本紙恒例の「サーバーメーカー座談会」に、今年はメーカー5社が参加し、各社の現在の市況や戦略について語られた。今回は、これまでの座談会と趣向を変えて、仮想化ソフトウェアベンダー2社のキーパーソンも加わって、活発な議論を繰り広げていただいた。クラウドコンピューティングが普及して、国内サーバー市場は「マイナス成長」といわれるが、座談会ではメーカー各社とも「SMBやデータセンターは好調に推移している」と口を揃える。なぜ今、この領域が活況といえるのか。その状況で、今年度はどのような戦略で市場を拡大していくのか。各社の製品戦略とチャネル販売を伸ばすためのパートナー支援施策について聞いた。 (司会・進行/『週刊BCN』編集委員 谷畑 良胤  写真/清水タケシ)

(写真左から)

NEC
ソリューションプラットフォーム統括本部
本永 実 本部長代理

デル
マーケティング統括本部
木村一仁 サーバブランド マネージャ

日本IBM
システム製品事業 システムX事業部
小林泰子 理事 事業部長

日立製作所
情報・通信システム社
ITプラットフォーム 事業本部
高群史郎 第1パートナービジネス部 部長

富士通
統合商品戦略本部
PRIMERGY ビジネス推進統括部
芝本隆政 統括部長

(写真左から)

日本マイクロソフト
サーバープラットフォーム
ビジネス本部
Windows Server 製品本部
藤本浩司
マネージャー

ヴイエムウェア
マーケティング本部
桂島 航
シニアプロダクト
マーケティングマネージャ

「仮想化」が起爆剤に
SMB領域は、各社とも軒並み「活況」

──まずは、2012年から現在にかけてのサーバー市場全般についての動向や市況感、販売台数の伸びに貢献したソリューションについて教えてください。

本永(NEC) 国内サーバー市場をみると、市場全体は大きく伸びてはいないという印象を受けています。そのなかで当社がとくに力を入れたのは、環境(エコ)に配慮した製品群です。データセンターが中心となりますが、室温40℃環境でも安定稼働する製品群を投入しました。このような「エコ」関連製品は、当社のサーバー販売で大きく貢献しています。また、昨年は「仮想化」がキーワードとなった年でした。大規模向けから小規模向けまで、仮想化に関連する商材を幅広く取り揃え、販売台数を伸ばすことに結びつきました。

木村(デル) 2012年の市況は、東日本大震災の影響があった2011年と比べると伸びていますが、おおむね横ばいという状況だとみています。当社はTime to Marketを重視し、最新のCPUを搭載した多くの新製品を積極的に投入していますが、そのなかで内蔵ハード・ディスク・ドライブ(HDD)を多数搭載した仮想化や分散データベース(DB)などに利用されるハイエンド製品が特に伸びています。一方で、SMB向けの小型サーバーの販売も好調です。

小林(日本IBM) 昨年は、垂直統合型の「IBM PureSystems(ピュアシステムズ)」の販売を開始しました。その結果、PureSystemsはもちろん、そのコンポーネントである「IBM Flex System(フレックスシステム)」の販売台数が好調に推移しています。また、仮想化や仮想デスクトップ(VDI)の引き合いが多く、これらの環境下で使用するサーバーの販売台数が大きく伸びています。さらに、Windows Storage Server搭載サーバーや、SSD NANDフラッシュソリューションも販売台数の伸びに貢献しました。

高群(日立製作所) 当社も「仮想化」や「クラウド」をキーワードとした製品が伸長しました。そのなかでも、統合サービスプラットフォームである「BladeSymphony(ブレードシンフォニー)」が堅調に推移しています。また、VDI製品や、「手軽さ」を前面に打ち出した「Windows Storage Server」、「VMware」または「Hyper-V」をあらかじめセットアップした「HA8000かんたん仮想化ソリューション」などの引き合いを多くいただきました。

芝本(富士通) 皆さんと同じで、「仮想化」は当社でも重要なキーワードとなっています。最近では、大規模から中堅・中小企業(SMB)のお客様まで、サーバーをリプレースする際に仮想化を選択するケースが増えていると感じています。「仮想化」以外にも、組み込み系ビジネスが伸びています。これは、パートナー様のシステムの一部として、当社の「PRIMERGY」を利用いただくビジネスモデルです。一例を挙げますと、医療系システムのなかで、画像処理サーバーとして導入されるケースなどがあります。多くのシステムに当社の「PRIMERGY」が組み込まれることから、販売台数の増加に寄与しています。

──「仮想化」というキーワードが出てきましたが、仮想化ソフトを提供しているソフトベンダーからみて、2012年の仮想化市場の動向はどのように映ったのでしょうか。

桂島(ヴイエムウェア) 仮想化市場は順調に成長しており、当社の場合、2012年にグローバルで会社全体として22%の成長を果たすことができました。国内に関していえば、実はグローバルよりも成長しています。この要因として、全社的な統合基盤としてのプライベートクラウド案件が増えた点が挙げられます。また、これまでは仮想化を利用されるお客様は大企業が多かったのですが、最近は仮想化利用のすそ野が広がり、幅広い企業で導入が進んでいます。

藤本(日本マイクロソフト) 昨年、急速に伸びたのは、仮想化ソフト「Hyper-V」を事前に設定してある「Hyper-Vオンモデル」です。Hyper-Vオンモデルには、仮想マシンを動かすために必要なメモリやハードディスクを事前に搭載しています。Hyper-Vが動作する状態で販売されているため、初めてでも安心して導入できる点が中堅中小企業の方に支持されています。また、ハイブリッドクラウドを利用されるお客様も増えており、ホスティングサービスやASPサービス、SaaSなどでWindows Serverを利用する場合のライセンスである「Microsoft Services Provider License Agreement(SPLA)」が急速に伸びています。

──仮想化が、サーバー市場を押し上げる起爆剤となっている現状がよくわかりました。続いて、現在のサーバー市場について、セグメントごとに状況をおたずねしたいと思います。まず、SMBについてはいかがでしょうか。

芝本(富士通) SMBは、台数的に最も成長した市場セグメントです。このセグメントは、仮想化だけではなく、既存サーバーのリプレースというニーズも根強くあります。しかし、ただ入れ替えるだけではなく、リプレースの機会にBCPやストレージ統合を進める動きもあります。非常に活況な市場という印象が強いですね。

小林(日本IBM) SMB市場は、多くのお客様で成り立っているマーケットということもあり、着実に推移しています。SMBのお客様の場合、専任の管理者を配置していないケースが多く、細かな構成を提供するというよりは、メニュー化されている構成のなかから選択し、短期間で導入できる商材を求められる傾向があります。このようなニーズに、当社ではExpressモデルを販売しており、大きく伸長しています。このモデルはパートナー様にも好評で、当社と直接契約を持たないパートナー様にも、相当数を販売していただきました。

木村(デル) SMBについては、当社も活況だったという印象を受けています。当社では、昨年から直販営業担当者のトレーニングを強化してきました。この取り組みによって、これまでクライアントPCのみ販売していた営業部員がサーバーの販売までカバーできるようになり、売り上げの底上げにつながりました。インターネットビジネスの急成長によりSMBのお客様の事業規模が拡大し、それにつれて、さらに多くのサーバーをご購入いただいているケースも多くなってきました。このような流れがうまく循環するようになりました。

本永(NEC) SMBの領域でいえば、スリム型サーバーが好調です。サーバールームをもたず、事業所内にサーバーを設置している企業では、このような省スペースで静音なサーバーがとくに好まれているようです。仮想化という点でいえば、当社は前年比で1.5倍伸びています。以前から提案支援や技術認定制度など、パートナー様に「仮想化」を扱っていただけるようさまざまな支援策に取り組んできましたが、その成果が出始めていると実感しています。

高群(日立製作所) 当社のパートナー様の状況をいうと、「物販」に加え「クラウドビジネス」対応も多くなってきているように見受けられます。このような点から、クラウドビジネスに関わるソリューションの販売が伸びています。パートナー様が自社でのクラウドサービスに当社のプラットフォームをご活用いただくほか、当社が提供している日立クラウドソリューション「Harmonious Cloud(ハーモニアスクラウド)」もご活用いただいています。

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