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<監視カメラソリューション特集>キヤノンマーケティングジャパン 映像データの価値を追求「NVS」をワンストップで提供

2016/11/24 19:54

週刊BCN 2016年11月21日vol.1654掲載

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、ネットワークカメラ事業の強化に取り組んでいる。「ネットワークビジュアルソリューション(NVS)」をベースとしたビジネスを手がける組織を立ち上げ、カメラメーカーならではのレンズを中心とした高品質の製品で、監視カメラや映像データ分析などに対するユーザー企業のニーズに応えている。ハードウェアとソフトウェア、サービス、保守を含めてワンストップでソリューションを提供し、成長を遂げている。

NVS関連の部署を組織化 収益を確保する成長の柱に

 キヤノンMJは2013年、新たな組織を立ち上げた。ネットワークカメラを中心とした映像関連の次世代ソリューションを創造・提供する「NVS事業推進本部」だ。組織の設置について、NVS事業推進本部でハードウェアの企画を担当する奈良祐司・NVS企画部NVS商品企画課課長は「収益を確保する柱として確立するほか、新たな市場の拡大につなげるという意味合いがあった」と説明する。キヤノンMJが販売するカメラといえば、一眼レフをはじめとしたデジタルカメラとコンシューマ向け製品のイメージが強い。法人向けビジネスといえば、複合機を中心とした事務機、医療機器や産業機器を提供している印象だ。一方、市場環境は主力のデジタルカメラや複合機が安定市場であるだけに、今後は大きく伸びるとはいい難い。NVS事業推進本部を設置して、新たな成長の柱をつくったことになる。

奈良祐司・NVS商品企画課課長(左)と
加瀬俊二・NVSイメージングソリューション企画課課長(中央)、前野一隆・NVS戦略企画課課長

 また、今年7月にはNVS事業推進本部NVS企画部内にNVSイメージングソリューション課という組織も新設した。同課の加瀬俊二課長は、「映像データの価値を追求していく」との方針を示す。

 このような体制を敷いて、キヤノンMJではNVS事業の拡大を図っている。加えて製品・サービスでも他社にはない強みをもっている。「カメラメーカーだけに高品質なレンズという点で他社には負けない」と、奈良課長はアピールする。確かに、長年に渡って一眼レフのレンズを開発しているノウハウをもってネットワークカメラを開発するというのは、他社との差異化要因だ。ネットワークカメラは映像を送信するため、低容量でありながら高解像度で撮影することが求められる。きれいな映像を撮影することができ、しかもコンパクトに送信できるというのが、最大の強みというわけだ。

ハードウェアで38機種を用意 管理を効率化するソフトウェアも

 ネットワークカメラの製品ラインアップについては、16年11月の時点でハードウェアで38機種を揃えている。スタンダードなモデルをはじめ、360°旋回モデル、ドーム型、赤外線照明、超小型、屋内外、耐衝撃などさまざまだ。レンズについては、360°旋回モデルにズーム全域で収差を抑制する鮮明な高解像画像を提供する「Hi-UDレンズ」、ドーム型に近赤外光の光学性能を追求したナイトモード時のフォーカスずれを抑制する「スーパーUDレンズ」、テレ端低照度性能にすぐれて夜間の遠距離監視で高感度撮影が可能な「望遠ズームレンズ」など、レンズも充実している。さらに、ドーム型に高速・高精度でモニタリングできる「360°パン(エンドレス旋回)・180°チルト機構」、照度ゼロで撮影できる「赤外線照明LED」を赤外線照明モデルに搭載している。

ネットワークカメラの豊富なラインアップがキヤノンMJの強み

 ハードウェアで競争力のあるレンズや機能を搭載しながら、ソフトウェアもユーザー企業の使い勝手を追求している。管理ソフトウェアとして、マイルストーンシステムズ製の「Milestone XProtect」を提供。直感的でわかりやすい操作性のほか、効率的なモニタリングが可能となる。

「Milestone XProtect」によってオペレータの監視業務を効率的にサポート

モニタリングだけではない用途 収益増につながる導入を訴求

 NVS事業の体制整備でキヤノンMJでは新規需要を掘り起こしているわけだが、「監視カメラの切り口だけでなく、あくまでも映像を使った『イメージング』をテーマとしたソリューションの提供にこだわっていく」と前野一隆・NVS戦略企画課課長は説明する。例えば、道路を走る自動車のナンバープレートをモニタリングして交通量を調査、そのデータを蓄積して渋滞する時期や日時などを予測したり、インバウンドに対応するためのマーケティングに生かしたりと、監視以外のネットワークカメラの活用は多くある。キヤノンMJでは、ネットワークカメラ用途のイメージ刷新も視野に入れて収益増につなげる。

 直近のビジネスについては、ハードウェアとソフトウェア、サポートも含めたワンストップソリューションを提供している点が評価されて、ユーザー企業が増えている状況という。売上成長率は20%で推移しており、「今後も、市場の伸びより成長する」と奈良課長はいい切る。ネットワークカメラ市場は、アナログカメラの時代から製品を販売しているメーカーのシェアが高く、上位メーカーの多くは「監視」を切り口にビジネスを手がけているケースが多い。キヤノンMJは、「NVS」を武器にシェア拡大を図っていく方針だ。
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外部リンク

キヤノンマーケティングジャパン=http://www.canon.jp/