北村　私どもも、インクジェットのA3機に5年保守モデルを加えておりますが、店頭販売の量販店様からは売りやすい商品とみていただけているようです。もう一つ、文教市場は従来レーザー主体だったのですが、5年保守モデルを用意したことで、販売店様もインクジェットを提案しやすくなったようです。ただ、そもそもすべての商品で5年保守を提供できるわけではありませんので、今は機種を限定で展開しているところです。

石田　エプソン販売さんの「PaperLab」の狙いをあらためて知りたいです。

北村　オフィスでペーパーレスといわれている一方で紙の需要は減っていないという実態があります。また、企業や自治体では、情報漏えいにつながる可能性がある機密文書の管理が問題となっています。破棄するとしても、高いコストをかけ専門業者に依頼しないといけない。紙に対するこれらの困りごとに、エプソンはこれまで培ったプリンティング技術を生かし、紙を再生し、新しい顧客価値を創造するという発想のもと「PaperLab」を開発しました。一部の大手企業様、自治体様での試験導入で実績をみながら、年内には投入を予定しています。

沢田　リコージャパンさんの業種別製品展開、例えばトレイにカギを付けるといった取り組みは、通常であれば個別案件としての対応を考えるところですが、それを製品としてラインアップされている。市場の声がメーカーにちゃんと届いているのはすばらしいですね。

石田　現場からの強い要望ですからね。メーカーの開発体制にわれわれ販売のメンバーも組み込まれて、活動していることが大きいと思います。ただ正直申し上げて、カギ付などのモデルだけでは台数が多く売れる商品ではありません。カギ付モデルの存在によって、通常モデルも一緒に販売されていく相乗効果を狙っています。

成熟市場でも売り方で需要は創出できる

──最後に、2016年のプリンタ市場の見通しをお聞かせください。

北村　あくまで当社としての傾向ですが、レーザープリンタではいい年と悪い年が交互にやって来るサイクルがあります。昨年は案件の谷間の年という印象で、パートナー様にお聞きしても、マイナンバーがらみのセキュリティ商材の需要は、むしろ昨年後半から出始めているようですので、今年は出力機器が活発になる年と期待しています。

沢田　レーザープリンタ市場としては、全体の台数でいえば若干減るのではないかとみています。そのなかで、ビジネスをどう維持・拡大させるかが課題です。お客様のニーズに応える製品とサービスの投入が引き続き必要だと考えています。

大澤　調査会社のレポートなどでは、中長期的にみて先進国でプリンタの出荷が大きく伸びることはないと予測されていますが、当社もそれに異論を挟むことはありません。ただ、モバイルプリンタなどカテゴリ別でみると成長している分野もある。大きくは伸びないものの、買い替え需要をうまく取り込みながら、モバイルなどをプラスアルファで伸ばしたいと考えています。

石田　今年についていえば、前年比で伸びる要素はありませんが、大きく減るとも思っていません。ただ、長い目でみたときに、機器の集約化や業務の電子化で、プリンタの台数自体は減っていく。市場の変化に合わせて売る物や売り方を変えていかなければいけないと考えています。

──ありがとうございました。