2013年の国内プリンタ市場は、2011年から2012年にかけて続いた厳しさをようやく脱して、本格的な回復へと向かう年となった。クラウド、タブレット端末への対応が必須となるなかで、各プリンタメーカーはこれをどのようにビジネスに結びつけようとしているのか。そして、成熟市場といわれる国内のプリンタ市場で、新たなプリントの需要を創造するために、各メーカーはどのような戦略を考えているのか。エプソン販売、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、ブラザー販売、リコージャパンの各キーマンに座談会でうかがった。


出席者(写真左から)

エプソン販売  鈴村文徳 氏
日本ヒューレット・パッカード  松本達彦 氏
ブラザー販売  大澤敏明 氏
リコージャパン  細谷秀樹 氏
キヤノンマーケティングジャパン  沢田泰一 氏


司会・進行:『週刊BCN』記者 本多和幸


●2013年の後半から
確実に市場が回復


──まずは、厳しいといわれていた2013年を振り返って、市場観をお聞かせください。

鈴村(エプソン販売) 2012年の市場が悪過ぎたので、それに比べれば底堅い状況で推移していて、最悪期は脱したと思います。市場全体のムードがいい方向に変化してきたと感じています。

沢田(キヤノンMJ) 前半はまだ厳しさが残りましたが、後半から盛り返して対前年比では改善しました。OA分野はオフィス向け複合機の統合などもあってまだ厳しいものの、全体としては後半からは商談件数も確実に増加しているので、今後にかなり期待しています。

松本(日本HP) ビジネス向けインクジェットは計画通りビジネスを成長させることができました。一方レーザープリンタは、既存のビジネスは問題なく遂行できましたが、新規ビジネスへの拡販は一歩及ばない状況でした。ただし、市場全体としてフラットから上向きに変わってきていると感じます。

大澤(ブラザー販売) やはり前半は厳しかったのですが、景況感の変化に追随して、後半は盛り返したのではないかと思います。弊社では、カラーが好調でした。これは新製品投入の効果が効いたと考えています。

細谷(リコージャパン) 当社も、厳しいなかでも上向きの傾向を感じています。とくに、業種・業務向け分野は好調でした。また、消費税引き上げ前の駆け込み需要もありますから、動きをさらに加速させたいと思います。

──好調だった機種や伸びた分野を教えてください。

細谷(リコージャパン) やはり、業種・業務向けです。弊社ではとくに医療や流通、自治体などに注力しているのですが、一例として、医療分野ではA4モノクロがかなり出ました。この分野は年ごとに波がありますが、2013年は大きく伸ばすことができました。

大澤(ブラザー販売) コンパクトなA4カラーレーザープリンタ「HL-3170CDW」とA4カラー複合機「MFC-9340CDW」を投入しましたが、それが好評で全体の売り上げを押し上げました。また、ビジネスインクジェットにも注力しており、A3/A4機を昨年秋に投入しました。奥行きがコンパクトな点が特徴で、その案件の引き合いがかなり増えました。

松本(日本HP) 当社もビジネスインクジェット「HP Officejet」シリーズが最も売れ筋の機種でした。そのなかでもモバイルタイプの「HP Officejet Mobile」が堅調で、とくに単機能機のモバイルプリンタがかなり好調でした。とくに伸びた分野としては、公共分野と製薬分野でかなりの案件に結びつきました。

沢田(キヤノンMJ) 昨年後半に投入したA3カラー「LBP9660Ci」とA3モノクロ「LBP8730i」が、想定より早く立ち上がって好調でした。とくに、A3モノクロ機では初めて、「MEAP ADVANCE」というアプリケーションプラットフォームを標準搭載したことで、複合機とプリンタとの適正配置の提案が進みました。また昨年、グループ会社の昭和情報機器がもつ流通・小売業向けソフトウェアの「ポップエース」をトリガーに、プリンタとセットでの提案を加速させましたが、それが新たな業種・業務向け市場の開拓につながっています。

鈴村(エプソン販売) 全体傾向のなかで特定のモデルをピックアップするのは少し難しいのですが、強いていうとビジネスインクジェットの「PX-B700/PX-B750F」シリーズがあります。それまで、ビジネスインクジェットの高速・高耐久モデルは、業務向け市場に特化して取り組んでいましたが、発売から2年が経過して、ようやく一般OA用途にも浸透し始めたという手応えを実感しています。

●組み合わせの工夫で
ソリューションを提供


──具体的な施策とその成果、また、販売を伸ばすのに効果的だったソリューションはありますか。

鈴村(エプソン販売) 以前から打ち出していた、「Epson Connect」というモバイル向けクラウドサービスの案件がみえてきた年だったと思います。まだ期待値には達していないものの、ようやく形になってきたと感じます。具体的には、ファクスの代替え的な利用や、あるいは、シンプルに、クラウドやモバイルデバイスからのプリンティングなども増えています。とくに、多店舗を展開している企業に向く提案だと思います。

沢田(キヤノンMJ) 前述した昭和情報機器のソフトウェアは、流通・小売分野にとても強く、その技術やノウハウを活用して、彼らのお客様と接点をもてるようになったことが非常に大きいですね。さらに、そのお客様に対して、プリンタだけでなく、ほかの商材を横展開できるようになったことが最も大きな成果といえます。

お客様のプリンタに対するお困りごとは、突き詰めるとコスト。それを当社の強みであるインクジェットを通じて解決していく。


エプソン販売
販売推進本部
BP MD部
部長
鈴村文徳 氏

ビジネスインクジェットプリンタ、ページプリンタ、スキャナなどのマーケティングを担当する。



PX-B750F
ビジネスインクジェットプリンタ
A4対応カラー複合機
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