マイクロソフトの仮想化サーバー製品「Hyper-V」が、ついに仮想化サーバー市場のシェアNo.1を獲得した。やや出遅れ感のあった「Hyper-V」が首位となったことを受け、マイクロソフトでは一気に販売攻勢をかけていく。今回はマイクロソフトの浅野智・サーバープラットフォームビジネス本部プライベートクラウド製品部マネージャーに、シェアNo.1を獲得した「Hyper-V」の強みと潜在的なニーズ、そして販売を後押しするパートナー支援策を聞いた。

シェアNo.1、潜在的な仮想化環境への移行ニーズは100万台

 IDC Japanが2010年8月に発表した「国内仮想化サーバー市場 2009年の実績と2010年~2014年の予測」で、マイクロソフトの「Microsoft Hyper-V Server 2008」(Hyper-V)が、10年上半期の企業内仮想化ソフトとして52.3%を記録。ついにシェアNo.1を獲得した。 


 浅野マネージャーは、「仮想化製品では出遅れた感のある『Hyper-V』ですが、こうして第三者機関の調査で1位のシェアを占めるに至りました。これを機に、パートナー様と一緒になって、さらにシェア拡大を狙っていきたいと考えています」。

 「Hyper-V」が、シェアNo.1を獲得した理由はなんだろうか。浅野マネージャーは大きな理由として、中小企業を中心にコストメリットが評価されたとみている。

 仮想化技術は、企業内のPCを有効活用できるというメリットがあり、この資産活用によってコストの最適化を図ることができる。「Hyper-V」は、とくにコスト削減を目的に、運用管理を含めたソフトと一緒に導入するケースが多いという。実際に、「Hyper-V」の管理ツールである「Microsoft System Center Virtual Machine Manager」の売上数は、前年比300%以上の伸びをみせている。中小企業だけでなく大企業でもほぼ同率で、企業規模に関係なく「Hyper-V」の導入が進んでいるのだ。

 また浅野マネージャーは、「『Hyper-V』の潜在的なマーケットは非常に大きい」と説明する。「売り上げが伸びているということは、企業のコスト感覚と仮想化のニーズが合致してきたということ。古い機種を含む複数のサーバーをまとめられる『Hyper-V』のメリットが理解されてきた証拠です」という。

 現在、企業では12万台以上の「Windows 2000 Server」が稼働しており、「Windows 2003 Server」も86万台以上が残っている。これらを合わせると、古いバージョンのサーバーが100万台近くある計算になる。

 保守もリースも終了する時期にあるこれらのサーバーを新機種に置き替え、その上に仮想化環境を構築するニーズは非常に高い。このほとんどは中小企業と考えられるが、これらのユーザー企業は、ITベンダーやSIerが提案しない限り、新機種への置き替えなどを検討することはない。彼らは、そこまで手が回らない状況だ。さらに、「パートナー様でも、現状を把握できていないケースがあるでしょう。ここをサポートしていく必要があると考えています」と浅野マネージャーは語る。

 ニーズに関しては大企業も同様で、10年7月~9月では、32台以上のWindowsサーバーを一括購入するケースが目立った。昨年、このケースは年間で3000の案件があったが、このペースでいくと今年は7000案件を超えると予測される。「サーバーの一括購入の用途はデータセンターか仮想化サーバーだと考えられますので、ここにも『Hyper-V』が入り込む余地が十分にあります」と浅野マネージャーは力強く語る。

パートナー向け支援策を複数提供、さらなるシェア拡大を目指す

 Windowsサーバーや「Hyper-V」がこれだけ支持を得ている理由に、浅野マネージャーはマイクロソフト製品の仮想化におけるメリットを挙げる。

 まず、大きなメリットは「コスト」だ。製品そのものの価格が抑えられているので、仮想化を手軽に始められる。これは仮想化だけでなく、物理環境も含めて、ということだ。 

浅野智・サーバープラットフォームビジネス本部プライベートクラウド製品部マネージャー

 仮想化は進んでいくが、物理環境が完全になくなることはない。このように仮想化環境と物理環境が混在していても、マイクロソフト製品なら双方を一元管理することができる。

 また、今後、サービスはクラウドへと移行していくが、5年間で20%のサーバーがクラウドに移行するといわれるなど、そのスピードは決して速くない。マイクロソフトは、そこでも現在のシステムセンターの技術で一元管理できるポートフォリオを用意している。

 マイクロソフトは、OSからアプリケーションまで、実行環境や開発環境にオンプレミスとクラウドの双方に対応する製品ポートフォリオを展開しており、双方を行き来することができる。これらを一元的にサポートできることがマイクロソフトの強みであり、全体的な費用対効果がお客様に対してのメリットとなるのだ。

 いまや、仮想化やクラウド化のコストメリットは明らか。そのうえでマイクロソフトの顧客満足度が急上昇しており、とくに運用面での評価が高い。浅野マネージャーは、「お客様も実感し始めているという手応えがあります」という。

 この追い風を受けて、マイクロソフトはパートナー様支援策の拡充に注力していく。その一つが無償のコールセンターサポート提供だ。「Hyper-V」を利用した仮想化案件の新規展開を考えている法人のお客様やパートナー様に対して、「Hyper-V」が技術的に何が優れているのか、どんなメリットがあるのかといった点を、プリセールスの段階でサポートする。

 また、仮想化の推進でパートナー様とユーザー企業の双方にメリットのある支援プログラム「ソリューション インセンティブ プログラム(SIP)」を展開する。

 さらに、マイクロソフトの大手町ソリューションセンターで、大規模導入のお客様を対象に、ワークショップやコンサルティング、アーキテクチャリファレンスといったサポートを行う。パートナー様と一緒にお客様を迎えし、大規模コンソリテーションのノウハウをお伝えする場を設ける予定だ。

 現在、無償で受験できる「Hyper-V Advisory Staff(Hyper-V 仮想化検定)」の無償期間を11年6月まで延長したことも、パートナー支援の一環だ。パートナー様がこれに合格すれば、「Hyper-V 導入コーディネーター」として、マイクロソフト製品販売で効果的な提案やアドバイスができることを証明できる。さらに「MCAプラットフォーム(Windows Server 2008対応)」を取得すれば、「Hyper-V 導入アドバイザー」として、「MCA Hyper-V アドバイザリー スタッフ」のロゴマーク使用権が貸与される。

 マイクロソフトでは、これらの支援プログラムを活用して、シェアNo.1を力強くアピールしていく考えだ。さらに浅野マネージャーは「近日中に、『Hyper-V』関連の大型発表を行う予定です」と予告してくれた。