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<特集 IT投資の伸びが顕著な文教市場>2020年度まで堅調な推移が見込める

2014/05/22 15:49

週刊BCN 2014年05月19日vol.1530掲載

 教育のICT(情報通信技術)化をはじめ、環境への配慮、耐震など学校の抱える課題解決に向けて、包括的な取り組みを進める文部科学省の「スクール・ニューディール」構想が提唱されてから5年が経過した。教育現場のICT化やデジタル化に関するビジネスが加速しそうな兆しが見え始めたのはここ1~2年であるが、この勢いと市場の拡大は2020年度(2021年3月期)まで堅調に推移するとみられる。2020年度とは、文部科学省が“21世紀にふさわしい学び・学校と教育の情報化”を取りまとめた「教育の情報化ビジョン」のなかで、ロードマップ上の区切りと設定した年度である。教科書のデジタル化、ネットワーク化、校務支援システムのクラウド化などを控え、今後も文教市場は高い成長率を維持していくものと見込まれる。

 「一人1台」に向けて普及が進むデジタル端末と並び、投資の増加が見込まれているのがネットワーク機器の分野だ。学校では無線LANの導入が盛んで、教員用のパソコンはもちろん、校内のすべてのデジタル機器がネットワークに接続される時代は目前にきている。小・中・高校では無線LANルータの導入が進むなど、全校規模での無線化が進行している。ネットワーク機器メーカー大手のディーリンクジャパンは、無線LAN機器の国内市場の売上成長率が昨年度(2013年12月期)に150%前後で、とくに文教市場でのビジネスが250%の伸びを示したという。

 授業開始の瞬間に生じる大量アクセスへの処理など、パフォーマンスやセキュリティ分野は従来通り、高い可用性と信頼性が求められている。一方、ネットワークインフラの導入が一段落している大学では、研究室単位での投資も盛り上がりをみせている。利便性を高めるために、研究室に小型カラー複合機を設置するケースも増えており、沖データ(OKIデータ)の「COREFIDO MC780」シリーズなどが人気だ。また、最近になってクローズアップされているのが、無線LAN機器やプリンタなどの種別にかかわらず、機器の運用性やメンテナンス性である。現場の職員が管理を担当する「研究室単位・学校単位の導入」なのか、教育委員会や管理専門部門による「遠隔集中管理」なのか、あるいは導入事業者への「委託管理」なのかを十分にヒアリングし、適切な運用方法をセットにして提案することが文教市場を攻略するためのカギとなる。

 さらに、ICTによる学生サービスの向上にも注目が集まっている。日本事務器は、学生向けタブレット端末ソリューションや学生ポートフォリオなど、学習や生活をサポートするソリューションを提供しており、いずれも好調だ。

 デジタル化による学校運営の効率化はもちろん、“学びの質の向上”など文教市場におけるICT化のニーズはさらに増していくことだろう。

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