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<x86サーバーメーカー座談会2014>サーバービジネスでプラスアルファの価値提供へ クラウドサービスの普及を利用する

2014/11/20 19:56

週刊BCN 2014年11月17日vol.1555掲載


浅賀(NEC) 今年度の注力施策はWindows Server 2003 EOSです。現在、更新されずに残っているのは20~30万台といわれていますが、とくにSMB市場ではファイルサーバーが多く残っていると考えられています。そこで当社ではファイルサーバー移行ソリューションを積極的に展開しています。なかでも、不要なファイルを整理し、データ容量をスリム化してから移行する「NIAS(ニアス)」というソフトウェアを活用した提案は非常に人気が高いです。

 ほかにも、簡単ファイルサーバー移行ツールの「NEDAM(NEC Easy Data Migration for File Server、ネダム)」も引き合いが多いです。これは、クラスタソフトの「CLUSTERPRO」をベースに作られているため、業務を止めずに高速データ移行が行えます。4TBのデータなら2日以内の約36時間で移行できます。

東根作(レノボ) Windows Server 2003 EOSへの対応は、力を入れたソリューションの一つです。セミナーの開催、特設サイトを通じて、さまざまな情報発信を行った結果、数百の見込み客のリードを獲得できました。

 現在、未対応の大半はSMBの方々ですが、移行に必ずしも積極的ではなく、パートナー様に引き合いがきても、1~2台ではビジネスとしてはうまみがない。そこで、EOSへの対応をほかのビジネスにつなげていく呼び水にしたいと考えています。10月の当社営業開始と同時に、LES Windows Server 2003移行パートナーとして、System xのスキルに長けた15社のパートナーの皆様に名乗りを上げていただきました。パートナーの皆様とともに、お客様のニーズの掘り起こしを行っていきます。

●強みとする商材を活用 ソリューションとして提案

──ここからは、今後の取り組みをうかがいます。年度末・OS切り替え商戦に向けて取り組むこと、新製品やパートナーへの支援施策、そして市場の見通しについて聞かせてください。

浅賀(NEC) 今後は、Windows Server 2003 EOSに関連する取り組みとして、前述のNIAS・NEDAMに加え、管理者が把握しきれていない古いサーバーを簡単に発見する商材の提案もしていきます。これは、セキュリティ対策のアプライアンス機器を活用したソリューションで、古いサーバーOSの発見と不正接続防止を両立できます。セキュリティは今、お客様の関心が高いテーマの一つでもあります。これらの商材をパートナー様に取り扱っていただけるよう、全国各地で営業様向け、SE様向けのセミナーも行っています。移行に関するさまざまなご質問やご相談にも対応いたしますので、ぜひともお声掛けください。

魚田(デル) まずはパートナーの方々が取り扱いやすい商材を提供することに重点を置きます。具体的な製品の一つに、小型のタワー型共有インフラサーバーの「Dell PowerEdge VRTX(バーテックス)」があります。これをベースに、マイクロソフトのクラウドサービスであるMicrosoft Azureとの連携ソリューションを提供したり、特定分野に強いSIer様とコラボレーションして新たなソリューションをつくる施策を進めています。

 サーバー製品としては、x86サーバーだけをつくっているので、新しい標準技術を製品化して、いち早くパートナー様に提供してビジネスに活用していただくことに力を入れています。例えば、PCIe接続SSDの新規格で、次世代標準とされるNVMeを、デルはラックマウントサーバー「PowerEdge R920」にいち早く採用し、業界に先駆けて製品化しました。

 現在、約3割を占めるパートナービジネスで、クライアントとエンタープライズの両分野が関連して伸びるようにしたい。

馬場(日立) 繰り返しになりますが、力を入れていくのは、サーバー単体ではなく、ITプラットフォームソリューションとして販売すること。VDI、データの利活用、クラウド対応など旬のテーマについて、プラットフォーム全体を提供するというスタンスです。

 また、ビッグデータの高速処理や高信頼クラウドを支える基盤として、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」の新モデルであるハイエンドブレードサーバー「BS2500」や、今年で20周年を迎えた「JP1」ではマルチクラウド対応を強化した「JP1 V10.5」をリリースするなど、さらなる製品強化を進める方針です。これまでも、ストレージやミドルウェアを含めて、さまざまなリファレンスモデル、アプライアンスモデルとして提供してきましたが、パートナー様がもつ商材と組み合わせたソリューションでの提供も、積極的に進めていきます。

 パートナー様の支援では、全体で約7万人を認定している技術者認定制度を通じて、技術力の向上を支援します。ソリューション面では、2003関連での提案モデルやガイドの提供を通じて、売り方への支援を行っていきます。また、パートナー様との連携では、例えばパートナー様とウェブ広告やセミナーを共同で実施し、そこで得た情報を共有することでパートナー様の新規開拓に役立てていただくなどの取り組みを進めています。

日立製作所(日立)
馬場政彰
情報・通信システム社
ITプラットフォーム事業本部
事業統括本部
プラットフォーム販売推進本部
戦略部部長

日立の強みを生かして、パートナー様が得意とする事業領域で、ともにビジネス拡大を図っていきます。


日立アドバンストサーバー「HA8000シリーズ」

 クラウド基盤向けに、最新のインテルXeonプロセッサーを搭載し、最大4.8TB PCIe Flash ドライブボードや高速ファイバーチャネルボードのサポートにより、処理性能と拡張性を強化。あわせて10年保守対応モデルも用意。
http://www.hitachi.co.jp/

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外部リンク

NEC=http://www.nec.co.jp/

デル=http://www.dell.co.jp/

日本ヒューレット・パッカード=http://www8.hp.com/jp/ja/home.html

日立製作所=http://www.hitachi.co.jp/

富士通=http://jp.fujitsu.com/