リコーは、昨年下期、企業向けプロジェクターの製品ラインナップを拡充した。なかでも超短焦点プロジェクターは、20%を超える市場シェア(※1)を獲得。スタンダードやハイエンドなどの常設型のモデルについても、映像系ディーラーとの協業によって販売チャネルの拡大を目指している。高輝度や高解像度といった高性能なスペックに加え、独自のネットワーク機能を強化することで、他社との差別化を図る。
世界最小・最軽量の超短焦点モデル
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| 平田佳之氏 |
リコーが昨年11月に発売した超短焦点プロジェクター「IPSiO PJ WX4130N/WX4130」は、独自の自由曲面ミラーを採用し、11.7cmの超至近投写を実現した。世界最小・最軽量(※2)のボディは、これまでプロジェクターの設置が難しかった打ち合わせスペースや大学の研究室、展示会のブースなど、限りのある場所での利用を可能にする。このプロジェクターは、「デジタルサイネージやインフォメーション表示といったディスプレイ代わりの用途にも利用が進み、活用シーンが広がっている」として、グローバルマーケティング本部 テクノロジバリューマーケティングセンター 事業IPD推進室 PJSマーケティンググループの平田佳之氏は次のように話す。
「これまでプロジェクターを置くという発想がなかった場所にも設置できる利点がある。発売してまだ半年程度の商品だが、超短焦点プロジェクターの分野で、早くも20%を超えるシェアを獲得するなど、市場で高評価を得ている」。また、「IPSiO PJ WX4130N/WX4130」に加え、昨年下期にはスタンダードモデル、ハイエンドモデルといったモデルも発売し、製品ラインナップを5モデル15製品にまで拡大した。
スタンダードモデル「IPSiO PJ WX 5350N」などは、手頃な価格帯ながら3500~5000ルーメンの高輝度を実現。高スペックであることに加えて機能面の充実を図ったことで、順調な売れ行きを見せていると平田氏は手応えを感じている。
リコーはプロジェクター市場に参入して2年。これまでは、同社の販売チャネルを通じて複合機やプリンタなどと一緒にプロジェクターを直販してきた。だが、製品ラインナップの拡充によって、今後は「映像系ディーラー様などと協業し、リコーならではの高付加価値のプロジェクターを幅広いお客様にご提案する」(同)と、販路の拡大に力を入れる。また、ハイエンドモデルといわれる常設型プロジェクターを中心に、オフィス空間のデザインを提案するSOD(ストラテジック・オフィス・デザイン)事業のなかでの提案も広げていく計画という。
ディーラーとの協業で販路拡大を目指す
リコーのプロジェクター製品の特長は、先進的なネットワーク機能にある。プロジェクターに投写する資料を、複数のiPad端末に共有することができるペーパーレス会議ソフトウェア「RICOH TAMAGO Presenter」や、プロジェクターの遠隔診断サービス「@Remote」、USBメモリーに保存した静止画・動画ファイルを本体に差し込むだけで再生できる「PCレス機能」など、利用の幅を広げる機能が充実している。超短焦点プロジェクター「IPSiO PJ WX4130N」には、ウェブサーバーに保存したJPEGファイルをプロジェクターからダウンロードして投写する「プロジェクションサーバー機能」も搭載した。
平田氏は、「リコーは、プロジェクターを単なる映像表示デバイスではなく、ネットワーク機器として提案している。一歩進んだプロジェクターの価値を提供する」と説明する。競合他社を含めて、高輝度で短焦点の製品が市場に出揃い、ビジネスプロジェクターのコモディティ化が加速するなか、独自のネットワーク機能を拡充することで、他社との差別化を狙う。
「リコーのOAディーラーを通してPRしてきたが、まだまだリコーのプロジェクターの認知度は高くない。ただ、製品のデモを行えば、製品のクオリティの高さに必ず驚いていただける」(平田氏)と、単体で機器を販売するだけでなく、ネットワーク機能を生かした付加価値提案で、存在感を出していく方針だ。
(※1)富士キメラ総研調べ
(※2)ミラー反射式短焦点プロジェクターにおいて(2012年12月現在、リコー調べ) (写真/横関一浩)