リコーは、2013年1月25日、プロジェクターの新製品6機種12モデルの販売を開始した。新製品は、約80cmの距離で80インチの大画面投写が可能な短焦点モデルと、短焦点と標準焦点との間に位置するデスクエッジモデルと呼ぶ2モデルを提供する。いずれもさまざまな利用シーンにフィットする使い勝手のよさと、エコモードやネットワークモードなどの機能性の高さで、他社製品との差異化を狙う。競争力のある新製品の投入で、一般オフィスと文教市場での攻勢を強める。
すべての場所での利用を想定

グローバルマーケティング本部
テクノロジバリューマーケティングセンター
事業IPD推進室
PJSマーケティンググループ
南 勇亮 氏 新製品のうちデスクエッジモデル(RICOH PJ WX3340N/WX3340/X3340N/X3340)は、投写の焦点を短くし、光学ズーム1.5倍を備えた高倍率ズームレンズを採用している。短焦点レンズでありながら光学ズーム1.5倍を備えているので、自由に画面サイズの調整ができ、どんな部屋でもデスクの端側に設置しての使用が可能になる。会議室の真ん中に置くのではなく、デスクの端に設置することで、使用時の熱風や眩しさ、騒音も解消される。オフィスのさまざまな会議空間で使用する共用プロジェクターとしての使用を想定したモデルだ。
一方の短焦点モデル「RICOH PJ WX4240N/X4240N」は、わずか約80cmの距離から80インチの画面を投写できる。教卓や手狭な会議室でも大画面表示が可能で、オプションのインタラクティブペンを使用することで手軽にインタラクティブ機能も利用できる。まずは一般教室での導入を狙っている。
グローバルマーケティング本部 テクノロジバリューマーケティングセンター 事業IPD推進室 PJSマーケティンググループの南 勇亮氏は、新製品のコンセプトはプロジェクターを脇役にすることにあるとし、次のように説明する。
「従来、プロジェクターは設置に手間がかかったり、教室や会議室のレイアウトを変える必要があった。また、デスク上に設置し投射していると、熱い、眩しい、うるさいといった問題も生じる。新製品では、プロジェクターを使用する際の事前準備が不要で、快適な利用ができるよう設計している。プロジェクターが常設されていないすべての場所での利用を想定している」
販売数の150%拡大を目指す
リコーがこだわりをみせるのは、プロジェクターの焦点距離と高画質性だ。同社の強みであるレンズ光学の技術力を生かし、デジタル一眼レフカメラ用のレンズと同じ光学ガラス材料を使ったレンズを採用した。HDテレビに匹敵する高画質で、かつ焦点距離を短くしたことで、スクリーンの近くから大画面を投射でき、プロジェクターを使う空間をより快適にする。
使いやすさの面でもさまざまな配慮が施されている。RGBケーブルなどをつなぐ入出力端子はレンズ側に配置し、プロジェクターを使用する際にデスク上にケーブルが散らからないよう設計されている。排気口もレンズ側にあるので、プロジェクターから排出される熱風が周囲に座っている人にあたることがない。また、ユーザーインターフェースも一新した。ネットワーク設定にもウィザード方式を採用し、誰でも簡単に設定を行うことができる。
エコ機能も充実させている。従来、8~9W程度使用していた待機時におけるネットワークユニットの消費電力も、1.0W未満まで低減させた。さらに、進化したエコモードが、照度センサーによる明るさ補正と映像による明るさ補正を行い、最大60%(同社比)の電力カットを実現する。照度センサーと映像の両方による明るさ補正は、リコー製品だけの機能だ。
さらに、プレゼンタイマー機能や、4台まで同時投写できるマルチスクリーン機能、オプションの「RICOH PJ 3Dメガネ タイプ2」を使用したブルーレイ対応の3D映像など、ハイスペックな機能も標準搭載されている。
「新製品は、プロジェクターを使用する際の手間や設置スペース、騒音などの課題を解決し、プロジェクターの稼働率を上げるさまざまな付加価値を搭載している。こうした優位性によって、すでに導入されている標準焦点プロジェクターの入れ替えを中心に、既存のメインストリームや文教市場に一石を投じたい」(南氏)としている。
リコーは、競争力のある新製品の投入によって、事務機ディーラーや販売会社にとっても新しいオフィスの提案が可能になるという。一般オフィスの新規市場と文教市場に向けた販売を強化することで、来年度(2014年3月期)の販売数を前年度比で150%までに拡大することを目指す。