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<x86サーバーメーカー座談会2014>サーバービジネスでプラスアルファの価値提供へ クラウドサービスの普及を利用する

2014/11/20 19:56

週刊BCN 2014年11月17日vol.1555掲載


橘(日本HP) 当社は、ビッグデータ、クラウド、モビリティ、セキュリティにけん引される「New Style of IT」への移行を提唱しています。それを実現するためのビジョン「The Machine」の1ステップとして、「Compute」戦略があります。Computeは、汎用ビジネスAP(アプリケーション)、仮想化/クラウド、ミッションクリティカル、スケールアウトという四つのワークロード・ポートフォリオ戦略で展開します。今年10月に発表した第9世代の「HP ProLiantサーバー」は、Computeを前進させた製品です。

 年末にかけては、さらに新製品を投入していく予定です。汎用ビジネスAPでエントリ系のラックサーバーを、ミッションクリティカルでインメモリコンピューティング「SAP HANA」をアプライアンス化した製品を、スケールアウトではカートリッジサーバー「Moonshot」のラインアップを充実させます。これによって、各分野に強みをもつパートナー様がソリューションに活用しやすくなる。

 また、パートナー様の技術者を支援するトレーニングを強化するだけでなく、技術者向けコミュニティ「HP Tech Power Club」を発足しました。ハンズオンなど勉強会を3回ほど開催し、今後も継続していきます。地方にチャレンジするときには、パートナー様との連携がカギになりますので、地場のパートナー様の支援を担う責任者としてエリアマネージャーを新設しました。

瀬尾(富士通) 一口にパートナー様といっても、当社製品を専門に扱う富士通販売パートナー様、他社製品も扱う富士通ネットワークパートナー様、このほか組み込み事業者、SIerの方々とさまざまですので、それぞれに合う支援策が欠かせないと考えています。

 教育支援では、SEの方、セールスの方に向けた資格認定制度をリニューアルしました。単なる商品知識だけでなく、経営、マーケティングと、お客様に業務改革の提案ができる知識と技能を身につけていただいています。

 当社は、モノ売りからコト売りへの変化を目指して、「Fujitsu Technology and Service Vision」を打ち出しています。その具体的な売り方として、モバイル、ビッグデータなどのテーマ別ソリューションを提供しています。サーバーが自然なかたちで入り込むことによって、現場に売っていただく環境を整えています。自治体向け「MISALIO」などアプリケーションを含めた垂直統合型商品の提供をしています。

東根作(レノボ) 今年9月、インテルの新プロセッサー「Xeon E5-2600 v3シリーズ」を採用したx86サーバーの新製品「System x M5シリーズ」を発表しました。新製品の大きな特徴が、ハードウェアとして高度なセキュリティを備えたことです。「TPM(Trusted Platform Module)」を標準搭載し、改ざんや不正利用の対策をより強化しました。

 10月には、「MADE IN YONEZAWA」プロジェクトを発表しました。これは、中国で行っているサーバーの組み立てを、レノボ・NEC合弁のNECパーソナルコンピュータの米沢工場で行うことができるかを検討するプロジェクトです。今後、6か月ほど検討して実現の是非を決定しますが、日本での製造が可能となれば、組み立て品質の向上とともに、納期の大幅な短縮も実現します。

 また、本社の東京・秋葉原UDXビルに、11月17日、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ・センターを開設しました。お客様やビジネスパートナー様が「x86サーバー」に関連するシステムやソリューションを検証する場として、テクニカルなリソースを提供します。センターをパートナー様に広く開放して、パートナー様が主催するセミナーにも活用していただこうとも考えています。

●パートナーとの連携をさらに強化 利益を生み出すビジネスに

──新時代に向けたサーバービジネスとして、どのようなビジョン、キーワードをお考えでしょうか。

浅賀(NEC) パートナー様との連携を密にして、ともにビジネスを拡大したいと考えています。とくに、クラウドへの対応なども含めて、お客様にどう付加価値の高い提案ができるかが問われていると思います。クラウドを売りやすくするための環境づくり、例えば、次世代ネットワーク技術「SDN(Software Defined Network)」はその一つだと考えています。現在では、パートナー様がソリューション販売を加速できるよう、体制も強化しています。ぜひパートナー様といっしょに販売事例を作っていきたいですね。

 また、当社は各分野に豊富な商材やアセットを持っておりますが、パートナー様にはぜひ自社の得意な商材を組み合わせた、効果的なソリューションをお客様にご提案いただきたいです。箱売りからソリューション販売、クラウドの販売へとステップアップしていくためのさまざまなご支援をさせていただきます。

魚田(デル) 新しいワークロードに迅速に対応するサーバーの提供を追求して、ビジネスを成長させようと考えています。例えば、インテルのホワイトペーパーにもありますが、IoTの分野でセンサ情報をすばやく分析処理するために、FA分野でVRTXが採用されています。また、高速化へのニーズには、NVMe製品以外にも1.8インチSSDを発表しました。サーバーでありながら、フラッシュとストレージの階層化を実現するソフト「SanDisk DAS Cache」も発表しています。

 パートナー様のニーズに合うプラットフォームを提供するとともに、パートナー様がカスタマイズして、お客様に提供できるよう支援していきます。また、海外でのさまざまな事例を日本市場にも紹介してまいります。

富士通
瀬尾隆一
統合商品戦略本部
PRIMERGYビジネス推進統括部
統括部長

パートナー様が安心して販売できるよう、品質にこだわり、最後まで逃げずにしんがりを務めます。


FUJITSU Server PRIMERGY

 富士通のPCサーバーPRIMERGYは、「省スペース」「省電力」「静音性」といった、これまでの豊富な実績で培ったノウハウにもとづく先進かつ最適なテクノロジーで、複雑化するICTインフラのスピーディな構築と円滑な運用を実現。
http://jp.fujitsu.com

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外部リンク

NEC=http://www.nec.co.jp/

デル=http://www.dell.co.jp/

日本ヒューレット・パッカード=http://www8.hp.com/jp/ja/home.html

日立製作所=http://www.hitachi.co.jp/

富士通=http://jp.fujitsu.com/