ISVパートナーがSAP製品を自社製品に部品として組み込み、独自ソリューションとして提供できるようにした「SAP ISV/OEMプログラム」。SAPジャパンの代表取締役社長 福田 譲 氏は、「SAPが積み上げてきた『秘伝のタレ』に加え、AI、IoT、ブロックチェーンなどの最新機能も豊富に揃う。利用するうえでのハードルを極力下げており、規模の大小と関係なく、“コネクテッド”、“スマート”を謳う企業はすべて有力な対象になる」と力を込める。日本では今後2年間で200社のパートナーを獲得することを目標に掲げる。福田氏に話を聞いた。

いかに速く最新トレンドを吸収してビジネスに展開できるかが、ISV共通の課題

――ISVを取り巻く現状や課題をどう捉えていますか。
 

SAPジャパン
代表取締役社長
福田 譲 氏

 ISVを取り巻く環境は大きく変化している。しかも、情報処理産業に限らずあらゆる業界のビジネスが大きく変化しており、新しい環境に適応する必要に迫られている。その変化を主導しているのがITだ。かつてITは黒子だったが、今やビジネスを変化させる主役になった。これはISVにとって大きなチャンスである一方、リスクにもなる。ISVが、その流れに対応した新製品開発を進めていくには、いかに速く最新トレンドを吸収してビジネス展開していくかが問われる。つまり、ブレークスルーを実現できるようなゲームチェンジング・テクノロジーが欠かせない。

 実際、SAP自身も変化しており、この6~7年で事業も倍になった。SAP成長の原動力は、SAPがこれまで積み上げてきた「秘伝のタレ」ともいうべき製品・サービスだ。その秘伝のタレを広く他社の方々にも活用して戴くためのメニューが「SAP ISV/OEMプログラム」だ。

初期投資を極力抑えて、容易に活用できる「SAP ISV/OEMプログラム」

――SAP ISV/OEMプログラムの特徴を教えてください。

 SAP ISV/OEMプログラムは、単なるSAP製品のリセールではなく、パートナーの製品にSAP製品を部品として組み込んでもらい、自社のソリューションとして販売できるようにしたものだ。しかも、パートナーの初期投資を極力抑え、迅速にビジネスをスタートできるよう、SAPは黒子に徹している。

 OEMプログラムの利用にあたっては、SAP製品のリセールの場合に必要な営業、SE認定資格やSAP製品の保守認定資格取得が必要なく、開発用、デモ用、テスト用ライセンスに関しても特別な費用が一切発生しない。さらに、エンドユーザーとSAP間での契約も発生しないので、パートナーがSAP製品を組み込んだ自社製品を日本国内やグローバルで販売・サポートする際に、エンドユーザーとSAP間でのライセンス使用許諾も必要ない。

――日本での状況・実績を教えてください。

 現在の名称になったのは2年前だが、以前からOEMプログラムは提供しており、国内で60社を超えるISVパートナーがSAP製品を組み込み、大きなビジネスを成功させている。その6割は10年以上にわたるパートナーであり、各分野のトップに位置している。

 一方で、最近は新しいパートナーも増えている。OEMプログラムは、ハイエンドからリーズナブルな製品までラインアップが豊富に揃うので、ISVの方々の状況に合った活用ができる。さらにAI、IoT、ブロックチェーンなどの最新機能も続々と追加されている。

 SAPのOEMプログラムの強みは、SAPのイノベーションを支える基幹となる製品やソリューションとまったく同じものを活用できること、パートナーに根ざしたものであること、そして、SAPエコシステムを活用できることだ。小規模なISVでも、最新テクノロジーをいち早く活用して、日本で開発した製品・サービスを広くグローバルへと展開できる。

 実際、SAP自身がISVパートナーの開発した製品を活用している一例として、SAP Appreciationプログラムがある。これは社員同士で感謝を伝え合い、コミュニケーションや組織の活性化を図るための仕組みで、感謝の気持ちをポイントとして送り、貯まったポイントはオリジナルギフトなどに交換できる。SAP Cloud Platform上で開発され、SAPの人事システムと連携して稼働している。
 
SAP Appreciationの画面

“コネクテッド”、“スマート”を謳う企業はすべてパートナーの有力な対象

――グローバルにおける状況はいかがですか。

 グローバルでのOEMビジネスは活況で、パートナー数は米国を中心に約2000社にのぼる。小さな企業が初期投資を減らして、迅速にビジネスを立ち上げたという事例が多いが、ISVに限らずIHV(Independent Hardware Vendor)企業も多く、世界の名だたるIT企業もSAPのOEMパートナーである。最近はとくに、SAPシステムとの連携強化という点でSAP Cloud Platformを採用する例が増えている。SAP Cloud Platformは開発から運用までを包括的にカバーするPaaS環境であり、イノベーションを実現する「SAP Leonardo」の基盤でもある。SAP Cloud Platformを活用すれば、同業他社に対して高い競争力を持つ製品をいち早く市場投入できるようになる。

――最後に、今後の目標を教えてください。

 われわれはモノからコト、つまりデジタルビジネスへの移行を加速させようと考えられている方々のお役に立ちたいと考えている。その意味で“コネクテッド”、“スマート”を謳う企業はすべてOEMパートナーの有力な対象になる。日本では今後2年間で200社のパートナーを獲得することが目標だ。
 
「今後2年間で200社のパートナーを獲得する」と福田氏は意気込む