Special Issue

<ハイパーコンバージドインフラ 座談会 2017>最重要のHCI市場でビジネス確立へ

2017/06/29 09:00

週刊BCN 2017年06月26日vol.1683掲載

自社の強みを生かした市場開拓を進める

――座談会ということで他社もいるなかで、あえて自社製品の強みや差異化点をアピールしてもらえますか。

浮田 当社は、データ保護やバックアップソリューションを積極的に展開しています。とくにVxRailは、「Data Domain」「Avamar」といったバックアップ製品と組み合わせて販売しやすい。XCシリーズも同様の組み合わせが可能となりましたし、このあたりは差異化点ですね。また、グループ会社ということで、トラブル時にVMwareの技術者が直接、サポートできる点も強みです。

石田 やはりネットワークです。HyperFlexは、ネットワークファブリックの「FI」を搭載しているので、ネットワーク構成も含めて簡単に導入できます。FIは、既存のUCSユーザーでもサーバーノードだけをUCSのFIに追加すれば、UCSをHyperFlexとして稼働することを可能にします。HyperFlexを購入したユーザーが、UCSをつなげて使用するといった混在環境も実現します。また、このネットワークを活かした独自のログストラクチャファイルシステムによって、さまざまな場面においても他社と比較して安定した高いI/Oパフォーマンスを発揮します。こちらは第三者期間のESGによる他社製品とのI/Oパフォーマンス比較検証データが公開されています。

 Nutanixのすぐれた機能に加え、ラインアップの多さが強みです。ハイパフォーマンス向けのHX7000シリーズから、ストレージ容量重視のHX5000シリーズ、メインストリームのHX3000シリーズ、SMB向けのHX2000シリーズ、ブランチオフィス向けのHX1000シリーズがあり、フルSSDモデルやGPUモデルもラインアップしています。また、ハードウェア自体の信頼性も自信があります。これまで初期不良は1件もありません。

――自社製品の強みを踏まえた、特徴的な導入事例があれば教えてください。

石田 長崎県立大学は落雷が多い地域のため、停電が起こりやすく、そのたびに個々のシステムの再起動に数時間を要していました。問題の解消を目指してHCIを検討していたものの、要求する仕様にマッチする製品がなかったようです。そうした大学が求める構成やコストなどの点で、柔軟に対応できたのがHyperFlexです。導入後は、十数分で再起動が可能となり、可用性やパフォーマンス向上に大きな効果が得られています。

 専任管理者がいないSMBが多いという点で、HCIは地方で火がついたのですが、当社にとって初案件となった広島県の古川製作所様も中堅企業です。どのような案件だったかというと、システム更新期を迎えて当初はクラウド移行を検討したが、5~6年のタイムスパンだと、通信費などを含むトータルコストを考えた場合、オンプレミスでHCIを導入したほうが投資回収ができると判断されHXシリーズを採用したのです。豊富なラインアップが決め手となりました。ちなみに当社の案件は、製造、情報通信、金融、メディアで75%を占めており、もちろん大企業もありますがSMBであるケースが多い。主な用途は、セキュリティや管理を目的としたVDIです。

浮田 大規模な事例では、みずほトラストシステムズがストレージの柔軟なスケーラビリティを確保する目的でVxRailを採用しました。ユニークな例では、あるサービスプロバイダがサービス基盤に導入しているケースがあり、個別のユーザー向けにノードを購入して、業務アプリに特化した形でチューンアップして提供しています。こうしたケースでは、アプリに合わせた環境をいち早く構築できることが評価されているようです。

HCIは最重要の市場 積極的に投資する

――HCI関連ビジネスは、社内でどのような位置づけですか。また、それを踏まえて、今後の取り組みや目標を教えてください。

 当社にとって、HCIはトッププライオリティのビジネスです。日本のユーザー様は自らの判断でゼロからシステムを選択するより、SIer様の提案を受けて選択します。企業を取り巻く環境は、今でもサーバーとストレージ、ネットワークをインテグレーションするシステムであり、HCIを導入しているのは1割にも満たない。言い換えれば、9割のリプレースがあるというわけですから、新規顧客を開拓するために人的リソースもお金も積極的に投資しています。目指すは、国内市場でトップシェアですかね。また、営業だけでは売れないので、パートナー様を含めて技術者の育成に力を注ぎます。

浮田 当社にとっても、HCIはSDSと合わせて一番重要な分野と考えています。従来のEMCとして販売していたストレージ専用機の需要の多くは今後、HCIに替わっていくでしょう。今は技術と市場が変化していく重要なタイミングであり、ストレージでNo.1であったようにHCIでもNo.1を獲得すべく、緊張感をもって取り組みます。

石田 当社も、HCIは戦略的に非常に重要なビジネスです。今年は3ケタ成長することが目標で、今後もマーケットの成長を超えるだけの成長を達成し続けていきます。また、UCSは国内外問わずブレード市場で強く、かなりのシェアを獲得していますが、ラックサーバーでも成長していくためにHCIに力を入れて、ラックでの差異化としていきます。そのためにも、シスコの強みであるパートナーエコシステムを生かすための施策と認知度向上に努めます。

――最後に、パートナーへのメッセージをお願いします。

石田 パブリッククラウドを含め、DCのプラットフォームビジネスが課金モデルも含めて大きく変化しています。従来型のビジネスモデルを守りながらも、いかに新しいテクノロジーおよびビジネスモデルに追随できるかが重要で、遅れると5~10年後にはビジネスが成り立たなくなる可能性があります。HCIは、ビジネスモデルの変革を牽引できるソリューションであり、HCIをベースにパートナーの方々と一緒に新しいビジネスモデルの創造も視野に入れていきます。

 近い将来、ITシステムはハイブリッドクラウドが中心になるでしょう。HCIは、オンプレミスのシステムですが、NutanixのHCIはAWS連携の実装など、ハイブリッドクラウドになった時にも投資が無駄にならないように考慮されています。そこで、ハイブリッドクラウドの時代を今から見据えて、各社のHCI製品を比較し、テクノロジーを学んで欲しいと思いますし、当社もそれをしっかり支援していきたいと思います。

浮田 クラウド化は止まらないでしょう。ただし、何でもクラウドが向くわけではありません。そもそもクラウドを選択する理由は、システムの迅速な提供とシンプル化ですし、われわれベンダーはそこを理解したうえでHCIをベースとしたビジネスモデルをつくっています。ぜひパートナーの方々には、HCIの導入利点と追加で導入後の新たなビジネスにつなげていってほしいと考えています。

――ありがとうございました。
 

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