ネットワールドは、東京・赤坂の赤坂インターシティAIRで「ここが知りたい!Azureへの移行ノウハウがわかるセミナー」を4月12日に開催した。日本マイクロソフトをはじめ、Microsoft Azureへの移行を実現するバックアップソフトベンダーとして、Arcserve Japan、アクロニス・ジャパン、ヴィーム・ソフトウェア、Cohesity Japan、Zerto Japan、ベリタステクノロジーズの6社が集結。移行に向けた対策やノウハウの解説と共に、Azure移行をテーマに座談会も実施した。パートナーやエンドユーザーなど、100人以上が来場して大盛況だった。

日本マイクロソフトとバックアップソフトベンダー6社が座談会を実施

今も40万台以上が残る
Windows Server 2008

 セミナーの冒頭では、ネットワールドのソリューションマーケティング部の猪原伯光氏が登壇し、「Windows Server 2008は2020年1月にサポート終了(EOS)を迎えるが、今も40万台以上が残る。当社は、社員の4分の1がSEというソリューションディストリビュータで、複合システム検証センターGARAGE(ガレージ)や、機器の出荷前に検証・構築するPIC(プリ・インテグレーションセンター)など、充実した検証設備がある。ぜひ、EOS対策にも活用してほしい」と呼びかけた。
 
ネットワールド
ソリューション
マーケティング部
猪原伯光氏

 続いて登壇した日本マイクロソフトの佐藤威氏は、「待ったなし!?Windows Server 2008 R2のEOS対策とAzure移行のススメ」と題して講演した。
 
日本マイクロソフト
佐藤 威氏

 佐藤氏は、「EOSに際しての選択肢はAzureへのシフトとオンプレミスの継続だが、Azureへのシフトを強くお勧めする。オンプレミスで有償の延長セキュリティ更新プログラム(ESU)も、Azureなら無料だ」とメリットを語った。また、Azureは世界最大級のインフラで、リージョン数も他社より多い。企業ユーザーが慣れ親しんだスキル、ツール、そしてライセンス投資をシームレスに移行できると強調した。

ベンダー各社が解説
Azure移行への最適解

 続いて、バックアップベンダー6社がソリューションを紹介した。

 Arcserve Japanは、「新OSへの移行もクラウド移行も怖くない! Arcserveで実現する超簡単サーバ移行」と題してソリューション統括部シニアコンサルタントの近藤大介氏が講演した。近藤氏は、移行には、物理、仮想、クラウドにも対応すること、異なるOSへのデータ移行が可能なことが求められると語り、「Arcserveなら、いずれの条件にも対応し、充実のサポートがある」と述べた。

 アクロニス・ジャパンは、「Azureの保護はアクロニスにお任せ! 異なる環境への移行テクノロジーのご紹介」と題してセールスエンジニアマネージャーの佐藤匡史氏が講演した。佐藤氏は、「Acronisは、Azureに直接働きかける機能が弱い。しかし、イメージバックアップによってシステムが稼働中でも丸ごと情報を取得して、任意の保存先に簡単に移して復元できる。移行後の管理ではマルチクラウドまでも一元管理できる」と語った。

 ヴィーム・ソフトウェアは、「MS Azureにおけるマイグレーション」と題してソリューションアーキテクトの高橋正裕氏が講演。高橋氏は、「バックアップは当たり前で、復元に当社の強みがある。迅速で多彩な復元シナリオに対応できる。また、Veeam Instance Licensingはオンプレ、マイグレーション、クラウドでの利用と、全てにおいて同一ライセンスが使える」と語った。

 Cohesity Japanは、システムエンジニアの方煥杰氏が「Windows Server 2008を簡単にAzureに移行・保護」と題して講演した。方氏は、「Cohesityの特長は、シンプル、無停止、フォーマット自動変換。オンプレ上のVMをクラウド上に移行して、クラウドネイティブ形式に変換して立ち上げることが可能で、迅速に移行できる」と語った。

 Zerto Japanは、「ZertoでAzure移行」と題して浅利昭吾氏が講演した。浅利氏は、「当社はバックアップの会社ではなく、レプリケーションと移行の会社。移行時のダウンタイムを大幅に削減し、移行直前の状態に数分で戻せる。導入は1時間程度で、移行作業が5分程度で済む。しかも、運用に影響を与えないアーキテクチャーを備えている」と語った。

 ベリタステクノロジーズは、「Azure移行後のシステム稼働率確認は大丈夫ですか? 業務レベルまでカバーする移行ソリューションのご紹介」と題してテクノロジーセールス&サービス本部の星野隆義氏が講演。星野氏は、「Veritas CloudMobilityは、DBやウェブ単位でなく、ITサービス単位の移行を可視化し、オーケストレーションによりAzureでのアプリの稼働を保証する。また、何度もリハーサルが可能で、必要に応じてAzureからオンプレへの切り戻しもできる」と語った。

移行支援ベンダーが本音で座談会
クラウド移行に圧倒的なメリット

 続く、座談会ではモデレーターにアベニール・ジャパンの森中彦人氏を迎え、日本マイクロソフトとベンダー6社が「移行支援ベンダーが本音を語る。Azure移行の今!」と題して本音の議論を展開した。

 最初のテーマ「なぜオンプレミスじゃだめなの?」という問いには、各社からさまざまな意見が挙がった。日本マイクロソフトの佐藤氏は、「そもそも当社はAzureファーストで、オンプレはむしろ特殊ケース」という。Arcserve Japanの近藤氏は、「オンプレは初期投資の負担が大きい。一方、クラウドはDR対策にもなり、管理工数もかからない」とした。ヴィーム・ソフトウェアの高橋氏は、「オンプレでは、また、同じ移行問題を繰り返すことになる。クラウドからオンプレに戻すこともあるが、一度はクラウド移行を経験すべきだ」と強調。Cohesity Japanの方氏は、「手間、リスク、コストの3点でクラウドに圧倒的なメリットがある」と語った。

 「なぜAzureへの移行がいいのか」という問いに、日本マイクロソフトの佐藤氏は「セキュリティ、特にAzure ADに統合されたセキュリティの提供とグローバルリージョンが強み」という。ヴィーム・ソフトウェアの高橋氏は、「当社は連携の実績が最も多い」ことを挙げた。ベリタステクノロジーズの星野氏は、「当社もこれまでの歴史、実績で最も長い関係を持つ。競合他社が本屋さんだった頃から」と語り、会場の笑いを誘った。

 「オンプレとAzure間のライセンスはどうするのか?」との問いには、基本的にはケースバイケースになるが、ベリタステクノロジーズの星野氏は「当社のソリューションなら、データ量と関係なくゲストOS単位で済む」、Cohesity Japanの方氏も「基本は容量ライセンスだが、VM課金のメニューもある」と、独自の提案をアピールした。

クラウドとオンプレは別物
移行して終わりではない

 「ケース別移行の方法と注意ポイント、そして最善策は?」という問いに、日本マイクロソフトの佐藤氏は「当社でツールも用意しているが、すべてのケースをカバーできないため、ベンダーの方々のソリューションを活用してほしい」と語る。Arcserve Japanの近藤氏は、「OSをそのままに移行するケースと、新OSに移行するケースが混在する時は、双方に対応した製品を選択すべき。また、フルのデータ転送は帯域制御が必要だ。アクセス権を設定しなければならないが、ADがない中小企業は注意すべき」とした。ベリタステクノロジーズの星野氏は、データ管理からの注意点として「タイムラグが生じるので、特にシステムが相互に組み合っている場合、移行のタイミングを合わせる必要がある」と指摘した。

 「失敗例と改善策を教えて!」との問いに、アクロニス・ジャパンの佐藤氏は「中小企業の移行で起きやすいのが、移行先でのアクセス権の継承問題だ。これは戻す時も同様」と語る。ヴィーム・ソフトウェアの高橋氏は、「移行自体は容易だが、移行先で動かないことがある。オンプレとクラウド環境はまったく違う。トライ・アンド・エラーを経験しておく必要があるが、当社のソリューションなら何度もそれが可能」とした。Arcserve Japanの近藤氏は、「ネットワールドと実機検証してレポートを公開している。その経験からコスト計算が大変だった」と語った。

 「ぶっちゃけ、費用はどうなの?」との問いに、ヴィーム・ソフトウェアの高橋氏は「当社は標準機能に含むため移行コストはゼロ」という。ベリタステクノロジーズの星野氏は、「ゲストOS単位のため、データ量に関係なく一桁万円程度」、Zerto Japanの浅利氏も「当社も同様」という。3社の共通意見として「移行自体ではなくサービスで費用をもらっている」でまとまった。日本マイクロソフトの佐藤氏は、「お客さまの予算の持ち方と課金とをマッチングさせる必要があるが、それはSIerの方々の役割。それにネットワーク予算も積んでおいてもらう必要がある」と語った。

 「Azure移行後の運用ポイント」では、ヴィーム・ソフトウェアの高橋氏が「移行後のデータ保護。移行後も、同じ製品で継続可能なものを選ぶべき」とした。アクロニス・ジャパンの佐藤氏は、「データ保護の観点から、バックアップはクラウドでも必須。当社は別クラウド(マルチクラウド)に置くことを提案しており、自社クラウドも用意している」とした。Zerto Japanの浅利氏は、「日常の管理・運用からは解放される。ただ、Azure VMは一つで20VMまでのため、規模の大きなケースで設計が欠かせない」とした。

 最終テーマの「サポート」では、Arcserve Japanの近藤氏が「トラブルは環境が大きく変わった時に発生するため、移行後のサポートが重要。そこで差別化を考えている。日本の事情をよく知る当社の強みが発揮できる」と語った。

 セミナーの最後には、ネットワールドからAzure導入支援サービス、キャンペーンなどについて説明し、「Azureへの移行はネットワールドにお任せください」とアピールした。
 

編集長の眼

 バックアップソフト/データマネジメントソリューションの市場は、老舗、新興ベンダーが入り乱れて百花繚乱の状況だ。セカンダリーストレージ領域のデータ活用を見据え、各ベンダーとも多様な機能をアピールするようになっている一方、ユーザーやパートナーにとっては製品・ソリューションの比較がしづらくなっている。今回のように、間近に迫るWindows Server 2008のEOSを踏まえたMicrosoft Azureへの移行対応にテーマを絞り込んで各ベンダーがどんな強みを提示できるのかを比較すると、各ベンダーの特色が鮮明に浮かび上がってくる印象だ。一堂に会した有力ベンダーそれぞれと、国内市場の非常に有力なビジネスパートナーとして協業するネットワールドだからこそ成立させることができた企画ともいえる。ベンダー側のプレゼンターも、顧客のためにならないセールストークを排し、時に具体的な事例を交えながら、自社製品が適したユーザーや用途を詳細に解説してくれた。参加者にとっては、Windows Server 2008のEOS需要をどう刈り取っていくべきか、多くの示唆を与えてくれる機会になったのではないか。