かつては、設計室にしか存在しなかったワークステーション――。高性能グラフィックボードを搭載したノート型ワークステーションの登場によって、設計者やクリエーターの働き方は変わりつつある。そのようなノート型ワークステーションを使って「ものづくり現場の働き方を改革する」というのが、今、レノボ・ジャパンが目指している目標。SB C&Sの協力を得て、レノボ・ジャパンのワークステーション事業本部長に話を聞いた。

ノート型ワークステーションなら
いつでも・どこでも仕事ができる

 「机にしばられているワークステーションのユーザーを解放して、もっと自由に働けるようにしたい」。レノボ・ジャパンの林淳二・ワークステーション事業本部長は、ワークステーション「ThinkStation Pシリーズ」が目指す世界をこう説明する。
 
林淳二
ワークステーション事業本部長

 よく知られているように、建築設計、エンジニアリング、デジタルコンテンツ制作などの業務を遂行するには、高性能のグラフィックボードを搭載したワークステーションが不可欠。可搬性を優先したノート型パソコンではとても仕事にならないので、顧客との打ち合わせで設計案や試作の変更を求められたときは、いったんオフィスに戻って作業をする必要があった。

 しかし、今は、あらゆる業種・業務で働き方改革が求められている時代。「小型軽量のノート型ワークステーションを使えば、設計者やクリエーターの方々も『いつでも』『どこでも』仕事ができるようになる」と林事業本部長はいう。

描画性能はデスクトップ型と同等
低故障率で静粛性にも優れる

 このような考え方に基づき、レノボ・ジャパンはノート型のワークステーションにもデスクトップ型と同等のグラフィックス能力を持つモデルを用意している。例えば、ハイエンドノート型のThinkPad P53には、デスクトップ型のThinkStation P330に搭載されているのと同じNVIDIA Quadro RTX4000(16GB)を採用。また、同じ15インチノート型のThinkPad P1にも、最新のNVIDIA Quadro T2000/T1000を搭載してモバイルでデスクトップ性能を引き上げようとしている。
 
 これらのThinkStation Pシリーズに共通した特長として、林事業本部長は三つのポイントを挙げる。

 第1のポイントは、「安心感」だ。「第三者機関の調査によれば、当社は導入後3年間の故障率が業界平均を下回っている唯一のワークステーションベンダー」という。その結果、Pシリーズ・ワークステーションの信頼性は他社機に比べて20%高いとアピールする。このほか、MIL仕様準拠の堅牢性な筐体や、スマートフォンだけでできるハードウェア診断なども、ユーザーの安心感を高めるのに貢献している。

 第2のポイントは、「省スペース性」である。業界最薄・最軽量のThinkPad P1では、15.6型UHDディスプレイ(3840×2160ドット)を搭載しつつも、幅361.8×奥行き245.7×厚さ18.4mmの本体寸法を達成。質量も1.7kg(最軽量モデル)に抑えている。ThinkPad P53の本体寸法も、これとほぼ同等。普通のバッグに収まるサイズなので、客先や自宅に持っていくのもたやすい。

 第3に、購入後の実使用で体感できる「快適性」がある。「エアフローを最適に設計し、大口径で動作音が静かな冷却ファンをCPUとグラフィックカードの周囲に設置することによって、業界で最も静かなワークステーションにつくり上げた」としている。設計者やクリエーターの思考をノイズで邪魔することがないので生産性も高く維持できる、と効果を強調する。動作音が静かなワークステーションなら、客先での打ち合わせやプレゼンテーションに使うのにもぴったりだ。

ISV認定のソリューションとして
広範なユースケースに勧めていく

 レノボ・ジャパンのワークステーション事業は、順調に推移している。林事業本部長は、「直近の第3四半期の出荷台数は、対前年同期比119%を達成した」と自信をみせる。2018年度の売上高と台数は、2016年度の約2倍になっているという。

 この勢いをさらに加速するため、レノボ・ジャパンはThinkStation PシリーズをCADやグラフィックスなどのアプリケーションと組み合わせたソリューション商材としても売り込んでいく。そのため、Autodeskなどのソフトウェアベンダーと協力してアプリケーションの動作検証を実施。ソフトウェアベンダーからISVアプリケーション認証を取得した上で、AutoCADなどを快適に使えるソリューションとして販売パートナーに紹介を始めた。

 さらに、より多くのユーザー層やユースケースにThinkStation Pシリーズの使用を勧めていこうと考えている。「従来は建築、エンジニアリング、土木の3用途がメインだったが、今では、AI、医療・ヘルスケア、ドローンなどにも広がりつつある」という。X線やCTなどの医療画像をAIで自動解析して医師の診断を支援したり、ドローンが集めた点群データを地形の3Dモデルに変換したり、といった用途に、Pシリーズ・ワークステーションならではの高性能が生かされると林事業本部長は見込んでいる。

 販売パートナー向けの支援も、さらに強化していく。レノボ・ジャパンの組織体制については、業界カットのソリューション担当者を増員する予定とのこと。ThinkStation Pシリーズの魅力をエンドユーザーに知ってもらうためのセールスツールとして、ノート型パソコンとノート型ワークステーションのパフォーマンス比較動画の制作にもとりかかっているという。

 高性能のノート型ワークステーションで、設計者やクリエーターの働き方を改革するレノボ・ジャパンの狙いは、日本のものづくり業界で必ずや成果をあげることだろう。
 
「ThinkStation Pシリーズ」の
ラインアップ