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日本オラクル レガシーシステムを破壊吸収してサービス化 ビジネスモデルを成功させるための勘所

2021/07/29 09:00

週刊BCN 2021年07月26日vol.1884掲載


 日本オラクルのセッションでは、Oracle Digital ISV Business Development Leadの西井雄飛氏が登壇。「Disruption with as-a-Service(as-a-Serviceによる破壊とは)」をテーマに講演した。

日本オラクル
ODP Channel Sales
Oracle Digital ISV Business Development Lead, Japan and Asia Pacific
西井雄飛 氏

 デジタル変革(DX)を目指して、今、多くの企業が自らのレガシービジネスを破壊・吸収し、新しいモデルへと進化させている。そのための一つの手法が、サービス化によるレガシーモダナイゼーション。具体的には、レガシーシステムを構成する各要素をクラウドのサービスに転換するやり方だ。

 アプリケーションなどを販売するITベンダーにとっても、自社製品のサービス化は重要なビジネス戦略となる。サービス化とは、ハードウェア、ネットワーク、ミドルウェア、アプリケーション、運用などを一つにまとめて、クラウドから“as a Service”で提供するということ。こうしてレガシービジネスモデルを破壊し、営業・マーケティング・財務会計などのワークロードも加えた総合的なサービスとするわけだ。その意義を西井氏は、「自社ビジネス領域の拡大によって顧客内シェア(SOW)を高められる」と説明する。

 ただ、価格設定には注意が必要だ。インフラ、ソフトウェア、運用などの要素ごとの価格を明示してしまうと、顧客との価格競争で不利になり、十分な利益率を確保できなくなる。すると、サービスの魅力を高めるための投資が難しくなり、結果的に解約率が高まってしまうのだ。心がけるべきポイントは「原価の隠蔽」だと西井氏は強調する。

 一方、テクノロジーの領域では、レガシーモダナイゼーションを支援する新技術がいくつか登場している。

 その一つとして西井氏が紹介したのが、マルチテナンシーだ。「複数の顧客が共存する環境において、プロセスやデータを分離化することがマルチテナンシーの本質だ」と西井氏。サービス顧客が求めているのはサービス全体を垂直型に俯瞰したサービスレベルの提供であり、特にエンタープライズ・ミッションクリティカル領域の顧客要件に対しては、アプリケーション層単体でのマルチテナンシーの実装では不十分である。

 従来のマルチテナンシーはアプリケーション層で実現されていたが、第2世代データセンターに分類されるOracle Cloud Serviceでは「コンパートメント分離」と「オフボックスネットワーク仮想分離」の2機能がクラウド基盤に実装されていると説明する。
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