主催者講演のセッションでは、週刊BCNの本多和幸編集長が登壇し、「『デジタルトランスフォーメーション』の不都合な真実 ~あなたはDXを誤解していませんか?~」をテーマに、バズワードとして手軽に使われがちな「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の本質やITベンダーの果たすべき役割について、直近の紙面の内容を振り返りながら法人向けITビジネス専門紙としての見解を述べた。

本多和幸
編集長

 本多編集長はまず、AIやIoT、ビッグデータといった近年のIT市場における大きなテクノロジートレンドとして浮上してきた技術が実装のフェーズに入ったことや、DXに結びつけて語られることが多いと説明。一方で、「自戒を込めて言うが、メディアもITベンダーも、IoTやAIの導入・活用をもって『DXに取り組んでいる』と言ってしまっているケースが珍しくない」と指摘した。

 具体的に、経済産業省が昨年に発表した「DX推進ガイドライン」で示されたDXの定義などを紹介しながら、「DXは単に先進テクノロジーを活用することではなくて、経営そのものの変革であることをITベンダーもユーザーも改めてきちんと認識しておくべき」だと強調した。

 経産省は昨年、DXガイドラインに先立ち「DXレポート」を発表し、レガシーシステムを刷新してビジネス環境の変化に継続的に対応してビジネス上の競争力確保に寄与するITシステムを整備しなければ日本社会全体の経済損失につながるという「2025年の崖」問題を提起した。

 本多編集長は、この内容にも触れた上で「DXの基盤たり得るシステム構築には、現実的なコストでアジリティを高めることが求められており、内製化の流れが進む気配もある」とコメント。大手メーカーやプラットフォーマーなどが、ユーザー企業の内製化を支援するソリューションの提供を強化していることや、先進ユーザーとの連携を強化し、業種業態特化型のソリューションを共創する新たなパートナーとしてエコシステムに取り込もうとしている動きなどを、週刊BCNの紙面を紹介しながら説明した。

 最終的には、「DX時代におけるITベンダーの役割は、ユーザーの変革の伴走者として、競争上の優位性を確立する取り組みを継続的にやりやすくなるためのビジネス基盤を提供すること。立場や業態を問わず、ユーザーのビジネスそのものを理解しているかによって、死活問題になるかどうかを左右する」と結論づけ、ITベンダーによる変革の必要性を説くとともに、ビジネスチャンスの大きさを訴えた。