ノートPC「dynabook」で知られるDynabook社は、企業にとって喫緊の課題となっている働き方改革の支援に力を入れている。ハードウェアについては、テレワークに適したいくつかの機種を「働き方改革推進モデル」として設定。クラウドサービスなどを利用したソリューションとして、ウェブ会議などの統合コミュニケーションやテレワークで懸念されるセキュリティを担保するための商材を用意している。

働き方改革向けソリューションが
“コロナ禍”への対応にも活躍

 「2019年1月の社名変更を機に、当社は『Dynabook as a Computing』『Dynabook as a Service』をビジョンとして掲げ、コンピューティングとサービスで世界を変えることを目指している」。こう語るのは、Dynabook社の柏田真吾・執行役員国内マーケティング&ソリューション本部長だ。
 
柏田真吾 執行役員 国内マーケティング&ソリューション本部長

 その目標の一つが、働き方を柔軟なスタイルへと変える「働き方改革」。“as a Computing”としてはPCのラインアップに「働き方改革推進モデル」を設定し、“as a Service”としてはさまざまなソリューションを用意している、と柏田執行役員は続ける。

 例えば、今年1月にリリースされた「dynaTeams」。Microsoft Teamsを核として、同社のPC「dynabook/dynaDesk」と、シャープの大型タッチディスプレイ「BIG PAD」、マイクロソフト社のクラウドライセンスとクラウド環境の設計、構築、運用保持を行うサービス&サポートをワンストップで提供するスマートワーク・ソリューションだ。「もともとは働き方改革のソリューションだったが、発表直後に新型コロナウイルス感染症が広がったことで、テレワークのソリューションとして多くの引き合いをいただいた」と柏田執行役員。予定の稼働時期を前倒しして、すぐにでも導入したいと依頼してくる企業も多かったという。

 また、セキュアな環境で働き方改革を推進するためのソリューションも用意している。「働き方改革やテレワークのためのソリューションを導入する際は、社内の運用ルールとそれを支えるインフラ環境が整っていないとリスクが発生しかねない」(柏田執行役員)というのが基本的な考え。そこで、ネットワークでのデータ共有管理やモバイル端末管理に「Enterprise Mobility+Security導入支援サービス・ヘルプデスクサービス・運用代行サービス」を提供している。また、自宅や出先からセキュリティを確保した状態で社内PCにリモート接続し、オフィスと同じ環境で仕事が行えるUSBブート型シンクライアントの「Virtual Connect」も用意している。

 このほか、テレワーク導入に伴って発生する労務管理上の課題、勤務実態の把握と“働きすぎ”の防止を解決できるソリューションとして、Dynabook社はクラウド勤怠管理システム「dynaCloud 勤怠 powered by KING OF TIME」を20年6月11日にリリースした。出退勤時刻の管理に、PC、スマートフォン、携帯電話、交通系ICカード、生体認証装置など、さまざまなデバイスをサポートすると共に打刻データをCSVファイルに出力すれば、給与計算システムとのデータ連携が図れる。

テレワークが広く普及したことで
PCに対する企業側のニーズも変化

 一方で、働き方改革に対する企業の熱意も、新型コロナウイルス感染症を機に一気に高まりを見せている。「以前は特定の部門で試してから社内に広めていくケースが多かったが、コロナ禍を受けて、そうもいっていられない状況になった」と柏田執行役員。

 渋谷正彦・首都圏支社長も、「大手企業のお客様は、ほとんどがテレワークにシフト済み。中堅・中小のお客様でも、管理部門や間接部門から新しい働き方に挑戦している」と口をそろえる。
 
渋谷正彦 首都圏支社長

 このような動きと並行して、働き方改革のための端末(PC)に対する企業側のニーズも変わり始めた。「セキュリティが厳しいことで知られるメガバンクのお客様でも、コロナ禍によって大規模な在宅勤務が始まると、これまで業務で活用していたA4ノートPCにセキュリティ対策を施して、行外持ち出しが認められるようになった」と渋谷首都圏支社長。今後は、B5モバイルPCの比率が高まり、ウェブカメラとLTE通信モジュールを備えたモデルが法人顧客にも広まっていくのではないかとみている。

 また、働き方改革を現業部門にも広めていくことを狙って「2in1型ノートPC」を採用する企業も増えている。デタッチャブルやコンバーチブルタイプの2in1型はタブレット端末としても使えるので、デスクがないところでも片手に持ってタッチ操作できるからだ。ある鉄道事業者は、コンバーチブルタイプのdynabook VC72を全社で採用し、現場では業務用の12.5型タブレット端末として使い、間接部門ではキーボード付きのB5モバイルPCとしてテレワークで活用しているという。

 89年に登場した初代モデル(DynaBook J-3100SS 001)から数えると、dynabookシリーズは31年の長い歴史がある。「全国のお客様に商品をお届けする上で、ディストリビュータ様の豊富な在庫とサービス・サポート体制、各地のSIer各社の方々の力はきわめて重要」と渋谷首都圏支社長は強調する。

 柏田執行役員は、「ディストリビュータ様やSIer各社の皆様とは、互いの得意とするところを活かし、不得手なところを互いに補完するという共存共栄の関係を築いてきた」と振り返る。

 働き方改革と並んで、Dynabook社が今年取り組んでいるもう一つの活動テーマは、文部科学省が提唱している「GIGAスクール構想」への対応だ。「そのためのソリューションとして『dynabook GIGAスクールパッケージ』を発表しており、dynabook K50という専用端末とあわせて拡販している」と渋谷首都圏支社長。Dynabook社にとって、今年は法人向け市場でも文教市場でも実りの多い年となりそうだ。
 
(右から)柏田真吾・執行役員国内マーケティング&ソリューション本部長、
渋谷正彦・首都圏支社長