ディスク暗号化ソフトウェアメーカーのウィンマジック・ジャパンは、鍵（暗号キー）管理機能によってIaaS上で稼働する仮想マシンの暗号化をサポートする「SecureDoc CloudVM」の提供を近く開始する。仮想環境に保存されている重要資産の保護に対するニーズの高まりに対応した暗号化ソリューションで、パブリックやプライベートに加えて、ハイブリッドクラウド環境で稼働するプラットフォームまでサポートする。オンプレミスを含めて多くのプラットフォームをサポートしてきた同社が、さらにインテリジェントな鍵管理を実現した。カナダ本社のマーク・ヒックマンCOOに、SecureDoc CloudVMを加えたウィンマジックのソリューションの強みを聞いた。

仮想環境のデータ保護に最適解

　企業の多くがクラウドを利用するようになっているなか、IaaS上の仮想環境に保存されているデータが危険にさらされている可能性があるとの見方が出ている。プロフェッショナル向けネットワーキングサイトのSpiceworksが実施した、クラウドを利用する予定であるユーザー企業のIT責任者150人を対象としたオンライン調査によれば、プライベートクラウドやパブリッククラウドのデータが完全に安全であると考えているIT責任者は非常に少ないということが判明した。しかも、仮想環境に保存されたデータを実際に暗号化する場合、ネットワークトラフィックの暗号化によってデータの安全を図ると答えたIT責任者が多く、ディスクやデバイスのレベルで暗号化している、もしくは、する予定と答えたのは、わずか3分の1だったという。この調査結果に対して、ウィンマジックは最適解を与えるため、SecureDoc CloudVMを提供することに踏み切った。

　「フラッグシップモデルの『SecureDoc』と同様、SecureDoc CloudVMの最大の強みは、鍵管理機能によって、どの部分がどのように暗号化されているかを一目瞭然で把握することが可能というインテリジェントな鍵管理だ」とヒックマンCOOは説明する。Microsoft AzureやAWS（Amazon Web Services）、VMwareなどのクラウドのIaaS上で稼働する仮想マシンの暗号化に対応。クラウド環境に保存されているデータのセキュリティを確保し、データを暗号化する鍵は社内で管理できる。仮想化されたワークロードに対する独自の鍵管理とポリシー管理によって、複数の暗号化レイヤの保護と関連鍵や証明書の管理に関わる問題を軽減する。

　ヒックマンCOOは、「IaaSにフォーカスしたSecureDoc CloudVMを提供することによって、十分な対策を立てることができなかったユーザー企業の悩みを解決する」とアピールする。

すべてのデータを暗号化する環境へ
日本市場に期待している

　オンプレミス向けフラッグシップモデルをはじめ、クラウドストレージ上に保存するデータを暗号化する「SecureDoc CloudSync」などによって、さまざまな環境をサポートしてきたウィンマジックはSecureDoc CloudVMの追加で、エンドポイント、ファイルサーバー、仮想サーバー、EFSSソリューション、IoT（Internet of Things）のインスタンスと、さまざまな場所に存在するデータの鍵管理を一元化、まさにインテリジェントな鍵管理を強化することになった。ヒックマンCOOは、「セキュリティ対策として、他社製品を導入しているユーザーは、ITインフラの多様化による管理すべき鍵の増加など複雑な管理、単純な鍵管理のシナリオによるコンプライアンスの問題や情報漏えいの危険性、複数の鍵による複数のサインインなど効率性の低下といった問題を抱えている」と前置きし、「管理すべきシステムやデータが増えても、SecureDocを使えば、シングルサインオンで複数の鍵を管理、スマートカードやバイオメトリクスなど多要素認証との併用、一元コンソールでの管理などによって対応できる」としている。

　ウィンマジック・ジャパンでは、今後も販社とのパートナーシップによって、製造業をはじめ、エネルギーサービス、政府機関、ヘルスケア、教育、法務など、さまざまな業界に向けて販売のアプローチをかけていく方針だ。「日本では、暗号化ソフトウェア市場で圧倒的なシェアを獲得しているが、成長の余地はまだ十分にある。ビジネス拡大を大いに期待している」とヒックマンCOOは強調する。