となっている。

 ただ、既存システムを生かしながらRIA環境に移行するのは、そう簡単ではない。その点、マジックソフトウェア・ジャパンが提供する「Magic uniPaaS」は、RIAとC/Sの両方を同時に統合開発することができ、短期間にウェブ化できるツールとして普及してきている。「Magic uniPaaS」は、競合他社の同等ツールに比べてRIA開発した後もメンテナンスしつつ進化させられるのが優位点だ。

 クラウドの進展に伴って、RIAの需要はますます高まることが予想される。そのなかで、どのツールで顧客に対応していくか、SIerは選択を迫られている。



マジックソフトウェア・ジャパン
RIA開発ツール「uniPaaS」を中・大企業へ波及
開発・生産性、メンテ性、他社の追随許さない性能

 開発・統合ツールメーカーのマジックソフトウェア・ジャパンは、2年前に国内で販売を開始した「RIA(Rich Internet Applications)」とクライアント・サーバー(C/S)の両方を同時に統合開発できる業界初のツール「Magic uniPaaS(マジック・ユニパース)」を中堅・大企業へ波及させる展開を本格化している。リリース後2年間で約220の開発プロジェクトで使われてきたが、そのほとんどがSMB市場向けである。佐藤敏雄社長は、「今までのRIA開発手法と比較し、生産性とメンテナンス性が非常に高く、今後エンタープライズ市場で力を発揮していくツールだ」と、「uniPaaS」事業を“第二ステージ”に進めるため、パートナー施策などを積極化する。

短期開発、維持・管理も楽

佐藤敏雄 代表取締役社長
 「Magic uniPaaS」は、一つの開発パラダイムで「RIA」のクライアントとサーバーの両方を統合開発できる業界初のツール。「uniPaaS」で開発した単一の開発プロジェクトは、クライアントとサーバーの分離やクライアント側の配布・更新を自動的に行える。クラウドコンピューティング時代を見据え、既存アプリケーションをリッチクライアント化する企業や製品メーカーのソフトウェアベンダーからのニーズが増えることが予測され、同社で需要拡大を期待する戦略的なツールだ。このため、「短期間でWeb化できるツールであり、SIerやソフトベンダーが付加価値を高めることに役立つ製品だ」(佐藤社長)と、クラウドが本格普及する前に幅広い層への普及を目指している。

 「Magic uniPaaS」の技術的な特長について、渡辺剛・マーケティング部課長は、「さまざまな実行モードであるC/S、HTMLのWebアプリケーション、非ブラウザベースのRIAを、一つのメタデータと開発プロジェクトの中に定義できる」と説明する。異なる実行モードを「同じロジックで開発でき、開発プロセスがシンプルになる」(同)と、開発に携わるSIer、ソフトベンダー、ユーザー側では、RIAシステムとC/Sのどちらにも同一資産(DB、ロジック・画面)を共存してアプリケーションを開発・移行できるという。この開発性能は、他社の追随を許さず、「Magic uniPaaS」だけに備えられたモノだ。

 さらに、渡辺課長はこんなメリットも付け加える。「作って(開発して)終わりでなく、アプリケーションはメンテナンスしつつ進化する。『Magic uniPaaS』は、そうした維持・管理をリポジトリベースの開発パラダイムにより反復した開発・改修が容易にできてしまう」。すでに同ツールを利用するユーザーの開発・生産性は一般的にVB等の5倍、メンテナンス性はそれ以上になっているという。


開発・生産性、平均5倍向上

渡辺剛 マーケティング部課長
 「Magic uniPaaS」を使ったシステム開発は、すでに約220に上る。例えば、長野県佐久市に本社を置く受託ソフト会社のアサマソフトウェア(小林紹二社長)は、新規事業の立ち上げを図っていた保険会社の要請を受け、少額短期保険用の代理店業務システム「NEWS」を「Magic uniPaaS」でRIA開発した。当初、依頼を受けたアサマソフトは、画面回りをHTMLで業務ロジックを「Magic uniPaaS」で開発しようとした。しかし、この方法だとクライアント・ソフトのような柔軟な操作性を望めず制約が多かった。このため、オプション製品の「Magic uniPaaS RIA」を使うことで、業務ロジックに専念でき通信処理や同期制御などを考慮しないですむようになった。ユーザー・インターフェイス(UI)を柔軟にする開発に集中することができたため、開発期間が半減し短納期で納められたのだという。

 同社は来年中に「Magic uniPaaS」を機能強化する計画。マイクロソフト「.NET Framework」の開発ツール「Visual Studio2010(VS)」に「uniPaaS Studio」を統合する。これにより、.NET環境で構築したシステム資産をより「uniPaaS」に取り込みやすくなり、VSのUIに慣れた開発者が使いやすくなる。また、「中期的には、『uniPaaS』をPaaS的にインターネット上で利用できたり、SaaSのビリングやマルチテナンシーなどの仕組みも同時提供する計画だ」(佐藤社長)と、開発者にとっては、より使い勝手が向上し利用しやすくなる。「uniPaaS」は「Windows Mobile」上のRIA開発に対応しているが、今後利用が拡大する「iPhone」などのスマートフォン対応も検討している。

 同社ではこのバージョンアップを控え、中堅・大企業向け開発に強みをもつITベンダーを増やす。佐藤社長は「『uniPaaS』の利用だけでなく、システム全体のRIA構築技術などを含め、パートナーの開発力と顧客に付加価値提供できる術を学ぶ機会を増やす」計画だ。中堅・大企業向けを押さえることで、「uniPaaS」はRIA開発ツールの“スタンダード(事実上の業界標準)”になりそうだ。


マジックソフトウェア・ジャパン=http://www.magicsoftware.co.jp/