松本(日本HP) 当社の日本におけるメインターゲットはSMB(中堅・中小企業)になりますが、その市場に向けてモバイル・ソリューションが中心になっています。なかでも、タブレット端末などからWi-Fiを使ってプリントするという需要が生まれてきていると実感しています。とくに「ワイヤレス・ダイレクト」というソリューションを用いることで、タブレット端末から直接プリンタにプリントアウトが簡単にできます。プリンタとタブレット端末とを組み合わせて提案するやり方を進めています。
大澤(ブラザー販売) コンパクトなインクジェットを店舗に導入するケースが増えているなかで、タブレット端末との組み合わせは一つのソリューションになっています。当社は「Brother iPrint&Scan」というアプリを提供していますが、Wi-Fiでタブレット端末などとプリンタをつないで活用するという案件がかなり出てきたと感じます。また、昨年から取り組んでいるモバイル・サーマルプリンタとタブレット端末を組み合わせた提案が、出先でプリントするケースの多い保険・金融分野でかなり採用されています。
細谷(リコージャパン) お客様の業務で活用するシステムにプリンタを組み込んで提供する。これをソリューションの一つの柱と考えています。MFPも含めて取り組んでいますが、システムとつなぐ以上、安定稼働や安心・安全が求められます。そのため、認証機能やログ取得などソフトの機能も含め、組み合わせによる提案をより強化することに取り組んでいます。これに関連して、お客様の使い方に合わせた「ルールドプリント」「ストアドプリント」などの提案も進めています。また、タブレット端末など新デバイスへの対応もテーマです。タブレット端末の普及は、むしろプリント機会の減少を招くのではと懸念しましたが、タブレット端末から帳票を出力するという新たな使い方も出てきています。
●台数は伸びるも
収益がついてこない ──2013年の実績への満足度はいかがですか。もし不満であれば、その原因と対策も教えてください。 鈴村(エプソン販売) ひと言でいえば不満です。原因の一つは、やはりMFPへのシフトがあります。それに対する回答をもつキヤノンさん、リコーさんは全体でバランスを取れるでしょうが、当社はどう取り組むかがまだクリアになっていない点が課題です。
沢田(キヤノンMJ) 販売台数は健闘したものの、収益面では不満が残ります。本体の低価格化が進むなかで、サプライや保守まで含めて収益を確保していくのが現在のプリンタのビジネスモデルですから、サプライ品の販売は重要です。その意味では、それが伸び悩んだ点は今後の課題です。
松本(日本HP) 同じく台数は悪くないものの、収益がついてこない点が不満です。とくに当社の場合、外資系で、ドルでの売上計上となるため、為替の影響が大きく、昨年は何もしなくても為替だけで25%も売り上げにインパクトが出ることになりました。
大澤(ブラザー販売) 本体単価の下落があるので、台数に比べて収益には満足できません。当社はSOHOのお客様が多く、より高PVユーザーを獲得するために、高速インクジェットプリンタを一昨年前に投入しましたが、ニーズを十分には開拓できていませんね。
細谷(リコージャパン) 皆さんと同じように、台数が伸びている一方で収益については満足はしていません。今後、収益をどう確保していくかは大きな課題です。そのため業種・業務ごとのソリューションに加え、クラウドへの対応が必要だと感じています。ただ、クラウドについては、期待した成長を実現できていません。いかにクラウドを活用した業務改善から出力までをソリューションとして提供できるかが課題です。
●新製品の市場投入で
新たな需要を掘り起こす ──ここからは2014年の戦略についてうかがいます。まずは、製品戦略を聞かせてください。 細谷(リコージャパン) 発表前の製品の話はできませんが(笑)、前に述べた業種・業務展開で、やり残したことを継続して取り組むとともに、「ルールドプリント」などもソリューション展開していきます。製品展開では、新たなチャレンジとなる試みがあります。先般、バッテリを搭載したビジネスインクジェット製品を発売しましたが、この製品をBCP(事業継続計画)対応の一環として訴求したいと考えています。
大澤(ブラザー販売) インクジェット、レーザーともに基本は高機能、コンパクトを継続して打ち出しながら、ラインアップ強化を図ります。また、ソリューション展開はこれから本格的に取り組むべき課題です。例えば、中小企業を対象に、クラウドサービスと製品の連携にも取り組みたいですね。そのために他社とのアライアンスも検討しています。
プリンタ市場にイノベーションを起こし、世界市場におけるリーディングカンパニーとして新たなプリント機会を創造していきたい。
日本ヒューレット・パッカード
プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括
プリンティングシステムズ事業本部
事業本部長
松本達彦 氏インクジェットプリンタおよびレーザージェットプリンタ製品を担当。
HP Officejet 150 Mobile AiOコンパクトA4複合機
用紙サイズ:A4
本体サイズ:348×175.3×84.4mm
バッテリ標準搭載:500枚印刷可能
HP Directplus価格:36,960円(税込)
HP Officejet Pro X576dwビジネスインクジェット複合機
最速モノクロ:約70枚/分
最速カラー:約70枚/分
用紙サイズ:A4
HP Directplus価格:97,125円(税込)
ビジネスインクジェットプリンタ「HP Officejetシリーズ」および、レーザージェットプリンタ「HP LaserJetシリーズ」において、単機能機と複合機を幅広くラインアップする。
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