最新のデジタル・テクノロジーを活用したビジネスアイデアとその事業化プランを競うビジネス開発コンテスト「DXチャレンジ 2020」。その全国大会であるチャンピオンシップが1月22日に開催された。地区大会を勝ち抜いた10チームによる決勝戦では、参加チームと審査員がオンライン上に集結し、各チーム15分の発表時間でプレゼン&デモを実施。開催内容はWebで配信され、最優秀賞にオーイーシーの「意思伝達ソリューション 『Sisen』」とNTTデータフロンティアの「スマートグラスを用いたレシピ提案サービス『☆★☆めがね」』が選出された。

新規事業立ち上げに挑戦し、取り組みを通じて人材育成を目指す

 DXチャレンジ2020は、17年と18年に実施された「Watson Build Challenge」を継承するもの。最新のデジタル・テクノロジーやIBM Solutionを活用して全く新しいアイデアの新規事業を創出し、その事業化を目指すことで地域社会や業界の発展に貢献することを目的としている。

・主催:日本IBM、IBMパートナーコミュニティー(愛徳会)
・共催:NTTデータ、ダイワボウ情報システム(DIS)
・協賛:ユーオス・グループ(UOS)、ビジネス・アライアンス・コンソーシアム(BAC)、地方創生ソリューション協議会

 また、取り組みを通じて参画企業の新規事業立ち上げや人材育成を支援することで、地域社会におけるDXテクノロジーの幅広い活用を促進していくことも目的としている。コンテストの過程で、クラウドネイティブな開発手法を習得する開発者向け3カ月プログラムの“デベロッパー道場”やデザイン思考ワークショップというオンライン教育サービスが受講できることも、参加企業にとって大きなメリットになっている。

 今回のチャレンジには、全国のSIerやISVなどから62チーム、350人以上が参加し、9カ月以上をかけてデザイン思考による新規事業アイデアの創出やプロトタイプ作成などに取り組んできた。

 全国6地区の地方大会を勝ち抜いた10チームは以下の通り。

・北海道/東北地区
株式会社ニッポンダイナミックシステムズ
働き方改革に!AI音声入力を利用したデータ入力見積作成サービス「点検業務音声入力システム」

・関東地区
株式会社イグアス
無駄な会議を無くして仕事の価値を高めよう!「Meeting Weight」

株式会社NTTデータ
高齢者見守り「おせっかいAIスピーカーあい子」

株式会社NTTデータフロンティア
スマートグラスを用いたレシピ提案サービス「☆★☆めがね」

株式会社アドテクニカ
現場の安全を守る安否コール×IoTソリューション

・中部地区
株式会社ディー・ディー・エス
サービス業の顧客満足を高め人手不足を解消するスマートコネクト

・関西地区
キョーラクシステムクリエート株式会社
爪のコンディションをアナライズするサービス「ねぃドクター!!」

日本電通株式会社
Vtuberによるメンタルケア

・中国四国地区
田中電機工業株式会社
Mr.Porter ~AIとカメラを用いた車種判別と駐車場の自動管理~

・九州地区
株式会社オーイーシー
視線入力による意思伝達ソリューション『Sisen』

2社が同点優勝、AIソリューションが多数を占める

 15人の審査員による厳正な審査の結果、オーイーシーとNTTデータフロンティアの2社が同点優勝となった。

 まず、オーイーシー「意思伝達ソリューション 『Sisen』」は、日本に約1万人いるとされるALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者を主な対象としたものだ。病気の影響がない目の動きだけで事前に登録したメッセージを選択し、介護者などに意思の伝達ができる(タッチ操作にも対応)。この特性を生かし、寝たきりの高齢者の方も対象としており、在宅の患者、全国10万の医療施設、1万の福祉・介護施設を市場に想定している。IBM Watsonを基盤に開発。従来からある専用機器と比べて、安価で簡単な操作性を実現した。

 オーイーシーの諌山羊太氏は、「ソリューションの作成を通じて、新しいアイデアを出し、初めてIBM Watsonに触れて新しい技術を学ぶことができた。メンバーのスキルアップにつながった」と意義を語り、「今後に向けては利用者目線での使い勝手を高めていきたい」と抱負を述べた。
 
オーイーシーのメンバー

 NTTデータフロンティアの「スマートグラスを用いたレシピ提案サービス『☆★☆めがね』(みつぼしめがね)」は、スーパーなどでの利用を想定し、スマートグラスに映った食材から具体的な料理とそのレシピを表示し、音声案内もするもの。コロナ禍で料理の機会が増えた男性、マンネリ化に悩む家庭にヒントを得て開発した。スマホアプリと連携し、30日以内に作った料理は表示対象から除外するなど、使い勝手に配慮している。スマートグラスを利用した新しいソリューションを今後も検討していく予定だという。

 NTTデータフロンティアの小川真史氏は、「当社はこれまで金融系に強かったが、今年度から新しい独自のソリューションを生み出そうとチームを立ち上げた。その一環としてDXチャレンジに参加したが、優勝は今後のソリューション拡大に向けた大きな励みになる。また、DXチャレンジに参加された他社のメンバーの方々とも、ぜひ、共創の場を持ちたい」と抱負を語った。
 
NTTデータフロンティアの
小川真史氏

 今年の応募ソリューションは、AI音声入力、AI画像認識、AIスピーカーなどAI Solutionが約半数を占め、例年同様に社会貢献、便利ツールのアイデア商品が目立っていた。

 審査では、既存製品にはない斬新なアイデアであり、MVP(Minimum Viable Product、実用最小限の製品)の精度、事業実現性、費用対効果が見込める事業であることが大きな評価ポイントだが、ニューノーマル時代の需要に合致するかという点も評価された。「チャレンジも回を重ね、かなりの技術向上がみられる。今回は、コロナ禍の影響から、より生活に身近な課題解決を目指したソリューションが目立っていた。また、次の新しい芽が育っていることも感じられた」と日本IBMの猿渡光司氏(日本IBM テクノロジー事業本部・パートナー・アライアンス事業本部・事業戦略部長)は語った。

 日本IBMでは、IBM製品をISVなど各社のソフトウェア・パッケージやアセットに組み込むことで、市場に高い価値をもたらすソリューションを提供する“Build”ビジネスと、IBM製品に各社の付加価値をつけて市場で競争力のあるサービスを提供する“Service”ビジネスを推進している。

 「IBMパートナー各社にとって“Build”/“Service”ビジネスの推進は、今後成長が予測されているハイブリッドクラウドやAI市場での事業展開も見込め、IBM Cloudなどの開発環境の無償利用(※)やテクニカルサポート(※)を受けることができる。また、日本国内および世界中のIBMエコシステムパートナーとの連携や、販路拡大に向けたお見合いの場が活用できるというメリットもある。“Build”/“Service”ビジネスを通じて、ぜひ、新しい事業展開や協業モデルの構築に役立ててほしい」(猿渡氏)とアピールする。

(※)一定の条件がございます。ご利用前にご確認ください。

 なお、「DXチャレンジ2021」は今年4月に応募開始する予定だ。応募要項や詳細など詳しくは、以下より問い合わせしてほしい。
 
DXチャレンジ事務局 dxdojo@jp.ibm.com 
DXチャレンジ 2020の詳細はこちら:https://www.ibm.com/jp-ja/partnerworld/resources/dxchallenge2020