ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を導入すると仮想マシン(VM)を容易に作れるようにはなるが、データの容量がどんどん増えて、バックアップの運用が大変になるのでは――。物理と仮想の混在環境に標準対応したアークサーブのバックアップソリューション「Arcserve UDP」とニュータニックスのハイパーバイザー「AHV」ベースのHCIを組み合わせれば、こうした心配はまったく不要。遠隔地のレプリケーションも低コストで行えるので、災害対策(DR)にも役立てることができるという。

HCIの台頭で、バックアップ環境に変化

 「物理と仮想の混在環境が増加するにつれて、バックアップ環境にも変化が生じている」

 アークサーブ ジャパンの末吉聡子・チャネルマーケティング部長はこのように語る。潮目が変わったのは2017年度のこと。同社の主力バックアップ製品であるArcserve UDPの仮想環境版のライセンス数が、物理環境版のそれを上回ったのだという。さまざまな要因が考えられるが、仮想OSの登場が2000年代初めであることを踏まえると、「直接的にはここ数年でHCIが台頭してきたことが大きく影響している」と、末吉部長はみている。
 
アークサーブ ジャパンの末吉聡子・
チャネルマーケティング部長

 HCIという概念を初めて提唱したのが、2009年に米国で設立されたニュータニックスだ。同社は現在、HCIソフトウェアの「Nutanix Enterprise Cloud OS」を提供。ニュータニックス・ジャパンの河南敏・マーケティング統括本部マーケティング本部本部長は「ニュータニックスでは、お客様が特定のベンダーにロックインされてしまうことなく、ニーズに合わせてコンポーネントを自由に選んでいただける『選択の自由』を重視している」と語る。
 
ニュータニックス・ジャパンの河南 敏・マーケティング統括本部
マーケティング本部本部長

 例えば、ベースとなるプラットフォームについては、ニュータニックスの純正アプライアンス「Nutanix NX」シリーズに加え、OEMパートナーのDell EMC、レノボ、IBMの3社からアプライアンス製品を販売するとともに、Dell EMCとレノボの認定サーバー構成向けにNutanix Enterprise Cloud OSが選択できる。また、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、シスコシステムズ、日立製作所の認定されたサーバーにNutanix Enterprise Cloud OSを搭載することもできる。

 サーバー仮想化の核となるハイパーバイザーについても、ニュータニックス純正のAHVだけでなく、ヴイエムウェアの「VMware ESX」やマイクロソフトの「Hyper-V」が利用できる。「当初はESXの利用が多かったが、現在はAHVの比率が38%まで高まっている」(河南本部長)という。また、ハイブリッドクラウド環境として使う際のパブリッククラウドについては、「Nutanix Xi Services」に加え、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」をサポートしている。

物理と仮想の混在環境を統合管理。最新版ではAHVにもネイティブ対応

 HCIをはじめとする仮想環境におけるバックアップにはどのような課題があるのか。末吉部長は「VM数が多くなることによるデータ容量の肥大化」「(それによる)バックアップ時間の長期化」「物理/仮想、さらにクラウドの混在環境での運用管理工数の増大」「災害対策の難易度の上昇」の4点を指摘。そして、最新のArcserve UDPには、これらの課題を解決する機能が標準で備わっているという。

 例えば、Arcserve UDPは「設定した世代数を超えると、最も古い増分バックアップを“フルバックアップ”に自動でマージする」(末吉部長)メンテナンスフリーのバックアップ方式になっているため、データ容量が肥大化しても運用管理はシンプル。フルバックアップは初回だけ行えばよいので、バックアップ時間も運用管理工数もそれだけ節約できるのだ。

 また、物理サーバーや仮想マシン間でもデータの重複を排除する機能があるため、データ容量を平均して約80%削減(2回目以降)することが可能。災害対策などを目的にバックアップデータを遠隔地に複製(レプリケーション)する際は、日時を指定したり帯域幅を制御したりすることによって、回線への影響を最小限に抑えることが可能だ。
 
ハイパーコンバージドとの混在環境も丸ごとバックアップ

 さらに、DRサイトでの世代数を本番系よりも少なく設定したり、あらかじめバックアップデータを元に仮想マシンを作成したりすることができるため、災害時にはこの仮想マシンを起動することで、本番環境と同じ運用が可能。DRの運用もそれだけ簡単になるだろう。

 このほか、近々リリースを予定するArcserve UDPの最新版では、AHVのAPIにもネイティブで対応するので、AHV仮想マシンのエージェントレスバックアップとリカバリーが可能になる。「AHV上のVMごとにエージェントを導入する必要がなくなるので、稼働中の業務システムの運用に影響を与えることなくデータ保護を強化できる」と末吉部長。VM自動検出機能や統合管理コンソールとの相乗効果によって、「運用管理工数を大きく削減できる」とアピールする。

 米アークサーブは、2015年から米ニュータニックスとの間でグローバルなパートナーシップを結んでいる。「Arcserve UDPをAHVのAPIに対応させるに当たっては、ニュータニックス・ジャパンの協力の下、国内の開発・テスト環境をお借りした」と末吉部長は話す。拡販に向けてのマーケティング活動も両社共同で展開しており、共催セミナーなどを実施しているという。

 ニュータニックスのHCIを導入したら、そのバックアップにはArcserve UDP――。これからのデータセントリック時代には、この強力コンビが活躍することになりそうだ。
 
「HCI環境のバックアップ運用・提案に対する実態調査」
https://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_Arcserve3